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19話 フリント様は終わりです その2
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舞踏会会場は下手をすると、フリント様の暴力事実の場となりかけていた。そういう意味では、お父様や執事の到着はベストタイミングだったと言えるかもしれない……。周囲の貴族達の反応はまた一段と違う雰囲気を見せていた。
フリント様は私から離され、執事たちに囲まれている。
「お、お前たち……私が誰かわかっているのか!? このような横暴……父上に言って……!」
「横暴はあなたでしょう……とにかく、こちらへ」
「ちっ……!」
逆切れ状態のフリント様は全く反省している様子を見せていなかった。それどころか、侯爵家の力をフル活用しそうな勢い……。そのまま愚痴を零しつつフリント様は退場していったけれど、まだまだ問題は解決していないわね。
「ほら、ジニー。立てるかしら?」
「ね、姉さま……」
放心状態で片隅に座っていたジニーを、私は助け起こした。彼女は今、どういう心境なのか……。
「わかったでしょ? フリント様の本性が……きっとあなたも将来、裏切られることになっていたわよ」
「そ、そんなこと……」
ジニーは反論をしかけていたけれど、その言葉は弱々しく、あまり聞き取れなかった。そんな時、私達のところにお父様がやってくる。
「いやはや、フリント・アラベスクという人物は危険な男のようだな……私の可愛い娘たちが取られなくて一安心というものだ」
今頃になって姿を現したお父様。可愛い娘たちって……今さらな言葉すぎて、私は乾いた笑いしか出て来なかった。あなたが好きなのは、妹のジニーだけでしょ? それも彼女とフリント様との婚約も、お父様としては、有名貴族とのパイプラインの確保の方が重要なのかもしれないわね。
それが重要で私達はその為の駒……ある程度は理解できるんだけど……はあ。
「しかし……ジニーはもう、清らかな乙女ではないようだな……。シンディ、お前はまだ大丈夫なのだな?」
「え……?」
直接的な言葉こそ出さないけれど、実の父親の言葉に私は引いていた。ジニーは放心状態だから、聞こえていなかったかもだけど。
「ジニーは今後、貴族の貰い手が居ないだろう……他国の者との繋がりを持たせるか……。シンディは確か、公爵家の方と繋がりがありそうだが……あれは真実なのかね?」
「ええと、それは……」
お父様は無慈悲にもそのように発言する。私とディエス様の婚約発表は聞いていたのね……。真実かどうかは、今後次第な面も大きいんじゃないかな。
「お父様……どういうことでしょうか? 私は被害者なんですよ……? 他国の者と? なにそれ?」
今まで放心状態だったジニーだけれど、ここへきて怒りの形相に変わっていた。お父様の発言に対してのものだけれど、ちゃんと耳には届いていたのね。
いや、でもジニー……お父様の発言も大概だけれど、あなたの行ったことを考えれば仕方のないところでもあるのよ?
フリント様は私から離され、執事たちに囲まれている。
「お、お前たち……私が誰かわかっているのか!? このような横暴……父上に言って……!」
「横暴はあなたでしょう……とにかく、こちらへ」
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「ほら、ジニー。立てるかしら?」
「ね、姉さま……」
放心状態で片隅に座っていたジニーを、私は助け起こした。彼女は今、どういう心境なのか……。
「わかったでしょ? フリント様の本性が……きっとあなたも将来、裏切られることになっていたわよ」
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ジニーは反論をしかけていたけれど、その言葉は弱々しく、あまり聞き取れなかった。そんな時、私達のところにお父様がやってくる。
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それが重要で私達はその為の駒……ある程度は理解できるんだけど……はあ。
「しかし……ジニーはもう、清らかな乙女ではないようだな……。シンディ、お前はまだ大丈夫なのだな?」
「え……?」
直接的な言葉こそ出さないけれど、実の父親の言葉に私は引いていた。ジニーは放心状態だから、聞こえていなかったかもだけど。
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「ええと、それは……」
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「お父様……どういうことでしょうか? 私は被害者なんですよ……? 他国の者と? なにそれ?」
今まで放心状態だったジニーだけれど、ここへきて怒りの形相に変わっていた。お父様の発言に対してのものだけれど、ちゃんと耳には届いていたのね。
いや、でもジニー……お父様の発言も大概だけれど、あなたの行ったことを考えれば仕方のないところでもあるのよ?
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