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7話 想い
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「私や姉さまに会いに来てくれた、というのですか? それだけの理由なのですか……?」
「ああ、そうだよ」
特に恥ずかしがる様子もなく、ジスパ王子殿下は語っていた。聞いている私の方は今にも顔が爆発しそうだったけど……。
憧れの王子殿下が久しぶりにお越しになって、しかもその目的が私や姉さまだったなんて、こんなに嬉しいことはめずらしいかもしれない。そして……さらに嬉しくなる追い打ちが私を襲って来たのだった。
「シヴィルにも会いたかった、というのは勿論だが……どちらかと言うと、ユリアーナに会いに来たというのが正しいかな」
「ジスパ王子殿下……!?」
これはもしかすると告白と変わらないのでは……? 私は王子殿下の立場の方が、そんなことを言ったことに驚いてしまい、慌てふためいてしまった。周りから見れば、不審者と思われても仕方ない程の慌てようだった。
「ジスパ王子殿下……個人的にはとても嬉しく思いますが、私は婚約破棄をされた直後の身ですので……」
「そうだったな、申し訳ない。しかし……デミル・ウィリー公爵への想いというのは、残っているのか?」
「えっ……?」
なぜか話が私の予想の斜め上に向かっているような……デミル公爵への想いは既に消えているのは間違いないけれど、だからと言ってどうなるものでもないような……。それとも、私の感覚が間違っているのかしら?
「いえ、あんな婚約破棄をされたのですし、想いが残っていることなんてありませんが」
私は、ジスパ王子殿下に本音を告げた。すると彼は……。
「それを聞けて安心したよ、ユリアーナ」
「ど、どういうことでしょうか……?」
あれ……? やっぱり変な方向に向かっているわよね? おそらく、ジスパ王子殿下は今日は私や姉さまに会いに来てくれただけなのだろうとは思うけど。
もしかすると……私が婚約破棄されたことを知って、予定を変更しているのかもしれない。えっ? そ、それってとても不味いんじゃ……。そんな風に私が考えている間にも、ジスパ王子殿下は言葉を続けていた。
「ユリアーナは私のことをどう思っている?」
「ジスパ王子殿下? それって……」
嘘でしょう? いえ、ある意味では願っていたことなのかもしれないけれど……私は王子殿下の質問になんて答えればいいのかしら……。
私の初恋の相手でもあるジスパ王子殿下……私の勘違いでなければ、彼も私のことを多少は気に入ってくれていたと思う。でも、簡単には会えなくなって5年が経過した……また、あの時のチャンスが……5年前には言えなかった想いを伝える絶好の機会が訪れている。
私は自らの想いを正直に伝えることにした……のだけれど……。
「恐れながら申し上げます、ジスパ王子殿下、ユリアーナ様!」
私の屋敷に勤めている執事の介入が、私の告白の邪魔をした。
「どうしたんだ?」
「はい! それが……デミル・ウィリー公爵がお出でになっておられます!」
報告に来た執事は相当に焦っているようだった。おそらくは姉さまから事情を聞いているのだろうけど。それよりも、デミル公爵が来ている? どういうこと? 私の中で嫌な予感がよぎってしまった。
「ああ、そうだよ」
特に恥ずかしがる様子もなく、ジスパ王子殿下は語っていた。聞いている私の方は今にも顔が爆発しそうだったけど……。
憧れの王子殿下が久しぶりにお越しになって、しかもその目的が私や姉さまだったなんて、こんなに嬉しいことはめずらしいかもしれない。そして……さらに嬉しくなる追い打ちが私を襲って来たのだった。
「シヴィルにも会いたかった、というのは勿論だが……どちらかと言うと、ユリアーナに会いに来たというのが正しいかな」
「ジスパ王子殿下……!?」
これはもしかすると告白と変わらないのでは……? 私は王子殿下の立場の方が、そんなことを言ったことに驚いてしまい、慌てふためいてしまった。周りから見れば、不審者と思われても仕方ない程の慌てようだった。
「ジスパ王子殿下……個人的にはとても嬉しく思いますが、私は婚約破棄をされた直後の身ですので……」
「そうだったな、申し訳ない。しかし……デミル・ウィリー公爵への想いというのは、残っているのか?」
「えっ……?」
なぜか話が私の予想の斜め上に向かっているような……デミル公爵への想いは既に消えているのは間違いないけれど、だからと言ってどうなるものでもないような……。それとも、私の感覚が間違っているのかしら?
「いえ、あんな婚約破棄をされたのですし、想いが残っていることなんてありませんが」
私は、ジスパ王子殿下に本音を告げた。すると彼は……。
「それを聞けて安心したよ、ユリアーナ」
「ど、どういうことでしょうか……?」
あれ……? やっぱり変な方向に向かっているわよね? おそらく、ジスパ王子殿下は今日は私や姉さまに会いに来てくれただけなのだろうとは思うけど。
もしかすると……私が婚約破棄されたことを知って、予定を変更しているのかもしれない。えっ? そ、それってとても不味いんじゃ……。そんな風に私が考えている間にも、ジスパ王子殿下は言葉を続けていた。
「ユリアーナは私のことをどう思っている?」
「ジスパ王子殿下? それって……」
嘘でしょう? いえ、ある意味では願っていたことなのかもしれないけれど……私は王子殿下の質問になんて答えればいいのかしら……。
私の初恋の相手でもあるジスパ王子殿下……私の勘違いでなければ、彼も私のことを多少は気に入ってくれていたと思う。でも、簡単には会えなくなって5年が経過した……また、あの時のチャンスが……5年前には言えなかった想いを伝える絶好の機会が訪れている。
私は自らの想いを正直に伝えることにした……のだけれど……。
「恐れながら申し上げます、ジスパ王子殿下、ユリアーナ様!」
私の屋敷に勤めている執事の介入が、私の告白の邪魔をした。
「どうしたんだ?」
「はい! それが……デミル・ウィリー公爵がお出でになっておられます!」
報告に来た執事は相当に焦っているようだった。おそらくは姉さまから事情を聞いているのだろうけど。それよりも、デミル公爵が来ている? どういうこと? 私の中で嫌な予感がよぎってしまった。
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