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痛みは誰も味わいたくない
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「越智! 織田! 止めろ!」
沢尻のシュートに対して都筑の声がフィールドに響き渡る。
「わかった!」
「任せてくれ!」
いくらゴールまで距離があるとはいえ、易々とシュートを打たせる訳にはいかない。この位置からのシュートでも入らない確率はゼロではないため、止めに行くのは辺り前のことだと言えよう。
沢尻の恵まれた体格からシュートが放たれる。
インパクトの瞬間もの凄い音がしたぞ、もしこのシュートを足以外に食らったら⋯⋯。
「ぐあっ!」
そして俺の予想通り、ボールは越智の胸に当たるとラインを割り、Cクラスのスローインとなった。
越智は沢尻のシュートの威力により、ボールが当たった胸を両手で抑え、地面に倒れている。
「越智くん大丈夫か!」
一番近くにいた織田くんが、蹲っている越智の元に駆け寄る。
そして審判も越智の様子がただ事じゃないと感じとり、試合を一時中断させる。
「今のシュート、凄い威力でしたね」
「当たった子は大丈夫かなあ」
瑠璃とコト姉が倒れている越智を心配そうに見つめる。
「ボールが当たった瞬間凄い音がしたからな」
「まさか先輩がさっき言っていた似たようなことって⋯⋯」
「ああ、その通りだ」
俺は瑠璃の問いかけに肯定の言葉を返す。
越智は顔をしかめながら何とか立ち上がるが、片手で胸を抑えているため、まだダメージが残っていることが明白だ。しかし越智は大丈夫と試合を始めるよう促すが、このまま試合再開⋯⋯とはいかなかった。
「沢尻てめえ!」
突如都筑から怒号が上がり、越智にボールを当てた沢尻に掴みかかろうと突撃する。
「まて都筑!」
「お前そんなことしたら退場になるぞ!」
沢尻に拳が届く前に、何とか悟と三浦が都筑を羽交い締めにして止めることに成功する。
「俺はシュートしただけなのに何故お前は怒っている。そんなことよりむしろシュートをブロックしたこいつを褒め称えてやったらどうだ」
「ふざけるな! きたねえ手を使いやがって。お前わざと狙っただろう!」
センターサークル付近でシュートを打つのはおかしい、何よりボールの軌道がゴールより越智の方に向けられてように見えた。
頭に血が昇りやすい都筑でもその答えに行くのは必然だろう。
「サッカーってやつはシュートを相手に止められると反則になるのか? さっきの言葉をそっくり返すぜ。都筑こそ、その足りない頭でルールを学んだ方がいいんじゃないか?」
確か行為にボールをぶつけたら、スポーツマンシップに反するから反則になるはずだ。しかし都筑はサッカー部ではないし、シュートを狙っただけと言われれば、反則は取られないかもしれない。
「ぶっ殺してやる!」
沢尻の明らかな挑発に乗った都筑は、羽交い締めにしている悟と三浦を引きずりながら前へと進む。そしてとうとう沢尻に手が届きそうになった時。
「都筑くんやめて下さい!」
神奈さんが都筑の前に立ち塞がった。
沢尻のシュートに対して都筑の声がフィールドに響き渡る。
「わかった!」
「任せてくれ!」
いくらゴールまで距離があるとはいえ、易々とシュートを打たせる訳にはいかない。この位置からのシュートでも入らない確率はゼロではないため、止めに行くのは辺り前のことだと言えよう。
沢尻の恵まれた体格からシュートが放たれる。
インパクトの瞬間もの凄い音がしたぞ、もしこのシュートを足以外に食らったら⋯⋯。
「ぐあっ!」
そして俺の予想通り、ボールは越智の胸に当たるとラインを割り、Cクラスのスローインとなった。
越智は沢尻のシュートの威力により、ボールが当たった胸を両手で抑え、地面に倒れている。
「越智くん大丈夫か!」
一番近くにいた織田くんが、蹲っている越智の元に駆け寄る。
そして審判も越智の様子がただ事じゃないと感じとり、試合を一時中断させる。
「今のシュート、凄い威力でしたね」
「当たった子は大丈夫かなあ」
瑠璃とコト姉が倒れている越智を心配そうに見つめる。
「ボールが当たった瞬間凄い音がしたからな」
「まさか先輩がさっき言っていた似たようなことって⋯⋯」
「ああ、その通りだ」
俺は瑠璃の問いかけに肯定の言葉を返す。
越智は顔をしかめながら何とか立ち上がるが、片手で胸を抑えているため、まだダメージが残っていることが明白だ。しかし越智は大丈夫と試合を始めるよう促すが、このまま試合再開⋯⋯とはいかなかった。
「沢尻てめえ!」
突如都筑から怒号が上がり、越智にボールを当てた沢尻に掴みかかろうと突撃する。
「まて都筑!」
「お前そんなことしたら退場になるぞ!」
沢尻に拳が届く前に、何とか悟と三浦が都筑を羽交い締めにして止めることに成功する。
「俺はシュートしただけなのに何故お前は怒っている。そんなことよりむしろシュートをブロックしたこいつを褒め称えてやったらどうだ」
「ふざけるな! きたねえ手を使いやがって。お前わざと狙っただろう!」
センターサークル付近でシュートを打つのはおかしい、何よりボールの軌道がゴールより越智の方に向けられてように見えた。
頭に血が昇りやすい都筑でもその答えに行くのは必然だろう。
「サッカーってやつはシュートを相手に止められると反則になるのか? さっきの言葉をそっくり返すぜ。都筑こそ、その足りない頭でルールを学んだ方がいいんじゃないか?」
確か行為にボールをぶつけたら、スポーツマンシップに反するから反則になるはずだ。しかし都筑はサッカー部ではないし、シュートを狙っただけと言われれば、反則は取られないかもしれない。
「ぶっ殺してやる!」
沢尻の明らかな挑発に乗った都筑は、羽交い締めにしている悟と三浦を引きずりながら前へと進む。そしてとうとう沢尻に手が届きそうになった時。
「都筑くんやめて下さい!」
神奈さんが都筑の前に立ち塞がった。
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