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士気は戦いには重要だ

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エクセプション試験当日

 午前中の通常授業が終わり、午後はいよいよエクセプション試験である封鎖サッカーが始まる。
 クラスの空気は負けたらスコアを失ってしまうという負の感情と、都筑の威圧による恐怖に支配されていた。
 これは後でちひろに聞いた話だが、Cクラスとのスコア戦が決まってからの放課後の練習では、都筑の叱咤が飛び、運動が苦手な何人かは理由をつけて休んでいると言っていた。

 ボロボロだな。
 都筑は良かれと思って発破をかけているのかもしれないが、その気持ちはクラスメート達には全く届いていない。そしてその様子を見て、まとめ役として頑張っている神奈さんの表情も暗い。
 残念だがこのまま試合をすれば負けるのは当然の結果だろう。

 そして俺達は更衣室で体育着に着替えて校庭へと向かう。するとAクラスの様子を見て、こそこそと何かを話しているCクラスで野球部のエースの沢尻とキャッチャーの月野谷の姿を見かけた。

「一八見たか?」
「ああ。試合前なのに士気が全然上がってねえな。まるで死んだ魚の目だぜ」
「一八からAクラスにスコア戦を仕掛けるって言われた時は焦ったけど、これは俺達の勝利で決まったな」
「単純な都筑を挑発すれば簡単に乗ってくると思ったぜ」

 二人の声は俺達の所まで聞こえている。
 おそらくこちらを動揺させるために、わざと聞かせているのだろう。幸いと言っていいのかわからないが、頭に血が昇りやすい都筑や悟達はすで校庭へと向かっていたのでこの場にはいない。

「バカな奴等だぜ、あんな男をリーダーにするなんて」
「せいぜい自分達の無能さを呪うんだな」

 そう言って二人は高笑いしてこの場を去る。
 今の話を聞いて闘志が燃え上がればいいが、ここにいるクラスメート達はただ悔しそうな顔をするだけだった。

 そして先に校庭へ向かっていたクラスメート達と合流すると、都筑が皆の前に出て口を開く。

「この封鎖サッカーのきもは先取点だ! 先取点を取れば優位な状況に立てる! 前半から飛ばしていくぞ!」

 都筑の激にクラスメート達から声は上がるが、やはり覇気がない。
 さすがの都筑もこの状況はまずいと感じ取っているのか、何とか先取点を取ってチームを鼓舞したいといった所だな。都筑の言葉通り、先取点を取れば相手のエースを封じ込めてその後の試合を有利にすることが出来るため、両チームに取ってどうしても欲しいものだ。

「これから試合を始めるのでセンターサークルまで集まって下さい」

 そして三年の教師から声がかかり、前半に出場する選手達がセンターサークルに向かい整列する。

「では、これより2年Aクラス対2年Cクラスのエクセプション試験である封鎖サッカーを初める」

 選手達は教師の言葉で互いに礼をしフィールドに散る。そして審判の笛が鳴り、封鎖サッカーの試合が始まるのであった。
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