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それは悪夢か、それとも (※性的描写あり)

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股の間がくすぐったい。
何をしているのだろうと振り返って見上げると、優しい笑顔が降ってくる。
「せんせい、なにしてるの?」
「大丈夫だよ」
その人はいつも、そう言って笑いかけてくれた。
「はずかしいよ」
「そうかい? それじゃあ、先生のも触ってみるかい? それでおあいこだ」
「えー、やだー」
そんなの、もっと恥ずかしい。
だから僕は顔を赤くして、首を横に振ったんだ。
僕はΩだから体が小さくて、だから本当は、普通の男の人の体に憧れとちょっぴりの興味があったけど、言えなかった。
先生に抱きしめられているときいつも、僕は先生に僕の本当の気持ちを見透かされているような気がして、後ろめたくて動けず、じっとしていた。
先生はずっと、僕の体を触っている。
優しく、撫でるように。痛くないように。
恥ずかしいのに気持ちがふわふわして、先生に体を預けると、男の人の匂いがした。
母さんとは違う、鼻に残る動物的なにおい。
僕は、その匂いが好きだった。
「んっ……」
ふわふわした気分に身を任せていると、肌に直接触れる刺激に体が強張ってしまう。
先生の手が、いきなり僕の服の中に入ってきたのだ。
恥ずかしかったけど、不思議とやめてほしくなくて、僕は先生の腕にしがみついて甘えた。
「いい子だね。君は本当にいい子だ」
「せんせぇ……」
優しい声で、頭を撫でてくれる。
だから、恥ずかしいよりも嬉しかった。
お父さんがいたら、毎日こんなふうに触って、頭を撫でてくれたのかなって妄想した。
いつの間にか僕の服は無くなっていて、毛の生えてないΩの僕の肌に直接、先生の毛並みが当たってくすぐったい。
先生も、いつの間にか裸になっていた。
先生はちょっぴり太っていて、肩と胸元の毛並みが特にフサフサしていた。
大人の男の人の体はやっぱり大きくて、かっこよかった。
「寒くないかい?」
毛並みの無い僕を心配して、先生が声をかけてくれる。
僕が寒くないように、大きな体でそっと包んでくれた。
温かかった。
嬉しくて、思わず笑顔になった。
「だいじょうぶ」
先生の毛並みに顔を埋めると男の人の匂いがいっぱいに広がって、匂いに包まれた僕は幸せな気分になる。
自然と体の力が抜けて、先生が触ってくれるふわふわしたくすぐったい感覚が、だんだん我慢できなくなってきた。
「せんせえ、なんか、へん……」
「大丈夫」
だんだんと息が上がってきて、僕は先生の体にしがみつく。
くすぐったい感覚の発信源を探して、僕は僕の体を触る先生の手を見た。
"そこ"を触る先生の指の動きに合わせて、体中にくすぐったい感覚が走るのが見ていてわかった。
排泄にしか使わないはずの"そこ"が硬くなり、未知の感覚が全身に広がっていた。
「大人になってきた証拠だよ」
僕が不安を伝えると、先生は優しく囁いてくれた。
だから僕はしがみついている先生の胸にに頭を押し付けて、その感覚に耐える。
大人のにおいと体温が、僕に安心感をくれる。
くすぐったくて仕方なかったけど、先生がいてくれるから我慢できた。
僕は、布団に寝かされていた。
何をするのだろうと先生を見ていると、先生は硬くなった僕の大切な部分を大きな口でパクっと食べてしまった。
「や、やだっ!」
驚いて、僕は身をよじる。
先生はすぐに口を離してくれた。
「大丈夫。怖くないよ」
「でも、きたないよ」
戸惑う僕に、先生は優しくにっこりと笑ってくれる。いつものように。
「じゃあ、綺麗にしてあげる」
「あっ……!」
先生の大きな舌が僕の男の子である部分を、まるでキャンディのように舐め上げるその様子を、間近で見てしまった。
いつも服の上から触られて、服の中を直接触られるようになって、服を脱がされて触られて、その事にも段々慣れてきたら、もっと恥ずかしいことをされている。
恥ずかしさに耐えられなくて、僕はギュッと目を閉じてそれを見ないようにした。
ぺろぺろ、ちゅっ、くちゅ……
見ないようにしているのに、毛並みの無い僕の肌は、先生の湿った柔らかい温もりがどのように動いているのかをつぶさに伝えてくる。
体にキスをされる湿った音がとても卑猥なものに感じられて、恥ずかしくて、目を閉じた上から顔を隠した。
体中がくすぐったい。
でも、やめてほしいとは思わなかった。
それどころか、もっとしてほしいとさえ、思ってしまった。
「大丈夫。体が大人になっている証拠だよ」
