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其の八

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「どうだー?」


部屋の外から呼びかけられる。


男装という事で、早速制服から男物の着物へ着替える事になった。
サイズが解らなかったので、歳の近い藤堂平助に大きさを確かめてもらっていた。



「こんな感じでいいんでしょうか?」


着替えを終えて、部屋の戸を開ける。
そこには藤堂平助がいて、おかしくないかなと男装姿を見せる。


「おっ!立派に男になったじゃん!」


男に見せようとしているのは自分だが、
ただ服装を変えて、髪を結っただけで、そんな男に見えるのかと思うと年頃の女の子としては複雑な心境である。


人生初めての男装なので余計に。


「...ありがとうございます。」


ちょっと態度に出てしまったが
言葉に出すのはやめておこう。





「平助、夕飯の時間だ。」

すると一人の隊士がやってきて、ご飯の時間だと知らせる。


確かこの人は、斎藤一さん。
クールで何を考えているのか分かりにくい雰囲気を持っている。


「おー了解。」


斎藤さんは知らせたと思えば、直ぐに戻っていった。
あの人と関わるのはなかなか難しそうだ、と考える。




「よし、紗代もいくぞ」


「え、わたしも?」



斎藤さんは、藤堂さんを呼んでいたし、
夕飯に自分も呼ばれると思っていなかった為、驚いてしまった。



「当たり前だろ。
 土方さんの小姓になったんだから、これから仕事はたくさんだぞー」


笑いながら言う藤堂平助。

何で笑っているのか解らないが、
小姓ってそもそも何をすれば良いのだろうか。

しかも、あの土方歳三のお世話係なんて恐ろしい事になってしまった。




あんな鋭い目をする人とずっと関わるなんてごめんだ。

「私は、やっぱり大丈夫で...」


言いかけた瞬間
ぐ~ とお腹の音が鳴る。


「...。」


恥ずかしい気持ちでいっぱいだ。


「ははっ
 お腹すいてんじゃん」


ずっと笑っている藤堂平助にこっちだ
と案内されるので、

もう着いて行く事にきめた。
心を決めて頑張ろう。



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