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犯人は誰だ
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ノアがとんでもないことを言い始めた。
この部屋にいるのは俺とマシロとノア。そして犯人を宣言したノアが容疑者な訳がない。そうなると自ずと誰が食べたかわかってしまう。
「ふにゃあっ!」
猫化したマシロが奇声を上げ飛びかかってきた。
鋭い爪が俺の顔付近に迫ってくる。
だが甘い。ノアの宣言を聞いてマシロが殺意を向けてくることは読んでいた。
俺は上体を反らし、ひらりと爪をかわす。
「シャーッ! シャーッ!」
マシロは完全に俺を敵として見ているな。
今の攻撃も首の頸動脈を狙っていた。確実に仕留めるつもりのようだ。
それにしても、沈没を恐れていたマシロはどこに行ったのやら。それだけ焼き魚を食べたかったということはわかるけど。
だけど俺は犯人じゃない。それをどうすればわかってもらえるか⋯⋯
「ちょっとマシロさん! 何をしているんですか!」
だがこの時、救世主が現れた。ノアが俺を守るようにマシロの前に立つ。
「何を? この盗人に天罰を下している所ですが」
いや、そもそも魚を買ったのは俺では? とツッコミたかったが、余計なことを言うとさらに状況が悪化しそうなので止めておく。
「僕はユートさんが犯人だなんて言ってません!」
確かにノアは、犯人はこの部屋の中にいると言っただけで、俺が犯人とは言っていない。
そうなると魚と肉を食べた容疑者は一人だけだ。
俺は目を細めてマシロに視線を送る。
「な、何ですか」
「そういえば犯人って、自分の罪を人に擦り付けるために騒ぎ立てるって聞いたことがあるな」
「私は食べてません!」
「別に俺はマシロが犯人とは言ってないぞ。ただ俺が犯人じゃないとすると⋯⋯」
「私だと言いたいのですか?」
だけど疑問は残る。いつ魚を食したのか、そして何故ノアの骨付き肉まで食べたのか⋯⋯
もしかして犯人は別にいるのか?
だがその疑問は、この後ノアが答えてくれた
「二人共やめて下さい! 犯人はユートさんでもマシロさんでもないです」
「えっ? そうなるとノア⋯⋯まさかあなたが私の魚を⋯⋯」
だから俺が買った魚な。
「違います! この部屋にはもう一人⋯⋯別の人の匂いを感じます」
「別の人?」
この船室には今俺達がいるリビングと、奥の部屋にある寝室の二部屋になっている。
もしかして奥の寝室に誰かいるのか。
「この奥に私の魚を食し、罪を擦り付けた者がいるってことですね」
マシロの身体から怒りの炎が上がっている。だけど俺に罪を擦り付けたマシロが言う言葉じゃないぞ。
「マシロ待て。この奥に誰かいるなら俺が行く。後これ以上喋るな」
二人が話しているのを見られたらややこしいことになる。
ここは俺が先頭に立って行くのがいいだろう。
マシロは俺の言葉を理解したのか一度下がり、俺の肩に乗る。
「シャーッ! シャーッ!」
そして喋って怒りを表せない分、猫語で威嚇していた。
耳元でシャーッシャーッやられると、顔を引っかかれそうで俺が怖いから止めてほしい。
とにかくマシロの機嫌を治すためにも、早く不審者を片付けるとしよう。
俺は奥の部屋のドアノブに手を置く。
さっきまで騒いでいたから、犯人は警戒しているかもしれない。
ゆっくりとドアノブを回し、部屋の中を覗いた。
すると予想外のものが俺の目に入ってきた。
どういうことだ? 状況が理解出来ない。
寝室には侵入者と思われる人物がいた。その人物はパールホワイトの長い髪の女の子で、何故か俺のベッドの枕に抱きつきながら、目を閉じているのであった。
―――――――――――――――
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この部屋にいるのは俺とマシロとノア。そして犯人を宣言したノアが容疑者な訳がない。そうなると自ずと誰が食べたかわかってしまう。
「ふにゃあっ!」
猫化したマシロが奇声を上げ飛びかかってきた。
鋭い爪が俺の顔付近に迫ってくる。
だが甘い。ノアの宣言を聞いてマシロが殺意を向けてくることは読んでいた。
俺は上体を反らし、ひらりと爪をかわす。
「シャーッ! シャーッ!」
マシロは完全に俺を敵として見ているな。
今の攻撃も首の頸動脈を狙っていた。確実に仕留めるつもりのようだ。
それにしても、沈没を恐れていたマシロはどこに行ったのやら。それだけ焼き魚を食べたかったということはわかるけど。
だけど俺は犯人じゃない。それをどうすればわかってもらえるか⋯⋯
「ちょっとマシロさん! 何をしているんですか!」
だがこの時、救世主が現れた。ノアが俺を守るようにマシロの前に立つ。
「何を? この盗人に天罰を下している所ですが」
いや、そもそも魚を買ったのは俺では? とツッコミたかったが、余計なことを言うとさらに状況が悪化しそうなので止めておく。
「僕はユートさんが犯人だなんて言ってません!」
確かにノアは、犯人はこの部屋の中にいると言っただけで、俺が犯人とは言っていない。
そうなると魚と肉を食べた容疑者は一人だけだ。
俺は目を細めてマシロに視線を送る。
「な、何ですか」
「そういえば犯人って、自分の罪を人に擦り付けるために騒ぎ立てるって聞いたことがあるな」
「私は食べてません!」
「別に俺はマシロが犯人とは言ってないぞ。ただ俺が犯人じゃないとすると⋯⋯」
「私だと言いたいのですか?」
だけど疑問は残る。いつ魚を食したのか、そして何故ノアの骨付き肉まで食べたのか⋯⋯
もしかして犯人は別にいるのか?
だがその疑問は、この後ノアが答えてくれた
「二人共やめて下さい! 犯人はユートさんでもマシロさんでもないです」
「えっ? そうなるとノア⋯⋯まさかあなたが私の魚を⋯⋯」
だから俺が買った魚な。
「違います! この部屋にはもう一人⋯⋯別の人の匂いを感じます」
「別の人?」
この船室には今俺達がいるリビングと、奥の部屋にある寝室の二部屋になっている。
もしかして奥の寝室に誰かいるのか。
「この奥に私の魚を食し、罪を擦り付けた者がいるってことですね」
マシロの身体から怒りの炎が上がっている。だけど俺に罪を擦り付けたマシロが言う言葉じゃないぞ。
「マシロ待て。この奥に誰かいるなら俺が行く。後これ以上喋るな」
二人が話しているのを見られたらややこしいことになる。
ここは俺が先頭に立って行くのがいいだろう。
マシロは俺の言葉を理解したのか一度下がり、俺の肩に乗る。
「シャーッ! シャーッ!」
そして喋って怒りを表せない分、猫語で威嚇していた。
耳元でシャーッシャーッやられると、顔を引っかかれそうで俺が怖いから止めてほしい。
とにかくマシロの機嫌を治すためにも、早く不審者を片付けるとしよう。
俺は奥の部屋のドアノブに手を置く。
さっきまで騒いでいたから、犯人は警戒しているかもしれない。
ゆっくりとドアノブを回し、部屋の中を覗いた。
すると予想外のものが俺の目に入ってきた。
どういうことだ? 状況が理解出来ない。
寝室には侵入者と思われる人物がいた。その人物はパールホワイトの長い髪の女の子で、何故か俺のベッドの枕に抱きつきながら、目を閉じているのであった。
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