不安な僕にいつも語りかけてくれる、男の人の声。
それに安心してしまって、だから次の瞬間、僕は、
「はっあっ、ああっ、ああぁっ」
先生の口に、おもらしをしてしまった。
全身がくすぐったい感覚で痺れて跳ねる。
だめだだめだだめだと頭では思っているのに、体が言うことを聞かない。
「ご、ごめんなさい、ごめんなさいぃ」
もう子供じゃないのにみっともなくて、先生を汚してしまったことが申し訳なくて、体が自由にならない初めての感覚が怖くて、僕は泣いてしまった。
先生はそんな僕を、ぎゅって抱きしめてくれた。
「大丈夫だよ。良くできたね。いい子だ」
先生の黒い毛並みに顔を埋めると、男の人の匂いが強く感じられて、すごく気持ちが落ち着いた。
初めてのそれを経験した日、僕が泣き止むまで、先生は僕を抱きしめてくれた。
だから、怖くなくなった。
「気持ちよかったかい?」
「……わかんない」
それからずっと、先生は会うたびに僕の体を綺麗にしてくれた。
大人になるために必要なことだから、これは恥ずかしい事でも怖い事でもないんだよと、教えてくれた。
でもやっぱり恥ずかしくて、いつも目を閉じてしまった。
先生に体を綺麗にしてもらっていると、だんだん、僕はそれを気持ちいいと感じるようになっていった。
全部先生の言う通りだった。
僕はますます安心して、先生に言われるままに体を許した。
気持ちいいことが終わると、先生はいつも僕をぎゅっと抱きしめてくれて、それが何より嬉しかった。
嫌だという気持ちは微塵もなくなっていた。
幸せだった。
先生の言う「体を綺麗にする」が、本当はどういう行為かわかるのは、ずっと後になってから。
「だ、だめっ! そこは」
「汚いかい?」
「う、うん……」
「じゃあ、ここも綺麗にしてあげないとね」
「うぅ……でも」
「大丈夫。先生に任せて」
そう言われて頭に手を置かれると、悪いことをしている気持ちなんてなくなってしまって言い返せない。
僕は先生に言われるまま、布団の上に四つん這いになった。
先生が、僕の体を綺麗にしている。
恥ずかしい。そんなところ恥ずかしいのに、気持ちいい。
新しいくすぐったさ。
また違う場所を「綺麗にされて」、新しい刺激にもっと触って欲しくなる。
何度も繰り返されてきたこと。
なのに、体が熱い。
息が上がる。
なんか変だと思ったときには、お腹の底に火が付いたみたいに、抑えられなくなっていた。
熱い。熱い……!
「せんせえ!!」
僕はわけがわからなくなって、先生に抱き着いた。
わからない。わからない。
もっと触って欲しい。もっと温めてほしい。もっと綺麗にしてほしい。
頭の中が熱くて、考えられない。
先生に触って欲しくて、無我夢中でしがみついた。
「せんせぇ、せんせぇ」
欲しくて、欲しい気持ちだけが頭の中でグルグルして、体を動かしている。
でも、どうすればいいのかわからない。
「っとと、発情ヒートしちゃったか。困ったな」
いつも大丈夫と言ってくれる先生が、初めて「困った」と口にした。
困らせてしまったことが申し訳なくて、でも、そのときはそう考えることすら出来なくて、僕は衝動に突き動かされるまま体をこすりつけ続けた。
「後ろは、まだ早いからね」
「うぅ?」
僕は布団に押し倒されて、先生の顔が、ゆっくりと近づいてくる。
唇に、温もりが触れた。
(……!!)
初めての、口と口のキスだった。
驚いて体が跳ねる。
体が求めていたものを与えられた、大きすぎる喜びだった。
口の中に、熱いとさえ感じられる温かいものが入ってくる。
何も考えられなくなっていた頭の中が、真っ白になった。
キス? これがキス?
キスとは口と口をつけるだけの行為じゃなかったのか?
縮こまった僕の舌を絡め取る、大きく熱いぬめりは、また新しいくすぐったさを僕の体に教え込んだ。
たっぷりと。
僕はまた、おもらしをしていた。
「ありゃりゃ、キスだけでイっちゃったか。君は敏感だね」
「せん、せい……」
体を蹂躙していた熱は今のおもらしとともに吐き出されて、代わりに猛烈な疲労感で頭が回らない。
先生は僕の唇を指でぬぐって綺麗にしてくれた。
指で触られることにも体が喜ぶように跳ねて、先生はいつものようににっこりと僕に笑いかけてくれている。
いい子だ。良くできたねと頭を撫でてくれた。
力なく頬が緩む。
嬉しい。嬉しい……
先生が、力の抜けた僕の体を綺麗にしてくれている。
すごくくすぐったくて、力の入らない体がくねくねしてしまう。
温かくて、幸せな気持ちで一杯だった。

……女の人の悲鳴が聞こえた。
母さんの声だった。
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