43 / 46
43話 王位継承権争い その1
しおりを挟む
「くそ……! まさか父上が、あんなに日和見主義だったとは……!」
「ハルト様……」
宮殿の壁に八つ当たりをするように、ハルト様の拳が突き刺さる。国王陛下の態度が想定外だったのは事実だけど、ハルト様がここまで余裕を失くすなんて……。
でも、それも仕方ないのかもしれない。私の為にブリーテン家を打倒し、カニエル公爵に目を付けられてからは、散々だったから……。第二、第三王子は両方共、カニエル公爵側といっても過言ではないし。
「ハルト様」
「シエル?」
こんな時こそ、私がハルト様の支えにならないと、何の為の婚約者かわからない。そうよ、ハルト様は私を窮地から救ってくれたんだから、今度は私が恩返しをする番だわ。
「私では大したことは出来ないかもしれません……でも、出来るだけハルト様の心の支えになりたいと思っています。これが私なりの恩返しでもありますし、愛するハルト様への奉公と考えています」
「シエル……君は……」
内心では恥ずかしいことを言ってしまったのかもしれない……でも、その思いに嘘はなかった。事実上、ハルト様に対して出来ることは非常に限られているとは思うけれど、少しでも彼の心の支えになりたいと思っているのは事実だ。私は真っすぐにハルト様の顔を見ていた。
「シエル……ありがとう……!」
「は、ハルト様……ああ……!」
ハルト様が力強く抱きしめて来た。嬉しいんだけど、情熱的な抱きしめに私は変な声を出してしまう。
「……」
「……」
お互いに、余計な言葉は必要なかった……視線を合わせるだけで、相手の考えがわかってしまうから。そして、ハルト熱い口づけを交わす。このまま、いけない方向へと進んでしまうのでは……そんなことを考えていた時だった。
「私達も同じ気持ちでございます……ハルト王太子殿下」
「お前たち……」
あ、すっかり忘れてたわ……ハルト様の周囲には、常に護衛の人々が居るってことを……。メルレーンは私の顔を見て怪しく笑ってるし……後で思い切りからかわれそうね、これは……。
でも私達の前には、王位継承権争いに対しての心強い仲間が集結していたのだった。
「ハルト様……」
宮殿の壁に八つ当たりをするように、ハルト様の拳が突き刺さる。国王陛下の態度が想定外だったのは事実だけど、ハルト様がここまで余裕を失くすなんて……。
でも、それも仕方ないのかもしれない。私の為にブリーテン家を打倒し、カニエル公爵に目を付けられてからは、散々だったから……。第二、第三王子は両方共、カニエル公爵側といっても過言ではないし。
「ハルト様」
「シエル?」
こんな時こそ、私がハルト様の支えにならないと、何の為の婚約者かわからない。そうよ、ハルト様は私を窮地から救ってくれたんだから、今度は私が恩返しをする番だわ。
「私では大したことは出来ないかもしれません……でも、出来るだけハルト様の心の支えになりたいと思っています。これが私なりの恩返しでもありますし、愛するハルト様への奉公と考えています」
「シエル……君は……」
内心では恥ずかしいことを言ってしまったのかもしれない……でも、その思いに嘘はなかった。事実上、ハルト様に対して出来ることは非常に限られているとは思うけれど、少しでも彼の心の支えになりたいと思っているのは事実だ。私は真っすぐにハルト様の顔を見ていた。
「シエル……ありがとう……!」
「は、ハルト様……ああ……!」
ハルト様が力強く抱きしめて来た。嬉しいんだけど、情熱的な抱きしめに私は変な声を出してしまう。
「……」
「……」
お互いに、余計な言葉は必要なかった……視線を合わせるだけで、相手の考えがわかってしまうから。そして、ハルト熱い口づけを交わす。このまま、いけない方向へと進んでしまうのでは……そんなことを考えていた時だった。
「私達も同じ気持ちでございます……ハルト王太子殿下」
「お前たち……」
あ、すっかり忘れてたわ……ハルト様の周囲には、常に護衛の人々が居るってことを……。メルレーンは私の顔を見て怪しく笑ってるし……後で思い切りからかわれそうね、これは……。
でも私達の前には、王位継承権争いに対しての心強い仲間が集結していたのだった。
0
お気に入りに追加
3,421
あなたにおすすめの小説
婚約者のいる側近と婚約させられた私は悪の聖女と呼ばれています。
鈴木べにこ
恋愛
幼い頃から一緒に育ってきた婚約者の王子ギルフォードから婚約破棄を言い渡された聖女マリーベル。
突然の出来事に困惑するマリーベルをよそに、王子は自身の代わりに側近である宰相の息子ロイドとマリーベルを王命で強制的に婚約させたと言い出したのであった。
ロイドに愛する婚約者がいるの事を知っていたマリーベルはギルフォードに王命を取り下げるように訴えるが聞いてもらえず・・・。
カクヨム、小説家になろうでも連載中。
※最初の数話はイジメ表現のようなキツイ描写が出てくるので注意。
初投稿です。
勢いで書いてるので誤字脱字や変な表現が多いし、余裕で気付かないの時があるのでお気軽に教えてくださるとありがたいです٩( 'ω' )و
気分転換もかねて、他の作品と同時連載をしています。
【書庫の幽霊王妃は、貴方を愛することができない。】
という作品も同時に書いているので、この作品が気に入りましたら是非読んでみてください。
冷遇された王女は隣国で力を発揮する
高瀬ゆみ
恋愛
セシリアは王女でありながら離宮に隔離されている。
父以外の家族にはいないものとして扱われ、唯一顔を見せる妹には好き放題言われて馬鹿にされている。
そんな中、公爵家の子息から求婚され、幸せになれると思ったのも束の間――それを知った妹に相手を奪われてしまう。
