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3話 婚約破棄されたポーションメーカー その3

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「本当にありがとうございました!」

「い、いえ……そんな、大したことしてないですし……」


 私はマルコの母親に丁寧なお礼をしてもらい、恐縮していた。年上の女性に頭を下げられるのは慣れてないというか……なんだか悪い気がしてしまう。私は普通のことをしただけだし。


「おねえちゃん、ありがとう!」


 まだ完治はしてないみたいだけれど、10歳くらいと思われるマルコも私にお礼をしてくれた。なんだか癒されるわ……可愛い。


「いいえ、どういたしまして。念のため、病院には行ってくださいね?」

「はい、わかりました。あの、謝礼はいかほど……」

「えっ、謝礼……!?」


 私はマルコの母親の言葉に驚いてしまう。えと……謝礼って、ポーションの代金って意味か。いきなりのことで頭が回らなかったわ。


「ええと……特に、金額とかはないんですが……」


 気持ちとしては無料です! って言いたいところではあったけれど、それを言ってしまうと、逆に怪しまれそうだから言えなかった。無料ほど高いものはないって言うしね……。


「それでは、私の気持ちが収まりません……貴重なポーションを使っていただいたのに……!」

「な、なら、薬屋で売っているポーションの代金ということにしませんか?」


「はい、そう致しましょう!」


 母親の勢いに押し負けそうな私……とりあえず、近くの薬屋を探すことになった。



-----------------------------------------------



「いらっしゃいませ~~!」


 しばらく探して見つけた薬屋……ええと、店名は「ニャンコクラブ」ってなっている……。本当に薬屋なの?


 店員と思われる女性が私たちに声をかけて来た。私と同じくらいと歳っぽいけど、なんだか奇抜な格好をしている……猫耳に尻尾かしら……? だからニャンコクラブ……?


「お客さんですよね~~? 何をお求めですか~~?」


 奇抜なファッションから予想はしていたけど、そういうキャラ付けってことかな?


「ええと……ポーションってあります?」

「ポーションですか~~? 希少品ですけど、まだありますよ」

「いくらですか?」

「5000ゴールドになりま~~す!」


 店員さんは可愛らしく言うけれど、5000ゴールド!? 高すぎ……高級宿の1泊分の値段と変わらないじゃない! マルコの母親はその額を聞いて、少し困った表情だったけど、財布を取りだしていた。


「いやいや、高すぎますよ! いくらなんでも5000ゴールドなんて、貰うわけには……!」

「いえ、マルコの命を救ってくれたんですもの。そのくらいは当然ですわ、どうぞお納めください!」

「い、いえ……1000ゴールドにしましょう、せめて……!」

「いえ、それでは安すぎですわ! 希少なポーションを使っていただいてそれでは、あまりにも……」

「希少かもしれませんけど、私のスキルで作れるんですから……!」


 私とマルコの母親は、ニャンコクラブの前で喧嘩状態になってしまった。お互いの主張を押し通そうとしているわけで……。その時、店員さんから助け舟が来た。

「ポーション作れるって本当に? じゃあ、あんたが噂のポーションメーカー?」


 正確には助け舟ではないけど、とりあえず私たちの押し問答は止まった。え? ポーションメーカーっていう言葉は噂になってるの?
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