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10話 紫色のポーション その1

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「いや~~! ポーションが1000ゴールドだなんて、嬉しい限りですよ!」

「おいおい、ポーションメーカーさんにお礼言っておいてくんな! 骨折もかなり良くなったからよ!」

「お腹いたいのも治った~~~!」


「毎度、ありがとうございます~~!」


 ミオナは様々なお客さんに屈託のない笑顔を向けて、接客をしていた。私も本来なら、接客に参加したいところなんだけど……御覧のように、驚く程のポーションの効果の反響ぶりに、表に出にくくなってしまって。


 ニャンコクラブには今や、ポーションメーカーの私に会いに来る人も居るくらいだし……いやいや、人様にお見せできる外見でもないので……!


「ポーションメーカーとして頑張ってくれてるのは嬉しいんだけど、そろそろ接客とかしないの?」

「あのね、ミオナ……今、私が出たら、大変なことになるでしょ?」

「確かにそうかも……レミュラに会いたいっていう人多いしね」


 ミオナのお店で働き始めて2週間くらいが経過している。ポーションの売り上げも好調で、生活面の心配は必要ないんだけれど……接客が行いにくくなっているのが、どうしたものか……。


「こらこら、ミオナ。レミュラさんに無理を言うんじゃないぞ?」

「そうよ……レミュラさんに失礼でしょう?」

「お父さん、お母さん……」


 仕入れ作業から帰ってきたミオナのご両親。私は既に軽く挨拶は済ませている。父親がエルグさんで母親がリリナさん。二人とも良い人だけど、私への態度があからさま過ぎるのが面白いわね……。

 本人たちもわざとやっているんでしょうけど。なんだか、楽しい家族だった。


「レミュラを甘やかしたらダメなんじゃないかな~?」

「いや、別に甘えていることは……」

「こ、こらミオナ! レミュラさんがご機嫌を損ねたらどうするんだ! 金の卵が……ゲフンゲフン」

「いえ、聞こえてますよ?」


 こういうやり取りが何度も行われているの。最早、コントのような様相を呈していると言える。本当に楽しい。


「まあ、いいや。そう言えば、今日はポーションの配給がある日よね」

「そうなんだ? でも確か、3000ゴールドもするんでしょ? 私が居るし、配給を断ってもいいんじゃないの?」

「そうもいかないのよね。それをしちゃうと最悪、営業権を取り消される可能性もあるし……」


 なんだか強権を感じるわね……ルデルテ公爵の息がかかった者が来るんなら、確かに予想できることではあるけれど。


 そして、配給の時刻になり、宮殿から派遣された人たちがやってきた。毒々しい紫色のポーションを手に持ちながら……ケースに入っているようだけど、その変な色は丸見えになっていた。私は思わず、目を疑ってしまう……あれは一体、なんなんだろう?


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