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24話 話し合い その4

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「ようやく分かっていただけたかな? メリアーナ夫人」

「ハルト王太子殿下……私としては、あまり納得のいくものではありませんが……」

「シグマ・ブリーテンを甘やかしていた。夫人はそのように言ったと思うが?」

「確かに言いましたが……」

 ハルト王太子殿下の言葉には、メリアーナ夫人は否定的だった。メルレーンが言う方が効果的みたいね。ハルト様が相手だと余計なプライドとかが出て来るのかしら?


「夫人が素直になってくれれば、全ての算段は上手くいくはずだ。今後、王家とブリーテン家の仲が悪くなることはないと約束しよう。これだけでも其方たちにとってはメリットがあるはずだ」

「……それは……」

「王家として、そして愛しいシエルの婚約者としては、謝罪及びシグマを許すことは出来ない。だが、貴族連合の集結などしないと約束するならば、それ以上の罰を課すことはないさ」


 ハルト王太子殿下の最大限の譲歩と言えるのかしら? メリアーナ夫人、カニエル公爵たちは無言で考えていた。もしも貴族連合なんて作られたら、本当に面倒なことになりかねない。基本的にそれは避けたいとするのが、ハルト王太子殿下の考えだと思う。


「……カニエル公爵、如何いたしましょうか……?」


 一応は、カニエル公爵に意見を求めるメリアーナ夫人。夫人はその辺りの分は弁えているみたいね。カニエル公爵はハルト様と、周辺に立っている豪華すぎる護衛陣を見渡しながら答えた。


「あなたの考えは決まっているだろう? 元々はブリーテン家の問題、ブリーテン家の意志を尊重しよう」

「……では。わかりました。今回の件について、今後、ブリーテンとの関係が悪くならないというのなら……私達の要求は撤回いたします」

「……」

 やや上から目線なのが気になるけれど、ここは指摘しない方がよさそうな雰囲気ね。私が余計なことを言うと、また争いが再燃しそうだし。

「よかった。メリアーナ夫人ならば、そのようにおっしゃってくれると思っておりました。そうですよね、王太子殿下?」

「ああ、さすがメリアーナ夫人といったところだな」


 メルレーンもハルト王太子殿下もどこかすっきりした表情になっている。交渉が上手く行って安心したんでしょうね。ていうか……この面子の中で平然と話せるメルレーンってやっぱり凄いと思う。

 私達の話し合いはそこで終了となり、今回は貴族連合発足の危機を脱することができた。でも……カニエル公爵は最後までハルト王太子殿下を睨んでいたから……完全に脱したわけでもないんでしょうね。
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