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ユウトVSゼノス後編
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そして俺はゼノスに向かいながら、自分自身の力を全開で解放する。
自身のあらゆる能力が跳ね上がることを実感した。
久々の本気モードだ。簡単に終わってくれるなよ。
「ゼノス! やってしまえ!」
クーソの命令でゼノスは高速で鎌を何度も振る。
すると地面を割りながら、黒き刃の衝撃波がこちらへと向かってきた。
「は、速い! それになんて威力なの!」
リアの悲痛の叫びが聞こえるが、この程度の攻撃を避けるのは造作もない。
しかしこのまま黒き刃をかわすとリア達や、魂を奪われた者達も被害を被りそうだ。
ならやることは一つだな。
俺は二振りの剣を使い、黒き刃の衝撃波ごと斬る。
「バカなそのようなこと出来るわけ⋯⋯なんだと!」
クーソの驚愕の声が闘技場に響き渡る。
何故なら俺は、ゼノスが放った黒き刃を切り裂いて、前に進んでいるからだ。
「ふざけるな! 何をしている! 早くあの仮面の男を八つ裂きにしろ!」
クーソの言葉に従い、ゼノスの黒き刃が激しさを増していく。
「何度やっても無駄だ。その程度のそよ風で俺を切り裂くことなど出来ない」
「そ、そよ風? 闘技場を破壊する程の威力だぞ!」
「例えどれだけ威力があろうと、当たらなければどうということはない」
俺は黒き刃を斬りながらさらに前進し、ゼノスの目前まで迫る。
「こうなったら直接切り裂いてしまえ! 衝撃波を発生させる程の力、受けきれるはずがない!」
なるほど。力なら俺に勝てると。
この状態のゼノスの攻撃をかわすのは容易なことだ。
だがここはオルタンシアを苦しめたクーソを絶望に落とすため、あえて受けてやろう。
周囲の全てを切り裂く鎌が俺へと降り注ぐ。
俺は両手に持った二振りの剣を使い、受け止めた。
くっ! ズシリと重い一撃が両腕⋯⋯いや、身体全体にのし掛かる。
これが何千、何万の魂を糧にした攻撃か。
だが確かに重いがただそれだけだ。
俺は二つの剣を使い、ゼノスの鎌を弾いた。
「ありえんありえんありえんありえん! 何故だ! 何故貴様はゼノスの力を凌駕する。ゼノスはかつて王国を滅ぼしかけた魔物だぞ!」
クーソは目の前であった出来事を信じることができず、現実逃避をし始めた。
「それなら教えてやろう! 一つは俺の方がゼノスより強いからだ」
「き、貴様! 舐めたことを!」
「そしてもう一つはクーソ⋯⋯お前の存在だ」
「どういうことだ! 私は関係ないだろ!」
やれやれ。おめでたい奴だな。
気づいていないとは。
「音楽に例えるなら指揮者が無能だと、その楽団は力を発揮出来ないということだ」
「まさか私が無能な指揮者だというのか!」
「お前がゼノスを操っていることで、動きが単調になっているということに気づいていないのか?」
強力な魔物を従えるのはいいが、わざわざ次にどのような攻撃が来るか、クーソが教えてくれていたからな。
戦いとは常に戦況が変化して、その場面場面で対応しなければならない。
しかしマリオネットとかしたゼノスにはそのような思考はないようだ。
出来れば全力のお前と戦って見たかったが、それは叶わぬ願いとなるだろう。
「私のせい⋯⋯だと⋯⋯だ、だが貴様は初めにゼノスと戦っていた時はそのような力はなかったはずだ。まさか手加減していたとでもいうつもりなのか」
「そのことについては既に答えたつもりだが」
「どういうことだ」
「さあ、遊びはここまでだと」
やれやれ。ゼノスを使役したことに酔って、俺のことなど気にも止めていなかったようだ。
「ま、まさか虚勢を張っていたわけではなかったのか」
クーソは真実を目の当たりにして狼狽えていた。
「とりあえず、魂を吸われた者達を解放させてもらうぞ」
ゼノスが力強く鎌を振り回してくるが、俺はかわし背後へと回る。
そして背負っている壺を狙って剣を叩き込む。
さっきは弾かれたが今度はどうなるか。
パリンッ!
