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37話 レディアとマルクス その1
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「私の兄妹は2人居る。一人は長女のレディア、そしてもう一人が第二王子だったマルクスだ。年齢はそれぞれ、22歳と21歳だ」
ヨハン様が26歳だから、まあそこまで大きく離れているわけではないようね。
「現在、マルクスは大公という階級で、北の領主にもなっている。レディアについては……隣国のウーバーカム王国の大貴族の妻として輩出しており、良い関係性を築けているのは彼女のおかげだ」
「なるほど……そうなんですね……」
その辺りのことを勉強していなかったのは、側室としては致命的な気がする……。今後はしっかりと勉強していかなくちゃね。
「マルクス、レディア共に、わたくしは好きになれませんわ……なんというか、本質的に偏屈過ぎます」
マリアンヌ様はヨハン様のご兄弟の方々を呼び捨てにしている。まあ、位としては王妃に該当するので、正しいのかもしれないけれど、呼び捨てにするくらい嫌っているのが見て取れた。
「側室の話しはすでに二人にも伝わっているはず……絶対にマリアに対して厳しく当たって来ますわよ?」
「それは……そうだろうな。マルクスとの王位継承権争いも苦労させられたしな」
……なんだか、あんまり会いたいとは思えないわね。聞いているだけでなんというか……ユリカお姉さま達と同じ臭いが伝わって来るというか。
そうこうしていると、ラウド大臣が口を開いた。表情は真剣そのものだ。
「マルクス大公、そしてレディア王女様、まあ元王女様ということにはなるが……近々、ピエトロ宮殿に戻って来るはずだ。その時に、マリア・テオドアを紹介することになるだろう」
「そ、そうなんですね……」
うわ~~~~緊張する……! 私は必死で平静を装っていたけれど、内心ではドキドキが止まらなかった。早速、粗相を起こしてしまいそうな予感も……そうなったら、マリアンヌ様からの信頼も裏切ってしまうことに……。
「大丈夫よ、マリア。心配することはないわ」
「マリアンヌ様……?」
その時、マリアンヌ様が私に視線を合わせて元気づけてくれる。
「私達が付いているでしょう? 陛下もラウド大臣も、あなたを見捨てるはずがないわ」
「当たり前だ、マリア。お前は私の側室なんだ……何も心配することはないさ」
「ヨハン様……」
ああ、なんて嬉しい言葉なんだろう……直接的な言葉こそなかったけれど、ラウド大臣も厳格な表情を崩さずに頷いていた。私は本当に幸せ者だと思う……こんなにも温かい「家族」に囲まれているんだから。
「私のマリアに何かしたら……決して許しませんわ……」
マリアンヌ様から、壮大な「オチ」があったように思うけれど、聞こえなかったことにしよう……。
ヨハン様が26歳だから、まあそこまで大きく離れているわけではないようね。
「現在、マルクスは大公という階級で、北の領主にもなっている。レディアについては……隣国のウーバーカム王国の大貴族の妻として輩出しており、良い関係性を築けているのは彼女のおかげだ」
「なるほど……そうなんですね……」
その辺りのことを勉強していなかったのは、側室としては致命的な気がする……。今後はしっかりと勉強していかなくちゃね。
「マルクス、レディア共に、わたくしは好きになれませんわ……なんというか、本質的に偏屈過ぎます」
マリアンヌ様はヨハン様のご兄弟の方々を呼び捨てにしている。まあ、位としては王妃に該当するので、正しいのかもしれないけれど、呼び捨てにするくらい嫌っているのが見て取れた。
「側室の話しはすでに二人にも伝わっているはず……絶対にマリアに対して厳しく当たって来ますわよ?」
「それは……そうだろうな。マルクスとの王位継承権争いも苦労させられたしな」
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そうこうしていると、ラウド大臣が口を開いた。表情は真剣そのものだ。
「マルクス大公、そしてレディア王女様、まあ元王女様ということにはなるが……近々、ピエトロ宮殿に戻って来るはずだ。その時に、マリア・テオドアを紹介することになるだろう」
「そ、そうなんですね……」
うわ~~~~緊張する……! 私は必死で平静を装っていたけれど、内心ではドキドキが止まらなかった。早速、粗相を起こしてしまいそうな予感も……そうなったら、マリアンヌ様からの信頼も裏切ってしまうことに……。
「大丈夫よ、マリア。心配することはないわ」
「マリアンヌ様……?」
その時、マリアンヌ様が私に視線を合わせて元気づけてくれる。
「私達が付いているでしょう? 陛下もラウド大臣も、あなたを見捨てるはずがないわ」
「当たり前だ、マリア。お前は私の側室なんだ……何も心配することはないさ」
「ヨハン様……」
ああ、なんて嬉しい言葉なんだろう……直接的な言葉こそなかったけれど、ラウド大臣も厳格な表情を崩さずに頷いていた。私は本当に幸せ者だと思う……こんなにも温かい「家族」に囲まれているんだから。
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マリアンヌ様から、壮大な「オチ」があったように思うけれど、聞こえなかったことにしよう……。
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