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ユズはもう大人
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瑠璃と配信を行った翌日の日曜日
俺は久々に自然に起きることができた。
最近はコト姉とユズに起こされることが多かったから、何だかとても違和感を感じてしまう。
いや、これが正しいんだ。俺はこの日常が今後も続くことを強く願う。
そして俺は体を起こし、ベッドから出ると何やら甘い匂いが鼻を刺激する。
「これは⋯⋯クッキー? いやスポンジケーキか?」
朝からコト姉がお菓子作りに励んでいるのだろうか?
俺は匂いにつられて一階へと降りると⋯⋯可愛らしいピンクのエプロンを着けたユズが、キッチンで何やら作業をしていた。
「おはよう~」
「兄さんおはようございます」
ユズは返事はするがこちらに顔を向けず、オーブンをジーっと見ていた。
なるほど⋯⋯そろそろ焼き上がるということか。ユズはオーブンの中身がちゃんと出来ているか気が気じゃないといった所か。
そして電子音が鳴るとユズは急ぎオーブンを開ける。
「あつっ!」
ユズはオーブンの中身を早く出そうとしたためか、右手が熱気にやられ、声を上げてしまう。
「ちゃんと焼けたかな?」
ユズはオーブンの中身が余程気になるのか熱さなど気にせず、再びオーブンへと手を伸ばす。
やれやれ。
俺はキッチンへと向かい後ろからユズの右腕を掴む。
「に、兄さん⋯⋯ど、どうしました?」
ユズは突然のことに戸惑い、声が震え、狼狽えている様子が俺にもわかる。
しかし俺は有無も言わさず腕を引っ張り、ユズの身体を思うがままにし、そして⋯⋯。
ユズの右手を冷たい水につける。
「いつっ!」
やはり軽い火傷を負っていたのか。白い右手が水につかるとユズは顔をしかめる。
「別にオーブンの中身は逃げやしない。それより先に治療する方が先だろ?」
「そ、そうですね。すみません」
「謝らなくていい」
「はい⋯⋯」
そしてキッチンには水道の流れる音だけが響きわたる。
ユズの火傷が心配で、勢いで動いてしまったがこの体勢やばくないか?
傍からみれば俺が後ろからユズを抱きしめているように見えるぞ。確かにユズを後ろから抱きしめているが、これはあくまで火傷の治療をするためで邪な気持ちでやっているわけではない。
それにしても⋯⋯ユズも高校生になって大きくなったと思ったが、まだ小さいな。何故なら俺の腕の中にすっぽりと入っているからだ。いや、ユズも大きくなったが俺も大きくなったということか。
それと後ろから抱きしめた状態で、ユズの手を水で冷やしているから、肘がユズの胸に当たっている。
「大きくなったな」
俺は思ったことを口に出してしまう。
「それは⋯⋯もう高校生ですから」
たぶんユズは身体のことを言っているのだろう。俺とは話が噛み合っていないが、胸のことだと死んでも口にすることは出来ないので、ユズの話しに乗る。
「そうだな。ユズはもう大人だな」
「そうです⋯⋯私はもう子供じゃありません。だから⋯⋯」
ここで言葉が途切れる。ユズは何を言うつもりなのだろうか? だがこの後ユズから続きの言葉を聞くことは出来なかった。なぜなら⋯⋯。
俺は久々に自然に起きることができた。
最近はコト姉とユズに起こされることが多かったから、何だかとても違和感を感じてしまう。
いや、これが正しいんだ。俺はこの日常が今後も続くことを強く願う。
そして俺は体を起こし、ベッドから出ると何やら甘い匂いが鼻を刺激する。
「これは⋯⋯クッキー? いやスポンジケーキか?」
朝からコト姉がお菓子作りに励んでいるのだろうか?
俺は匂いにつられて一階へと降りると⋯⋯可愛らしいピンクのエプロンを着けたユズが、キッチンで何やら作業をしていた。
「おはよう~」
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「ちゃんと焼けたかな?」
ユズはオーブンの中身が余程気になるのか熱さなど気にせず、再びオーブンへと手を伸ばす。
やれやれ。
俺はキッチンへと向かい後ろからユズの右腕を掴む。
「に、兄さん⋯⋯ど、どうしました?」
ユズは突然のことに戸惑い、声が震え、狼狽えている様子が俺にもわかる。
しかし俺は有無も言わさず腕を引っ張り、ユズの身体を思うがままにし、そして⋯⋯。
ユズの右手を冷たい水につける。
「いつっ!」
やはり軽い火傷を負っていたのか。白い右手が水につかるとユズは顔をしかめる。
「別にオーブンの中身は逃げやしない。それより先に治療する方が先だろ?」
「そ、そうですね。すみません」
「謝らなくていい」
「はい⋯⋯」
そしてキッチンには水道の流れる音だけが響きわたる。
ユズの火傷が心配で、勢いで動いてしまったがこの体勢やばくないか?
傍からみれば俺が後ろからユズを抱きしめているように見えるぞ。確かにユズを後ろから抱きしめているが、これはあくまで火傷の治療をするためで邪な気持ちでやっているわけではない。
それにしても⋯⋯ユズも高校生になって大きくなったと思ったが、まだ小さいな。何故なら俺の腕の中にすっぽりと入っているからだ。いや、ユズも大きくなったが俺も大きくなったということか。
それと後ろから抱きしめた状態で、ユズの手を水で冷やしているから、肘がユズの胸に当たっている。
「大きくなったな」
俺は思ったことを口に出してしまう。
「それは⋯⋯もう高校生ですから」
たぶんユズは身体のことを言っているのだろう。俺とは話が噛み合っていないが、胸のことだと死んでも口にすることは出来ないので、ユズの話しに乗る。
「そうだな。ユズはもう大人だな」
「そうです⋯⋯私はもう子供じゃありません。だから⋯⋯」
ここで言葉が途切れる。ユズは何を言うつもりなのだろうか? だがこの後ユズから続きの言葉を聞くことは出来なかった。なぜなら⋯⋯。
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