じゃっかんの不安はあったが壺は無事に割れ、白い球体が噴き出していく。
そして帰るべき場所を見つけたのか、倒れた人々の身体へと戻っていった。
「あっ⋯⋯あっ⋯⋯」
クーソは魂が解放されたことで絶望し、膝から崩れ落ちる。
「これで終わりだ」
俺は迫ってきた鎌を剣を使って力ずくで弾く。
そして二振りの剣でゼノスを斬りつけるのであった。
自身のあらゆる能力が跳ね上がることを実感した。
久々の本気モードだ。簡単に終わってくれるなよ。
「ゼノス! やってしまえ!」
クーソの命令でゼノスは高速で鎌を何度も振る。
すると地面を割りながら、黒き刃の衝撃波がこちらへと向かってきた。
「は、速い! それになんて威力なの!」
リアの悲痛の叫びが聞こえるが、この程度の攻撃を避けるのは造作もない。
しかしこのまま黒き刃をかわすとリア達や、魂を奪われた者達も被害を被りそうだ。
ならやることは一つだな。
俺は二振りの剣を使い、黒き刃の衝撃波ごと斬る。
「バカなそのようなこと出来るわけ⋯⋯なんだと!」
クーソの驚愕の声が闘技場に響き渡る。
何故なら俺は、ゼノスが放った黒き刃を切り裂いて、前に進んでいるからだ。
「ふざけるな! 何をしている! 早くあの仮面の男を八つ裂きにしろ!」
クーソの言葉に従い、ゼノスの黒き刃が激しさを増していく。
「何度やっても無駄だ。その程度のそよ風で俺を切り裂くことなど出来ない」
「そ、そよ風? 闘技場を破壊する程の威力だぞ!」
「例えどれだけ威力があろうと、当たらなければどうということはない」
俺は黒き刃を斬りながらさらに前進し、ゼノスの目前まで迫る。
「こうなったら直接切り裂いてしまえ! 衝撃波を発生させる程の力、受けきれるはずがない!」
なるほど。力なら俺に勝てると。
この状態のゼノスの攻撃をかわすのは容易なことだ。
だがここはオルタンシアを苦しめたクーソを絶望に落とすため、あえて受けてやろう。
周囲の全てを切り裂く鎌が俺へと降り注ぐ。
俺は両手に持った二振りの剣を使い、受け止めた。
くっ! ズシリと重い一撃が両腕⋯⋯いや、身体全体にのし掛かる。
これが何千、何万の魂を糧にした攻撃か。
だが確かに重いがただそれだけだ。
俺は二つの剣を使い、ゼノスの鎌を弾いた。
「ありえんありえんありえんありえん! 何故だ! 何故貴様はゼノスの力を凌駕する。ゼノスはかつて王国を滅ぼしかけた魔物だぞ!」
クーソは目の前であった出来事を信じることができず、現実逃避をし始めた。
「それなら教えてやろう! 一つは俺の方がゼノスより強いからだ」
「き、貴様! 舐めたことを!」
「そしてもう一つはクーソ⋯⋯お前の存在だ」
「どういうことだ! 私は関係ないだろ!」
やれやれ。おめでたい奴だな。
気づいていないとは。
「音楽に例えるなら指揮者が無能だと、その楽団は力を発揮出来ないということだ」
「まさか私が無能な指揮者だというのか!」
「お前がゼノスを操っていることで、動きが単調になっているということに気づいていないのか?」
強力な魔物を従えるのはいいが、わざわざ次にどのような攻撃が来るか、クーソが教えてくれていたからな。
戦いとは常に戦況が変化して、その場面場面で対応しなければならない。
しかしマリオネットとかしたゼノスにはそのような思考はないようだ。
出来れば全力のお前と戦って見たかったが、それは叶わぬ願いとなるだろう。
「私のせい⋯⋯だと⋯⋯だ、だが貴様は初めにゼノスと戦っていた時はそのような力はなかったはずだ。まさか手加減していたとでもいうつもりなのか」
「そのことについては既に答えたつもりだが」
「どういうことだ」
「さあ、遊びはここまでだと」
やれやれ。ゼノスを使役したことに酔って、俺のことなど気にも止めていなかったようだ。
「ま、まさか虚勢を張っていたわけではなかったのか」
クーソは真実を目の当たりにして狼狽えていた。
「とりあえず、魂を吸われた者達を解放させてもらうぞ」
ゼノスが力強く鎌を振り回してくるが、俺はかわし背後へと回る。
そして背負っている壺を狙って剣を叩き込む。
さっきは弾かれたが今度はどうなるか。
パリンッ!
じゃっかんの不安はあったが壺は無事に割れ、白い球体が噴き出していく。
そして帰るべき場所を見つけたのか、倒れた人々の身体へと戻っていった。
「あっ⋯⋯あっ⋯⋯」
クーソは魂が解放されたことで絶望し、膝から崩れ落ちる。
「これで終わりだ」
俺は迫ってきた鎌を剣を使って力ずくで弾く。
そして二振りの剣でゼノスを斬りつけるのであった。
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