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6話 出会い その3

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「ウォルト様! お久しぶりでございます!」

「お久しぶりでございます。リーリャ・メンフィス令嬢。大きくなられましたね」

「ありがとうございます。私も14歳になりましたので!」


 リーリャはニヤニヤと私に近づいて来たかと思うと、元気よくウォルト様に挨拶をし始めた。そっか、5年振りの再会になるから……あの時のリーリャは9歳だったのよね。そう考えると、私よりも大きく成長しているように見えるか。

 ウォルト様は彼女の成長ぶりにかなり驚いているようだった。


「礼儀正しいご令嬢になられたようだ。しかし、元気さは相変わらずのようですね」

「はいっ! 私は元気さだけが取り柄ですので! 私から元気を排除しちゃうと何も残りませんよ」

「はははっ、なかなか凄い比率なんですね」


 リーリャの態度に関しては少しだけ心配だったけれど、ウォルト様は概ね気にしている素振りはないようだった。リーリャは元気なことが取り柄だけれど、賛否の別れる意見を聞くこともあるから。あまり貴族らしくない、等。私個人としては、他の貴族の方もこのくらい精神面で強ければ良いと思うことがあったりするけど。

 私を含めて……だから、リーリャの性格は羨ましくもあった。

「さてさて、姉さま。ウォルト様とお話も出来ましたし、私はまた食事を頬張りに行きたいと思います」

「え、ええ……分かったわ」

「姉さまは、久しぶりにお会い出来たウォルト様と仲睦まじくしておいてくださいね! それではっ!」


「ちょ、ちょっと……リーリャ! まったくもう……」


 気恥ずかしいことを言ったので、私が反論しようとした時には、彼女は見えなくなっていた。よくあんなロングスカートで、あんなに素早く動けるものだわ……。

「リーリャ嬢は本当におてんばに育っているようですね」

「申し訳ありません、ウォルト様。妹が粗相をしてしまったようで……」

「いえいえ、まったくそんなことは考えていませんよ。お二人と再会できたことは、私にとっても非常に喜ばしいことになりそうです」

「さ、左様でございますか……? そう言っていただきまして、本当にありがとうございます」


 イービス様から婚約破棄をされた直後ではあるけれど、こうして幼馴染であるウォルト様と再会が出来た。人間は平民、貴族に関係なく別れと出会いと繰り返して、強くなっていくのかもしれない。

 私もいつまでも悲しんでばかりはいられないわね。その後、私はウォルト様とこの5年間のことについて積もる話に華を咲かせた。彼との距離が少しずつ近づいていくのをその身に感じながら……。
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