上 下
68 / 87
08 イツワリのカガクシャ

69 アインとツヴァイン

しおりを挟む
 チクタク。
 チクタク。
 時計の音がなる。
 ゴーンと鐘が鳴る。

「『あ……』ですか。
 我ながら死んだふりはつらいものがありますね」

 白銀がそういって笑う。

「それにしても薄々気づいてはいましたが……
 僕はクローンなんですね」

 白銀はため息を吐く。

「このアトラク=ナクアの力も紛い物」

 白銀は目を赤くさせる。

「気づいたか。
 愚かな蜘蛛よ」

 そういって一匹の犬が現れる。

「犬……ですか?」

「はじめまして、こんにちは。
 あるものはこう呼ぶ。
 アースベルガー」

「アースベルガーさんですか?
 今は貴方と戯れている余裕はありません」

「愚かな蜘蛛よ。
 汝は資格を得た。
 テオスに入らぬか?」

「テオス?」

「ベルゼブブさまとモトフミさまが新たに作る組織だ。
 アインとツヴァイン。
 それらが手を組み……
 この世の全てを手に入れるのだ」

「そうですか、それもいいかも知れませんね」

 白銀はそういって小さくうなずく。

「では、參ろうか。
 我が国へ……」

 アースベルガーがそういって白銀とともに姿を消した。

 世界が変わる。
 世界が終わる。

 その音色を奏でるのは誰か……
 その音色を育てるのは誰か……

 世界の滅亡にカウントダウンは存在しない。
 突然0になる。

 それが死。
 それが生。

 ぐるりとぐるととぐるりと変わる。

「……ふぅ。見ちゃった」

 パンツをかぶった少年がそういった。
 少年の名前はハニー・キラー。
 歳は3歳。
 少年の能力は女の子殺し。
 女という存在では絶対に勝てない能力を持っている。
 ヒーローではない。
 ミストフォロスに所属する傭兵だ。

「見ちゃった見ちゃった見ちゃった。
 白銀死んでないよ白銀。
 きゃは!楽しい楽しい戦争が始まるよ!」

 ハニー・キラーがそういって姿を消した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

NPCが俺の嫁~リアルに連れ帰る為に攻略す~

ゆる弥
SF
親友に誘われたVRMMOゲーム現天獄《げんてんごく》というゲームの中で俺は運命の人を見つける。 それは現地人(NPC)だった。 その子にいい所を見せるべく活躍し、そして最終目標はゲームクリアの報酬による願い事をなんでも一つ叶えてくれるというもの。 「人が作ったVR空間のNPCと結婚なんて出来るわけねーだろ!?」 「誰が不可能だと決めたんだ!? 俺はネムさんと結婚すると決めた!」 こんなヤバいやつの話。

まじかるブリキュア

はらぺこおねこ。
SF
 「なんだかんだと聞かれたら?   答えてあげるが世の情け、世界の破滅をふせぐため世界の平和を守るため愛と真実の悪を貫く   魔界の果てからこんばんは。   私、魔界ブリタニ王国営業部平社員のブリ男と申します」  そう言って早良(さわら)の前に現れたのは魔界のサラリーマンのブリ男だった。  ブリ男は、多くは語らない。  早良は、ほかの子よりほんの少し正義感の強い女の子。  世界を滅亡させようと現れたハタハタに友人が襲われたとき……  ブリ男の力により早良は、ブリキュア・サーラの力に目覚めるのであった。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

もうダメだ。俺の人生詰んでいる。

静馬⭐︎GTR
SF
 『私小説』と、『機動兵士』的小説がゴッチャになっている小説です。百話完結だけは、約束できます。     (アメブロ「なつかしゲームブック館」にて投稿されております)

宇宙人へのレポート

廣瀬純一
SF
宇宙人に体を入れ替えられた大学生の男女の話

深淵の星々

Semper Supra
SF
物語「深淵の星々」は、ケイロン-7という惑星を舞台にしたSFホラーの大作です。物語は2998年、銀河系全体に広がる人類文明が、ケイロン-7で謎の異常現象に遭遇するところから始まります。科学者リサ・グレイソンと異星生物学者ジョナサン・クインが、この異常現象の謎を解明しようとする中で、影のような未知の脅威に直面します。 物語は、リサとジョナサンが影の源を探し出し、それを消し去るために命を懸けた戦いを描きます。彼らの犠牲によって影の脅威は消滅しますが、物語はそれで終わりません。ケイロン-7に潜む真の謎が明らかになり、この惑星自体が知的存在であることが示唆されます。 ケイロン-7の守護者たちが姿を現し、彼らが人類との共存を求めて接触を試みる中で、エミリー・カーペンター博士がその対話に挑みます。エミリーは、守護者たちが脅威ではなく、共に生きるための調和を求めていることを知り、人類がこの惑星で新たな未来を築くための道を模索することを決意します。 物語は、恐怖と希望、未知の存在との共存というテーマを描きながら、登場人物たちが絶望を乗り越え、未知の未来に向かって歩む姿を追います。エミリーたちは、ケイロン-7の守護者たちとの共存のために調和を探り、新たな挑戦と希望に満ちた未来を築こうとするところで物語は展開していきます。

鉄錆の女王機兵

荻原数馬
SF
戦車と一体化した四肢無き女王と、荒野に生きる鉄騎士の物語。 荒廃した世界。 暴走したDNA、ミュータントの跳梁跋扈する荒野。 恐るべき異形の化け物の前に、命は無残に散る。 ミュータントに攫われた少女は 闇の中で、赤く光る無数の目に囲まれ 絶望の中で食われ死ぬ定めにあった。 奇跡か、あるいはさらなる絶望の罠か。 死に場所を求めた男によって助け出されたが 美しき四肢は無残に食いちぎられた後である。 慈悲無き世界で二人に迫る、甘美なる死の誘惑。 その先に求めた生、災厄の箱に残ったものは 戦車と一体化し、戦い続ける宿命。 愛だけが、か細い未来を照らし出す。

トモコパラドクス

武者走走九郎or大橋むつお
SF
姉と言うのは年上ときまったものですが、友子の場合はちょっと……かなり違います。

処理中です...