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6話 ジスパ王子殿下 その3
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「この庭園を歩くのも久しぶりだな」
「ふふ、そうですね。5年振りですものね」
「そうだな……5年という月日は本当に長く感じるよ」
私とジスパ王子殿下は、実に5年振りに屋敷の庭を二人で散歩していた。昔は私が王子殿下の後ろから付いて行く感じだったけど、今は横に並んで歩ている。それだけでも、私は自分の成長を感じていた。
シヴィル姉さまの発案で、私達の散歩は実現じたことになる。姉さまの姿は見えないけれど、何処かで見ている可能性はありそうね。
姉さまとは、明らかに別の視線は幾つか感じる……おそらくはジスパ王子殿下の護衛の人達の視線かと思う。いくら貴族街のサルデリア家の敷地とはいえ、第一王子様が護衛もなしに訪れるはずがないもの。
庭の周辺を守っている我が家に雇われている護衛たちも、王子殿下が来ているということで、いつも以上に警戒しているようだった。
「あの、ジスパ王子殿下……」
「なんだ? ユリアーナ?」
「はい。そろそろ、教えていただけませんか? サルデリア家にお越しになった、本来の理由を」
ここに至るまで聞いていない内容だった。シヴィル姉さまからもまだ聞いていない。私の婚約破棄は不足の事態だったので、ジスパ王子殿下の本来の目的があるはずなんだけど。普通に考えれば、私のお父様であるニッグ・サルデリア伯爵との面会か何かだと予想するけれど。
「ふふふ、ユリアーナ。今、父上であるニッグ卿に用事があったのではないかと、考えていただろう?」
「えっ、どうしてわかるのですか!?」
驚くことに心の中を読まれてしまった。ジスパ王子殿下って読心術の心得でもあるのかしら?
「残念ながら、心を読んだわけではないぞ。読唇術の心得ならあるのだが……まあ、ユリアーナが考えそうなことを予想しただけさ」
「な、なるほど、そういうことでしたか……」
婚約破棄をされたばかりだし、王子殿下相手にこんなことを思っては不謹慎かもしれないけれど……私達の心は近い場所にあるのかもしれない。私はそれが嬉しかった。
「さて、そろそろ、ここに来た目的を話そうか」
「は、はい」
庭の散歩を続けながら、ジスパ王子殿下が本題に入った。私も自然と真剣な表情になる。
「ユリアーナに会いに来ただけなので、これと言って大きな理由があるわけではないのだがな。ああ、もちろんシヴィルにも会いに来たと言えるが」
えっ、その為だけに護衛を引き連れて、宮殿からここまで来てくださったの……? 私は信じられないという思いを消すことが出来す、しばらく何かの冗談だと思い込んでいた……。
「ふふ、そうですね。5年振りですものね」
「そうだな……5年という月日は本当に長く感じるよ」
私とジスパ王子殿下は、実に5年振りに屋敷の庭を二人で散歩していた。昔は私が王子殿下の後ろから付いて行く感じだったけど、今は横に並んで歩ている。それだけでも、私は自分の成長を感じていた。
シヴィル姉さまの発案で、私達の散歩は実現じたことになる。姉さまの姿は見えないけれど、何処かで見ている可能性はありそうね。
姉さまとは、明らかに別の視線は幾つか感じる……おそらくはジスパ王子殿下の護衛の人達の視線かと思う。いくら貴族街のサルデリア家の敷地とはいえ、第一王子様が護衛もなしに訪れるはずがないもの。
庭の周辺を守っている我が家に雇われている護衛たちも、王子殿下が来ているということで、いつも以上に警戒しているようだった。
「あの、ジスパ王子殿下……」
「なんだ? ユリアーナ?」
「はい。そろそろ、教えていただけませんか? サルデリア家にお越しになった、本来の理由を」
ここに至るまで聞いていない内容だった。シヴィル姉さまからもまだ聞いていない。私の婚約破棄は不足の事態だったので、ジスパ王子殿下の本来の目的があるはずなんだけど。普通に考えれば、私のお父様であるニッグ・サルデリア伯爵との面会か何かだと予想するけれど。
「ふふふ、ユリアーナ。今、父上であるニッグ卿に用事があったのではないかと、考えていただろう?」
「えっ、どうしてわかるのですか!?」
驚くことに心の中を読まれてしまった。ジスパ王子殿下って読心術の心得でもあるのかしら?
「残念ながら、心を読んだわけではないぞ。読唇術の心得ならあるのだが……まあ、ユリアーナが考えそうなことを予想しただけさ」
「な、なるほど、そういうことでしたか……」
婚約破棄をされたばかりだし、王子殿下相手にこんなことを思っては不謹慎かもしれないけれど……私達の心は近い場所にあるのかもしれない。私はそれが嬉しかった。
「さて、そろそろ、ここに来た目的を話そうか」
「は、はい」
庭の散歩を続けながら、ジスパ王子殿下が本題に入った。私も自然と真剣な表情になる。
「ユリアーナに会いに来ただけなので、これと言って大きな理由があるわけではないのだがな。ああ、もちろんシヴィルにも会いに来たと言えるが」
えっ、その為だけに護衛を引き連れて、宮殿からここまで来てくださったの……? 私は信じられないという思いを消すことが出来す、しばらく何かの冗談だと思い込んでいた……。
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