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待ち合わせの時間になっても、深雪は来ない

いつもの事だ

出会ったのは、幼稚園の頃
付き合いだしたのは、大学に入ってから

付き合いだしてから
気付いた。

深雪は遅刻魔だと

だから、大抵は予定の時間よりかは、早めに時間を伝えるようにしている

「ごめ~ん。
 待った?」

その呑気で悪いともヒト欠片も感じてない声で、背後から声を掛ける女性の声

振り向くと、そこには寝癖のままの深雪が居た
もう
24だろ?

心の中で、呟いた。

「ああ
 小一時間程、待ったよ」

「えぇ~そんなにも~?
 合鍵渡してあるんだから、起しに来てくれたらよかったのに~」

と、深雪は、顔を膨らませた

「待ち合わせじゃないと、デートじゃないって、深雪、言ってなかった?」

すると、罰が悪そうな顔をして、照れくさそうにこう言った

「しゅ主役は、遅れて来るもんなのよ」

「じゃ、俺は脇役?」

「さぁ付き人Aよ!
 姫を、水族館まで案内せい!」

と、スタスタ歩いて行った。

「はい、はい。
 おうせのままにお姫様」

すると、無邪気な顔で、俺の腕にまとわりついて来た。

いつも以上に、ニコニコと笑っていた。

「なんか、今日はご機嫌だな?」

「だって、伸二
 最近、全然構ってくれなかったから」

「そ、そうか?」

「そりゃ
 お薬の開発は大切だけどさ
 私の事も、大切にして欲しいな」

「ごめん。
 でも、俺は薬は愛してないけど
 深雪の事は」

俺が、そう言いかけた時、深雪は俺の口に飴玉を放り込んだ。

「そう言う事は、デートの最後に言って欲しいな~♪」

と、明るい口調で言った。

「って言うか
 深雪だって、仕事で休みが中々とれないんじゃないか」

「ふ私は、薬を愛しているもの」

と、また悪戯ぽっく笑った。

チケットを受付で渡して中に入ると、ヒンヤリとした空気が妙に心地よかった。

もう、夏なんだよな

変な話だが、今になって、そう感じて
ひんやり感じた空気が寒く感じた時
彼女の肌が暖かく感じた。

そして、俺は、彼女に引かれるままその日を過ごした。
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