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13話 パーティ開催 その1
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「本日は、ようこそお集まりいただきました。ささやかなパーティではございますが、エトワールの催し物にご参加いただきありがとうございます。心ゆくまでお楽しみくださいませ」
お父様の宣言により、エトワール家でのパーティは始まりを告げた。今回のジニーたちの呼びかけに応じ、集まって来た貴族たちは、テーブルに並べられている料理に手を付け始めていた。いわゆる、バイキング形式での食事ね。
私が会いたくない貴族の令嬢なんかも参加しているけれど、私の方に近づいて来る気配はないわね。もちろん、私のことは気付いているはずだけれど、私の隣に居るディエス公爵令息様の存在により、近づいてこれないみたいね。おかげで、変に感情を高ぶらせる必要がなくて、穏やかな気分でいられてるわ。
私はそんなことを考えながら、近くにあったお肉に手をつけていた。
「さて、シンディ殿……彼らの婚約発表会見は何時くらいになるか、おわかりか?」
「ええと……まだ、パーティが始まったばかりですので、通常であれば、何十分か経過してからだと思われますが……」
「そうか……」
周囲の貴族たちはまだ知らないだろうけれど、今回のメインディッシュはジニーとフリント様の婚約発表になる。同時に、私とフリント様の婚約破棄という事実の公表……。ジニーは当初、この二つのイベントを同時に行おうとしてたはず……。
だから、ジニーの性格的にパーティ開催後からどのくらいでイベントを起こすかは想像がついていた。彼女は以前から、一番盛り上がるタイミングで実施する傾向がある。
「でも、先ほどの一件もありますので、どのようになるかは読めないところです……」
先ほどの件というのは、ジニーがディエス様と遭遇したことを指している。あれで、彼女は相当に焦っているように見えたから……。フリント様も同じね、以前の件でディエス様にコテンパンにされてしまったんだし……。
「あまり身内での争いというのは、気分の良いものではないだろう?」
「は、はい……おっしゃる通りです……」
ディエス様に言われ、私は肯定の意味合いで頷いた。ジニーやフリント様、お父様たちとも、本当ならば仲良くしたいのだけれど……でも、彼らはそれを許してくれない。何時からそうなったのかは、正直覚えていないけれど……。
「このまま、穏便にパーティが進んでくれればいいのだが……おや?」
「あれは……ジニーとフリント様……」
お父様のパーティ開催の宣言から、まだ15分も経過はしていないけれど……。会場の中央には、ジニーとフリント様の姿があったのだ……。
お父様の宣言により、エトワール家でのパーティは始まりを告げた。今回のジニーたちの呼びかけに応じ、集まって来た貴族たちは、テーブルに並べられている料理に手を付け始めていた。いわゆる、バイキング形式での食事ね。
私が会いたくない貴族の令嬢なんかも参加しているけれど、私の方に近づいて来る気配はないわね。もちろん、私のことは気付いているはずだけれど、私の隣に居るディエス公爵令息様の存在により、近づいてこれないみたいね。おかげで、変に感情を高ぶらせる必要がなくて、穏やかな気分でいられてるわ。
私はそんなことを考えながら、近くにあったお肉に手をつけていた。
「さて、シンディ殿……彼らの婚約発表会見は何時くらいになるか、おわかりか?」
「ええと……まだ、パーティが始まったばかりですので、通常であれば、何十分か経過してからだと思われますが……」
「そうか……」
周囲の貴族たちはまだ知らないだろうけれど、今回のメインディッシュはジニーとフリント様の婚約発表になる。同時に、私とフリント様の婚約破棄という事実の公表……。ジニーは当初、この二つのイベントを同時に行おうとしてたはず……。
だから、ジニーの性格的にパーティ開催後からどのくらいでイベントを起こすかは想像がついていた。彼女は以前から、一番盛り上がるタイミングで実施する傾向がある。
「でも、先ほどの一件もありますので、どのようになるかは読めないところです……」
先ほどの件というのは、ジニーがディエス様と遭遇したことを指している。あれで、彼女は相当に焦っているように見えたから……。フリント様も同じね、以前の件でディエス様にコテンパンにされてしまったんだし……。
「あまり身内での争いというのは、気分の良いものではないだろう?」
「は、はい……おっしゃる通りです……」
ディエス様に言われ、私は肯定の意味合いで頷いた。ジニーやフリント様、お父様たちとも、本当ならば仲良くしたいのだけれど……でも、彼らはそれを許してくれない。何時からそうなったのかは、正直覚えていないけれど……。
「このまま、穏便にパーティが進んでくれればいいのだが……おや?」
「あれは……ジニーとフリント様……」
お父様のパーティ開催の宣言から、まだ15分も経過はしていないけれど……。会場の中央には、ジニーとフリント様の姿があったのだ……。
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