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37話 継承権 その2

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 私は屋敷に戻り、継承権のことについて考えていた……。ハルト様に送ってもらったのだけれど、流石にイチャイチャできる状況でもなかったので、しばらく見つめ合うだけでお別れをすることになった。昨日のことだけれど、今思い出すだけでも恥ずかしくなってしまうわ……。


 そんな私の様子を、メルレーンは笑いながら見ていた。確か、彼女は国王陛下などに報告に向かったはず……。もう、用事は済ませたのかしら? いつも通りに掃除や洗濯をいていたのでびっくりしてしまったけれど。


「シエル様が、恋をしているようで、メルレーンはとても嬉しく思います、うふふふふ」

「メルレーンさんだって、そんなに歳上ってわけでもないでしょ? 好きな人とか居ないの?」


 話の流れがおかしいけれど、メルレーンの想い人の話しになっている。いや、私が促したんだけれど……。


「残念ながら……私程度の卑しい人間を好きになってくれる人などなかなか……」

「またまた。メルレーンさん、美人だし、その気になれば簡単でしょ?」

「では、ハルト王太子殿下を誘惑してもよろしいですか?」

「それは駄目」


 思わず素の表情になってしまう。冗談でもOKを出したら、メルレーンならやり兼ねないと思ったから。まったく、油断も隙もないわね……。




---------------------------------------



「ところで、メルレーンさん……」

「はい……? なんでございましょうか?」


 私はハルト様の護衛も務めているメルレーンに、継承権のことについて尋ねてみる。


「リクイド第三王子やロード第二王子が居ると思うけど……王位継承権って、リクイド様には付与されなかったの?」


 王位継承権が争われたのって何年前だっけ? 確か私が16歳の時だったから、もう3年くらい前か……。当時の年齢で言えば、リクイド様は13歳のはずだけど。


「王国の法律では、15歳に満たない者は王位継承権に参加できないとあります。特例もないわけではないですが……当時のリクイド様は、ハルト王太子殿下並みに期待をされていましたが、参加はしていませんでした」

「じゃあ、ロード第二王子と争って、ハルト様が勝ったってわけか……」


 そうそう、確かそんな感じだったと記憶している。相手がロード第二王子なら、ハルト様はさぞ余裕だったでしょうね……。


「あの時は、リクイド様が参加されなかったのは、ハルト様にとっては幸運と言えるかもしれません。才色兼備の天才……リクイド様は、そのように言われておりますから。現在は16歳……もしも、もう一度、王位継承権が勃発したら……」


 私はメルレーンの言葉に冷や汗を流してしまう……。一度、王太子が決まった現状でそんなこと在り得るのかしら? 余程のことがない限り、あり得ない……それこそ、私とハルト様の婚約くらいでは起こり得ないはず。私は安心して良い状況のはずなのに、冷や汗を抑えることが出来ないでいた……。
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