今までの鬱憤が爆発したセシリアは、自国での幸せを諦めて、凶帝と恐れられる隣国の皇帝に嫁ぐことを決意する。
自分に正直に生きることを決めたセシリアは、思いがけず隣国で才能が開花する。
一方、セシリアがいなくなった国では様々な異変が起こり始めて……
1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。
尾道小町
恋愛
登場人物紹介
ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢
17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。
ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。
シェーン・ロングベルク公爵 25歳
結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。
ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳
優秀でシェーンに、こき使われている。
コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳
ヴィヴィアンの幼馴染み。
アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳
シェーンの元婚約者。
ルーク・ダルシュール侯爵25歳
嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。
ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。
ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。
この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。
ジュリアン・スチール公爵令嬢18歳デビット王太子殿下の婚約者。
ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳
私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。
一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。
正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?
まさか、こんな事になるとは思ってもいなかった
あとさん♪
恋愛
学園の卒業記念パーティでその断罪は行われた。
王孫殿下自ら婚約者を断罪し、婚約者である公爵令嬢は地下牢へ移されて——
だがその断罪は国王陛下にとって寝耳に水の出来事だった。彼は怒り、孫である王孫を改めて断罪する。関係者を集めた中で。
誰もが思った。『まさか、こんな事になるなんて』と。
この事件をきっかけに歴史は動いた。
無血革命が起こり、国名が変わった。
平和な時代になり、ひとりの女性が70年前の真実に近づく。
※R15は保険。
※設定はゆるんゆるん。
※異世界のなんちゃってだとお心にお留め置き下さいませm(_ _)m
※本編はオマケ込みで全24話
※番外編『フォーサイス公爵の走馬灯』(全5話)
※『ジョン、という人』(全1話)
※『乙女ゲーム“この恋をアナタと”の真実』(全2話)
※↑蛇足回2021,6,23加筆修正
※外伝『真か偽か』(全1話)
※小説家になろうにも投稿しております。
帰らなければ良かった
jun
恋愛
ファルコン騎士団のシシリー・フォードが帰宅すると、婚約者で同じファルコン騎士団の副隊長のブライアン・ハワードが、ベッドで寝ていた…女と裸で。
傷付いたシシリーと傷付けたブライアン…
何故ブライアンは溺愛していたシシリーを裏切ったのか。
*性被害、レイプなどの言葉が出てきます。
気になる方はお避け下さい。
・8/1 長編に変更しました。
・8/16 本編完結しました。
天才少女は旅に出る~婚約破棄されて、色々と面倒そうなので逃げることにします~
キョウキョウ
恋愛
ユリアンカは第一王子アーベルトに婚約破棄を告げられた。理由はイジメを行ったから。
事実を確認するためにユリアンカは質問を繰り返すが、イジメられたと証言するニアミーナの言葉だけ信じるアーベルト。
イジメは事実だとして、ユリアンカは捕まりそうになる
どうやら、問答無用で処刑するつもりのようだ。
当然、ユリアンカは逃げ出す。そして彼女は、急いで創造主のもとへ向かった。
どうやら私は、婚約破棄を告げられたらしい。しかも、婚約相手の愛人をイジメていたそうだ。
そんな嘘で貶めようとしてくる彼ら。
報告を聞いた私は、王国から出ていくことに決めた。
こんな時のために用意しておいた天空の楽園を動かして、好き勝手に生きる。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
私がいなくなっても構わないと言ったのは、あなたの方ですよ?
新野乃花(大舟)
恋愛
ミーナとレイノーは婚約関係にあった。しかし、ミーナよりも他の女性に目移りしてしまったレイノーは、ためらうこともなくミーナの事を婚約破棄の上で追放してしまう。お前などいてもいなくても構わないと別れの言葉を告げたレイノーであったものの、後に全く同じ言葉をミーナから返されることとなることを、彼は知らないままであった…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる