2 / 5
01 無傷こそ最強の証
02
しおりを挟む
声が止む。
人の声がしない。
魔物の声もしない。
ポックリが勇気を出して物置から出る。
幼馴染の少女がいた。
「あ、リサ。
無事だったんだね」
ポックリがリサの肩を叩く。
するとコロコロとなにかが転がる。
ポックリの頭が真っ白になる。
リサの頭が足元に落ちた。
なにが起きたかわからない。
わかっているのはリサがもう死んでいるということだけ。
ポックリは、声が出ない。
ポックリは少しだけ冷静だった。
声を上げれば魔物が来るかも知れない。
だから声を出さず。
その場で泣き崩れた。
結局。ゲタ一族で生き残ったのはポックリだけだった。
誰もいない街。
自分だけしかいない街。
残酷な現実。
そんな彼のもとにひとりの男が現れる。
「僕と契約をして魔人にならないかい?」
「貴方は?」
ポックリは、決して変わることのない絶望の表情で男に尋ねた。
「あれ?つかみはバッチリだと思ったのですがね……」
「なんなんですか?貴方は……
ってか貴方、魔族ですよね?
僕を殺すのなら早く殺してください」
「ふふふ……殺しはしません。
でも、なんだかんだと聞かれたら。
答えてあげるが世の情け、世界の破滅を防ぐため世界の平和を守るため愛と真実の悪を貫く魔界の果てからこんばんは。
私、魔界ブリタニ王国営業部平社員のブリ男と申します」
「ブリ男さん?魔界の営業?聞いたことありません」
「それはブリタニ王国の営業努力がないからです。
善処しなければいけませんね」
「で、魔人になるってどういうことです?
魔人にして人を殺せというのですか?」
ポックリの瞳には涙があふれる。
「人は殺さなくてはいけません。
人は人財。殺すなんてもったいない。
僕たちブリタニ王国は人類の味方です。
そういう魔族もいるんですよ」
「そうですか」
ポックリはどうでもよかった。
どちらにしても自分はモブ。
殺されるだけに産まれた存在。
しかも、経験値にさえならない。
「ベルゼブブを倒す力を得てみませんか?」
ブリ男の言葉にポックリの瞳の色が変わる。
「どういうことです?」
「我ら魔族はベルゼブブの存在が目障りなのです。
そして、人間が大好き。
大好きだからこそ世のため人のため。
こうやって資格のある人に力を授けて回っているんです」
「資格?僕には何の資格もないですよ。
だって僕はゲタ一族。名前はポックリ。
ゲタ・ゲタです、常にHPが1でレベルも1。
殺されるだけ産まれて死ぬ。
ただそれだけの存在」
「HPが1という制約は変えれません。
ですがレベルがあがるようになる。
それが魔人です。
もう一度尋ねます。
盟約と制約の名のもとに魔人になりませんか?」
「僕でも魔王を倒せるのですか?」
「はい、時間はかかりますがレベル次第では必ず倒せます」
「わかりました。
僕が僕の復讐の名のもとに悪しき魔王を倒します」
ポックリの言葉にブリ男は笑みを浮かべます。
「制約成立です」
ブリ男の言葉とともにポックリの身体が暖かくなります。
「なんだこれ……身体が暖かいです」
「それがレベルアップです」
「レベルアップ?」
ポックリはブリ男の方を見たが、もうそこにブリ男は姿はなかった。
ポックリのレベルが2になった。
人の声がしない。
魔物の声もしない。
ポックリが勇気を出して物置から出る。
幼馴染の少女がいた。
「あ、リサ。
無事だったんだね」
ポックリがリサの肩を叩く。
するとコロコロとなにかが転がる。
ポックリの頭が真っ白になる。
リサの頭が足元に落ちた。
なにが起きたかわからない。
わかっているのはリサがもう死んでいるということだけ。
ポックリは、声が出ない。
ポックリは少しだけ冷静だった。
声を上げれば魔物が来るかも知れない。
だから声を出さず。
その場で泣き崩れた。
結局。ゲタ一族で生き残ったのはポックリだけだった。
誰もいない街。
自分だけしかいない街。
残酷な現実。
そんな彼のもとにひとりの男が現れる。
「僕と契約をして魔人にならないかい?」
「貴方は?」
ポックリは、決して変わることのない絶望の表情で男に尋ねた。
「あれ?つかみはバッチリだと思ったのですがね……」
「なんなんですか?貴方は……
ってか貴方、魔族ですよね?
僕を殺すのなら早く殺してください」
「ふふふ……殺しはしません。
でも、なんだかんだと聞かれたら。
答えてあげるが世の情け、世界の破滅を防ぐため世界の平和を守るため愛と真実の悪を貫く魔界の果てからこんばんは。
私、魔界ブリタニ王国営業部平社員のブリ男と申します」
「ブリ男さん?魔界の営業?聞いたことありません」
「それはブリタニ王国の営業努力がないからです。
善処しなければいけませんね」
「で、魔人になるってどういうことです?
魔人にして人を殺せというのですか?」
ポックリの瞳には涙があふれる。
「人は殺さなくてはいけません。
人は人財。殺すなんてもったいない。
僕たちブリタニ王国は人類の味方です。
そういう魔族もいるんですよ」
「そうですか」
ポックリはどうでもよかった。
どちらにしても自分はモブ。
殺されるだけに産まれた存在。
しかも、経験値にさえならない。
「ベルゼブブを倒す力を得てみませんか?」
ブリ男の言葉にポックリの瞳の色が変わる。
「どういうことです?」
「我ら魔族はベルゼブブの存在が目障りなのです。
そして、人間が大好き。
大好きだからこそ世のため人のため。
こうやって資格のある人に力を授けて回っているんです」
「資格?僕には何の資格もないですよ。
だって僕はゲタ一族。名前はポックリ。
ゲタ・ゲタです、常にHPが1でレベルも1。
殺されるだけ産まれて死ぬ。
ただそれだけの存在」
「HPが1という制約は変えれません。
ですがレベルがあがるようになる。
それが魔人です。
もう一度尋ねます。
盟約と制約の名のもとに魔人になりませんか?」
「僕でも魔王を倒せるのですか?」
「はい、時間はかかりますがレベル次第では必ず倒せます」
「わかりました。
僕が僕の復讐の名のもとに悪しき魔王を倒します」
ポックリの言葉にブリ男は笑みを浮かべます。
「制約成立です」
ブリ男の言葉とともにポックリの身体が暖かくなります。
「なんだこれ……身体が暖かいです」
「それがレベルアップです」
「レベルアップ?」
ポックリはブリ男の方を見たが、もうそこにブリ男は姿はなかった。
ポックリのレベルが2になった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる