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2話 婚約破棄されたポーションメーカー その2

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 どうしようか……仕事を失ってしまった……。いえ、ルデルテ公爵からの婚約破棄も辛いけどさ……お母さんたちには自慢していたから。宮殿内での仕事っていうだけでも誇りを持って出来た。それに加えて貴族として迎え入れられるっていうんだから、喜ばないはずはない。


 それが全部白紙……ポーションメーカーとしての仕事まで失うとは思わなかったわ……。


 追い出される時に得た賃金はあるから、少しは生活できるけど……あれ、そう言えば、私が仕事をしていた時に得た給料は? 確か、まとめて宮殿の金庫に入れてたはずだけど……まさか、没収されているの!?


 抗議に行きたいけれど、あのルデルテ公爵の態度からして、取り合ってもらえるとは思えない。下手すれば、不敬罪とかで捕まりそうだし……せめてサウス王子殿下に会えれば……。


 サウス・ザックレー王子殿下……第三王子だけれど、私と同じ歳で非常に仲良く接してくれた人。あの人の態度だけは本物だったはずと、追放された今でも思えるわ。それほどに優しいお方だったから……それで、ちょっと恋とかしたりして。向こうは私のことなんて、何とも思ってなかっただろうけどさ。


「大丈夫!? マルコ!」


「ん? 子供と……母親?」


 私がサウス王子殿下の思い出に浸っていた時、城下町の通りを歩いていた子供が倒れた。母親はマルコと叫びながら、慌てているみたいね。


「誰か……! お医者様を……!」


 あれって熱中症か何かかしら? この辺には医者も薬屋もなかったような……でも、大丈夫。私は走りながら、その親子の元へと向かった。


「大丈夫ですか?」


「子供がいきなり倒れて……」


「う、う~~ん……」


「辛そうね……でも、なんとかなるかもしれません」


「えっ、あなたは……?」



 私は瞬時にポーションを作り出した。これが私の特殊能力……ポーションは別名「万能薬」とも呼ばれていて、病気にだって効くんだから。私は苦しんでいるマルコに、それを飲ませた。まき散らすだけでも効果はでるんだけどね。

「これは……ポーション……?」

「はい、そうです。やっぱり、城下町でもめずらしいですか?」

「え、ええ……おそらくは。薬屋などでも、宮殿から配給される分しか置いてないはずですし……」


 それ、思いっきり私が作ったやつね……まあ、大体、わかってはいたけど、普通は薬屋にも置いてないのね。この首都オベリスクでも置いてないとなると……私ってやっぱりすごいのかも……ていうか、ポーションが凄いってことだけど。


「う、うう……?」

「マルコ……! 顔色が……良かった!」


 マルコは顔色が元に戻っていた。完治したわけじゃないけど、一定の効果は出たようね。母親は泣きながら、マルコを抱きしめていた。
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