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02 破壊の音色

17 芸術が爆発

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 ヒーローがひとりまたひとりと吹き飛ばされていく。
 ヒーローに触れなくてもいい。
 地面に触れれば地面が吹き飛ぶ。
 単純な話だった。

 優は、自分の力に酔いしれていた。

「ははははは!
 ヒーローが!こんなに簡単に倒せるよ!
 ヒーローなんていらないよね!
 僕を助けてくれなかったヒーローなんて!
 いらない!いらないんだ!
 芸術が爆発するんじゃない。
 爆発こそが芸術なんだ!!」

 嬉しそうに笑う優。
 全てを手に入れた気になっていた。
 お金がなくても奪えばいい。
 性欲を満たしたければ強姦すればいい。
 逆らうものは皆殺し。
 今まで自分が奪われたお金。
 そして、傷付けられた心と体。
 優はそれを奪い返すように他人を傷つけていった。

「さぁ!
 君たちが正しいのなら僕に勝ってみせなよ!
 勝った人が正義なんでしょ?
 だったら僕が正義だ!
 これからは、お金も女の人ももみんなみんな僕が独り占めするんだ!」

 優は、そう言って地面を踏む。
 すると色んな場所から火柱があがる。

 優はあたりを見渡す。
 満たされない欲求。
 それをぶつける相手を探す。
 するとひとりの女子高生を見つけた。
 黒髪でショートカット。
 可愛らしい顔立ちをし胸も大きかった。

「あは!君に決めたよ!」

 優は、そう言ってその女子高生に近づく。

「え?あ……」

 女子高生は、腰を抜かしているため動けない。
 恐怖で動けない。

「君で僕は初体験を済ませるよ。
 そして、君が性処理機第一号だ!
 君だけじゃない!
 この世の全ての女は僕の性処理機になるんだ!
 君は誇っていいよ!その素晴らしい第一号になるんだか――」

 優が、そこまで言いかけたとき頭に石ころが投げられる。

「ん?」

 優は、石が飛んできた方に視線を向けた。

「はぁ。
 これだから子どもは……」

 セロだった。
 セロがため息混じりにそう言った。

「なんだよ!
 お前だって子どもだろ!」

 優がそう言ってセロを睨む。

「……そうだな。
 僕もまだまだ子どもだ」

「まぁ、どっちでもいいよ。
 僕に逆らった君は死ぬんだ!
 後悔しても遅いよ!」

 優はそう言って地面を踏んだ。
 しかし、何も起きない。

「相性が悪かったね」

「お前、何をしたんだ?」

 優がそう言ってもう一度地面を踏む。
 しかし何も起きない。

「僕は僕の能力で、空気密度を調整して酸素を消したんだ。
 便利でしょ?僕の螺子の能力は……」

「螺子?」

 セロの言葉に優は理解できないでいた。
 それどころかパニックになっている。

「……まぁ、わかんないよね」

「さっさともとに戻せ!」

 優が何度も地面を踏んだ。
 しかし、なにも起こらない。
 セロは、ゆっくりと指を鳴らした。
 すると優は静かに苦しみだす。

「君の周りの酸素も奪うね。
 これがいちばん手っ取り早いからね……」

 セロは、そう言って小さく息を吐いた。
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