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03 歌われること

08

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「あらら?
 もしかして、もしかしちゃう?」

 葉月先輩が、口元に手を当てて顔を赤らめる。

「もしかしません」

「……本当に?」

 葉月先輩の言葉に川名さんが答え葉月先輩が尋ねる。

「本当ですよ。
 私なんかに恋人なんか出来ませんよ」

 川名さんの表情が悲しげだ。

「……川名さん可愛いし優しいからモテると思うよ?」

 僕は、精一杯の励ましの言葉を投げてみた。

「お?一くんが口説いている」

 葉月先輩が茶化す。

「じゃ、斎藤くんに貰ってもらいましょう」

 川名さんがワルノリする。

「……え?」

 ワルノリだとわかっているのに頭が真っ白になる。

「貴方って案外かわいい所あるのね」

 宮崎さんが、小さくため息をする。

「ん?」

「こんなことでうろたえてる。
 そういうところ可愛いと思うわ」

 宮崎さんがそういうと美姫が笑う。

「あ!宮崎さんが一のいいところをひとつ発見!
 一の照れ屋なところ可愛いよね!」

「そ、そうね」

 宮崎さんが苦笑いを浮かべた。

「貴方たち、そろそろ面会時間終了よ」

 看護師さんが、そう言って顔をひょっこりと出す。

「あ、はーい」

 美姫が返事をしてみんなが帰った。
 ひとりぼっちになった個室は寂しかった。
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