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07 漁猫

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 そして、年末……
 みさきさんに蜜柑ちゃん、宮崎さんに葉月先輩が僕の家にやってくる。
 ちなみにみんな可愛い。
 ハーレムとかそういうの想像したけれど、僕が偉いんじゃなく。
 ただのパシリにされそうなので手は出さない。
 何はともあれ今日は鍋パーディー。
 久しぶりに大勢で食べる鍋は美味しかった。
 そして、どういうわけかみんな僕の家でお泊りすることになった。
 みんな僕が怖くないのかな?

「みんなで食べるみかんは美味しいですね!」

 みかんちゃんが、そう言ってみかんを箱から取り出す。
 みかんちゃんは、みかんを箱で持ってきた。

「蜜柑ちゃん、みかん好きだね」

 すると蜜柑ちゃんが、静かに答える。

「みなさんジンクス持ちですよね」

 その言葉にみんなが凍る。

「どうしてだい?」

 僕が尋ねると蜜柑ちゃんが答える。

「私が蜜柑を食べると周りの人を幸せにするジンクスを持っているんです。
 蜜柑を食べてないと怒られます……
 小さな頃にそれが、バレてみかんを食べないといじめられていました」

 蜜柑ちゃんが、そう言うと宮崎さんも口をひらく。

「私は願いを込めて、てるてる坊主を作ると勝負事に勝つというジンクスを持ってるわ。
 斎藤くん、貴方にはジンクスが効かないから依然勉強をするやる気が出てたのよ?」

 宮崎さんがそう言って笑う。
 続いて葉月先輩が言う。

「私は、私の歌を聞いた人はしあわせになるの。
 私は、これを利用してピアノの先生になって子どもを幸せにするんだー」

 葉月先輩の目が輝く。
 みんな打ち明けてくれた。
 だから、僕も打ち明けよう。
 嫌われても仕方がないんだ。

「僕のジンクスは……
 僕が好きになった人は僕以外の人としあわせになる。
 でも、好きじゃなくなったとき好きじゃなくなった人に不幸が訪れる。
 僕の父さんと母さんはそれで死んだんだ……
 多分、護るや美姫も……」

 僕が、そう言うとみさきさんが大きな声で言う。

「違います。
 私のジンクス……
 好きになった人は必ず死ぬというジンクスで!」

 川名さんが、そこまでいうと宮崎さんがため息を打つ。

「護くんも美姫さんもなんらかのジンクス持ちよ。
 貴方たちを受け入れたのはそれが理由。
 だから、ジンクスの影響は受けない。
 そう結論が出たじゃない」

 宮崎さんがそう言うとみさきさんが涙を流す。

「それだけじゃないんです。
 私は、一さんの家族も……」

 そう言ってみさきさんの目から涙があふれる。
 僕たちはこのあと涙の訳を知る。
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