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11話 反撃 その1
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「先ほどから聞いていると……なんとも勝手なことを言ってくださってますね。私の大切な妹を相手に……」
シヴィル姉さまの声のトーンが相当に低い……。これは本気の時の姉さまの態度だ。相手が公爵様や侯爵令嬢でも関係なし、といった雰囲気が出ていた。あんまり無茶はしてほしくないけれど、私は見守ることしかできない。
「あら、言ってくれるわね。たかだか、伯爵令嬢であるシヴィル? だったかしら」
「ええ、そうです。こうしてお話しするのは初めてでしたでしょうか、ドロシー侯爵令嬢」
「初めてね。あなた程度の階級の令嬢なんて、私の眼中にはないから」
ドロシー侯爵令嬢も負けじと姉さまに反撃している。シヴィル姉さまは気にしている素振りはないけれど、かなり酷い言葉だ。そもそも伯爵家であるサルデリア家はそれなりの家系に該当する。
それをいくら侯爵の家系であっても「その程度」なんて言えるはずはないのだけれど。
「言ってくれますね……後で、後悔なさらないようにお願い致します」
「それはこちらのセリフだわ……まったく。侯爵や公爵である私達に逆らって、サルデリアの家に傷が付かないといいけどね。とにかく、ユリアーナ、あなたは金輪際、デミル公爵には近づかないで頂戴」
やっぱり、それが言いたかったわけね……そんなこと言われなくたって、近づくわけはないのに。わざわざ、私の屋敷にやって来て、ここまで文句を垂れ流すなんて、性格が歪んでいるとしか言いようがない。
いくら外見が良く、家柄がしっかりしていても、デミル公爵はこれから大変な思いをするでしょうね。私には関係ないことだけど。
「で、どうなの? ユリアーナ」
「わかっています、私はドロシー様に迷惑を掛けるつもりはありませんので……デミル公爵には近づきません」
「約束よ」
「はい」
私は表面上は丁寧に話してみせた。ドロシー侯爵令嬢も満足そうにしている。自分の方が完全に上位に来たと思って優越感に浸っている印象ね。シヴィル姉さまも気付いているようだった。
「デミル公爵も大変でございますね」
「なに? どういうことだ?」
「まあ、私達姉妹にはもう関係のないことではございますが……」
異様に冷たい表情と声で姉さまは言った。デミル公爵も内心では分かっているのか、焦っている風にも見える。
「ちょっと、さっきから誰に向かって口を聞いているの? 無礼な姉妹ね!」
いえ、無礼なのがどっちかは一目瞭然だと思うけど……ドロシー侯爵令嬢には常識という言葉は通用しなさそうだった。ここまで歪んだ貴族はそうはいないと思う。
「どちらが無礼か、そんなものはすぐに分かるだろう?」
「……?」
そして、このタイミングでジスパ王子殿下が姿を現した。私達の反撃が本格化しそうなタイミングで……。
シヴィル姉さまの声のトーンが相当に低い……。これは本気の時の姉さまの態度だ。相手が公爵様や侯爵令嬢でも関係なし、といった雰囲気が出ていた。あんまり無茶はしてほしくないけれど、私は見守ることしかできない。
「あら、言ってくれるわね。たかだか、伯爵令嬢であるシヴィル? だったかしら」
「ええ、そうです。こうしてお話しするのは初めてでしたでしょうか、ドロシー侯爵令嬢」
「初めてね。あなた程度の階級の令嬢なんて、私の眼中にはないから」
ドロシー侯爵令嬢も負けじと姉さまに反撃している。シヴィル姉さまは気にしている素振りはないけれど、かなり酷い言葉だ。そもそも伯爵家であるサルデリア家はそれなりの家系に該当する。
それをいくら侯爵の家系であっても「その程度」なんて言えるはずはないのだけれど。
「言ってくれますね……後で、後悔なさらないようにお願い致します」
「それはこちらのセリフだわ……まったく。侯爵や公爵である私達に逆らって、サルデリアの家に傷が付かないといいけどね。とにかく、ユリアーナ、あなたは金輪際、デミル公爵には近づかないで頂戴」
やっぱり、それが言いたかったわけね……そんなこと言われなくたって、近づくわけはないのに。わざわざ、私の屋敷にやって来て、ここまで文句を垂れ流すなんて、性格が歪んでいるとしか言いようがない。
いくら外見が良く、家柄がしっかりしていても、デミル公爵はこれから大変な思いをするでしょうね。私には関係ないことだけど。
「で、どうなの? ユリアーナ」
「わかっています、私はドロシー様に迷惑を掛けるつもりはありませんので……デミル公爵には近づきません」
「約束よ」
「はい」
私は表面上は丁寧に話してみせた。ドロシー侯爵令嬢も満足そうにしている。自分の方が完全に上位に来たと思って優越感に浸っている印象ね。シヴィル姉さまも気付いているようだった。
「デミル公爵も大変でございますね」
「なに? どういうことだ?」
「まあ、私達姉妹にはもう関係のないことではございますが……」
異様に冷たい表情と声で姉さまは言った。デミル公爵も内心では分かっているのか、焦っている風にも見える。
「ちょっと、さっきから誰に向かって口を聞いているの? 無礼な姉妹ね!」
いえ、無礼なのがどっちかは一目瞭然だと思うけど……ドロシー侯爵令嬢には常識という言葉は通用しなさそうだった。ここまで歪んだ貴族はそうはいないと思う。
「どちらが無礼か、そんなものはすぐに分かるだろう?」
「……?」
そして、このタイミングでジスパ王子殿下が姿を現した。私達の反撃が本格化しそうなタイミングで……。
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