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06 君なき日々
06
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次の日、学校に向かうと川名さんの姿はなかった。
約束したじゃないか。
【また、学校で会おう】
って……
悶々した気持ちを抑えながら授業が終わり放課後がやってくる。
一応、昨日のことを報告しようと葉月先輩がいる部室に向かった。
ピアノの音が聞こえる。
それに交じる女の子の歌声……
この声は……
僕の胸の鼓動が早まる。
この声は、もしかして……
自然と僕は駆け足になる。
そして、部室のドアを開けると……
「あ、斎藤くんこんにちは」
川名さんが、何事もなかったような言葉で僕の方を見る。
「川名さん……
授業は?」
違うだろう。
そんなこと聞きたいんじゃないだろう?
「休学解除の手続きに戸惑っていました……」
「そっか……
じゃ、学校は……」
「明日からまたお世話になります」
川名さんが、そう言って頭を下げる。
「うん!」
「よーし!
漁猫再開だー!」
葉月先輩が、そう言って僕の川名さんの体を抱き寄せる。
「漁猫?」
僕が首を傾げると葉月先輩が言う。
「私たちのユニット名よ!」
そっか……
僕たちまだ歌えるんだ。
美姫、護。
僕は歌うよ。
君たちがいなくなっても僕は歌うよ。
約束したじゃないか。
【また、学校で会おう】
って……
悶々した気持ちを抑えながら授業が終わり放課後がやってくる。
一応、昨日のことを報告しようと葉月先輩がいる部室に向かった。
ピアノの音が聞こえる。
それに交じる女の子の歌声……
この声は……
僕の胸の鼓動が早まる。
この声は、もしかして……
自然と僕は駆け足になる。
そして、部室のドアを開けると……
「あ、斎藤くんこんにちは」
川名さんが、何事もなかったような言葉で僕の方を見る。
「川名さん……
授業は?」
違うだろう。
そんなこと聞きたいんじゃないだろう?
「休学解除の手続きに戸惑っていました……」
「そっか……
じゃ、学校は……」
「明日からまたお世話になります」
川名さんが、そう言って頭を下げる。
「うん!」
「よーし!
漁猫再開だー!」
葉月先輩が、そう言って僕の川名さんの体を抱き寄せる。
「漁猫?」
僕が首を傾げると葉月先輩が言う。
「私たちのユニット名よ!」
そっか……
僕たちまだ歌えるんだ。
美姫、護。
僕は歌うよ。
君たちがいなくなっても僕は歌うよ。
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