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天国は他の場所にもあった

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「ごめんごめん。さっきのは演技で、もちろん私はリウトが人を襲うなんてしないと思ってたよ」

 ちひろは調子の良いことを言って俺の右肩にしなだれてくる。

「ちひろが俺のことをどう思っているかよくわかったよ」
「だから冗談だって! 本気にしないでよ」

 俺を警察につき出そうとしたんだ。信じられるか。

「天城くん、ちひろさんも私を心配して言ってくれたから⋯⋯許して上げて下さい」

 神奈さんの言葉に心が揺れるが、そんなに簡単に許していいものか。

「ほ、ほら。この後プールでしょ? 冤罪かけた御詫びにプールで良いことをさせて上げるからさ」
「良いこと⋯⋯だと⋯⋯」

 プールで良いことって何だろう。まさか国民的人気のゲームに出てくる、あぶないかもしれない水着のように、布地が少ない水着を見せてくれるってことか! いや、良いことをさせて上げるだからそれは違うか。とにかくプールで起きる出来事だから、男の妄想を膨らませて行く内容であることは間違いないだろう。

「仕方ない。許してやるか」
「ふう⋯⋯さすがリウト。チョロいわね」
「ん? 今何か言ったか?」

 ちひろが何かを呟いていたが、声が小さくてよく聞こえなかった。だが今の俺にとってそんなことはささいなことだ。

「さあ早く行くぞ! プールが俺達を待っている!」

 時間は有限。俺は神奈さんとちひろを引き連れ、急ぎプールへと向かうのであった。

 そして俺はメイドさんに案内された一室でボクサータイプの海パンに着替え、今か今かと女性陣が来るのを待っている。
 それにしても暑いな。温水プールはガラスの窓で囲まれているため、太陽の光を存分に取り込んでいるから、周囲は夏のような暑さをかもしだしている。
 これは日焼け止めを塗らないと翌日大変なことになりそうだ。

「に、兄さんお待たせしました」
「せ、先輩。早いですね」
「リウトちゃんお待たせ」

 まずはユズ、瑠璃、コト姉が目の前に現れ、俺はその姿に圧倒されてしまう。

 ユズはフリルがついた白と黒のストライプのビキニの水着で、その大き過ぎる胸の谷間が隠し切れていなかった。

「どどど、どうですか兄さん?」
「どうですかって⋯⋯」

 両手で股の所と胸の所を隠してどうですかって言われても⋯⋯。
 それにユズは妹だから⋯⋯だが血は繋がっていない。そう思って見ると何だか今まで感じたことがない感情が自分の中で渦巻いているのがわかる。
 幼さがあるユズが、少し背伸びしたビキニ姿はとても似合っており⋯⋯。

「可愛いよユズ」

 素直に褒めることが出来た。

「ほほほ、本当ですか! う、嬉しい⋯⋯です⋯⋯」

 するとユズは顔を真っ赤にして座り込んでしまう。

「せ、先輩先輩。わ、私はどう⋯⋯ですか⋯⋯ね?」
「何故に疑問系?」

 瑠璃はユズと同じ様に顔を真っ赤にしながら両手を後ろに組んでいるため、そのスタイルの良さが強調されている。

「これは⋯⋯」

 瑠璃の水着は、フリルがついた白と水色のストライプのビキニで、形状がユズとそっくりだった。

「ユズユズと色ちがいのお揃いにしてみました~」

 2人は身長もスタイルも近いものがあるし、双子コーデではないが、揃って着るとまた一段と可愛さが増すな。

「瑠璃もとてもよく似合っているよ」
「ド、ドキドキしちゃいましたか?」
「それは⋯⋯まあ」

 何だか素直に答えるのが恥ずかしくて、少し曖昧な言い方をしてしまう。

「そうですか⋯⋯先輩はドキドキしちゃいましたか⋯⋯ふふ⋯⋯ふふふ⋯⋯」

 だがそんな言い方でもユズは嬉しかったのか笑みを浮かべていた。ユズも瑠璃も水着姿が似合っているが、それに加えて照れている所が普段と違ってさらに可愛さをアップさせている。

「リウトちゃん! お姉ちゃんの水着姿も見て見て~」

 コト姉はフリルがついた白いワンピースタイプの水着を俺に見せつけてくる。
 確かにユズや瑠璃程の胸の大きさはないが、そのスレンダーなスタイルがとても水着と合っており、似合っていた。

 それにしても腰が細! 何あれ? 人間? 
 胸のサイズは残念だけど可愛らしい容姿、シミ1つない肌、それに細い腰、正直グラビアアイドルと言われてもおかしくはないだろう。 

「コト姉もその水着姿似合っているよ」
「本当? リウトちゃんに褒めてもらえるなんて嬉しい~」

 コト姉はユズや瑠璃と違って堂々と水着姿を見せてくるから、こっちはドキドキしっぱなしだ。血が繋がっていない時はただ似合っているで終わっていたが、今は邪な感情が沸き上がっているのを自分でもわかる。
 もし水着姿でコト姉に迫られたりしたら⋯⋯ちょっと危ないかもしれない。

 いやいや、瑠璃はともかくユズとコト姉は家族。欲望を抑えつけなくちゃだめだ。瑠璃ではないが今こそ男なら誰もが持っている、スキル賢者タイムを発動させる時だ。

 俺はこれ以上三人を見ていると何だかおかしな感情に支配されそうになるので、顔を背ける。すると背けた先に今度は5人の女の子の姿があった。
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