6 / 11
6話 出会い その3
しおりを挟む
「ウォルト様! お久しぶりでございます!」
「お久しぶりでございます。リーリャ・メンフィス令嬢。大きくなられましたね」
「ありがとうございます。私も14歳になりましたので!」
リーリャはニヤニヤと私に近づいて来たかと思うと、元気よくウォルト様に挨拶をし始めた。そっか、5年振りの再会になるから……あの時のリーリャは9歳だったのよね。そう考えると、私よりも大きく成長しているように見えるか。
ウォルト様は彼女の成長ぶりにかなり驚いているようだった。
「礼儀正しいご令嬢になられたようだ。しかし、元気さは相変わらずのようですね」
「はいっ! 私は元気さだけが取り柄ですので! 私から元気を排除しちゃうと何も残りませんよ」
「はははっ、なかなか凄い比率なんですね」
リーリャの態度に関しては少しだけ心配だったけれど、ウォルト様は概ね気にしている素振りはないようだった。リーリャは元気なことが取り柄だけれど、賛否の別れる意見を聞くこともあるから。あまり貴族らしくない、等。私個人としては、他の貴族の方もこのくらい精神面で強ければ良いと思うことがあったりするけど。
私を含めて……だから、リーリャの性格は羨ましくもあった。
「さてさて、姉さま。ウォルト様とお話も出来ましたし、私はまた食事を頬張りに行きたいと思います」
「え、ええ……分かったわ」
「姉さまは、久しぶりにお会い出来たウォルト様と仲睦まじくしておいてくださいね! それではっ!」
「ちょ、ちょっと……リーリャ! まったくもう……」
気恥ずかしいことを言ったので、私が反論しようとした時には、彼女は見えなくなっていた。よくあんなロングスカートで、あんなに素早く動けるものだわ……。
「リーリャ嬢は本当におてんばに育っているようですね」
「申し訳ありません、ウォルト様。妹が粗相をしてしまったようで……」
「いえいえ、まったくそんなことは考えていませんよ。お二人と再会できたことは、私にとっても非常に喜ばしいことになりそうです」
「さ、左様でございますか……? そう言っていただきまして、本当にありがとうございます」
イービス様から婚約破棄をされた直後ではあるけれど、こうして幼馴染であるウォルト様と再会が出来た。人間は平民、貴族に関係なく別れと出会いと繰り返して、強くなっていくのかもしれない。
私もいつまでも悲しんでばかりはいられないわね。その後、私はウォルト様とこの5年間のことについて積もる話に華を咲かせた。彼との距離が少しずつ近づいていくのをその身に感じながら……。
「お久しぶりでございます。リーリャ・メンフィス令嬢。大きくなられましたね」
「ありがとうございます。私も14歳になりましたので!」
リーリャはニヤニヤと私に近づいて来たかと思うと、元気よくウォルト様に挨拶をし始めた。そっか、5年振りの再会になるから……あの時のリーリャは9歳だったのよね。そう考えると、私よりも大きく成長しているように見えるか。
ウォルト様は彼女の成長ぶりにかなり驚いているようだった。
「礼儀正しいご令嬢になられたようだ。しかし、元気さは相変わらずのようですね」
「はいっ! 私は元気さだけが取り柄ですので! 私から元気を排除しちゃうと何も残りませんよ」
「はははっ、なかなか凄い比率なんですね」
リーリャの態度に関しては少しだけ心配だったけれど、ウォルト様は概ね気にしている素振りはないようだった。リーリャは元気なことが取り柄だけれど、賛否の別れる意見を聞くこともあるから。あまり貴族らしくない、等。私個人としては、他の貴族の方もこのくらい精神面で強ければ良いと思うことがあったりするけど。
私を含めて……だから、リーリャの性格は羨ましくもあった。
「さてさて、姉さま。ウォルト様とお話も出来ましたし、私はまた食事を頬張りに行きたいと思います」
「え、ええ……分かったわ」
「姉さまは、久しぶりにお会い出来たウォルト様と仲睦まじくしておいてくださいね! それではっ!」
「ちょ、ちょっと……リーリャ! まったくもう……」
気恥ずかしいことを言ったので、私が反論しようとした時には、彼女は見えなくなっていた。よくあんなロングスカートで、あんなに素早く動けるものだわ……。
「リーリャ嬢は本当におてんばに育っているようですね」
「申し訳ありません、ウォルト様。妹が粗相をしてしまったようで……」
「いえいえ、まったくそんなことは考えていませんよ。お二人と再会できたことは、私にとっても非常に喜ばしいことになりそうです」
「さ、左様でございますか……? そう言っていただきまして、本当にありがとうございます」
イービス様から婚約破棄をされた直後ではあるけれど、こうして幼馴染であるウォルト様と再会が出来た。人間は平民、貴族に関係なく別れと出会いと繰り返して、強くなっていくのかもしれない。
私もいつまでも悲しんでばかりはいられないわね。その後、私はウォルト様とこの5年間のことについて積もる話に華を咲かせた。彼との距離が少しずつ近づいていくのをその身に感じながら……。
0
お気に入りに追加
945
あなたにおすすめの小説
もううんざりですので、実家に帰らせていただきます
ルイス
恋愛
「あなたの浮気には耐えられなくなりましたので、婚約中の身ですが実家の屋敷に帰らせていただきます」
伯爵令嬢のシルファ・ウォークライは耐えられなくなって、リーガス・ドルアット侯爵令息の元から姿を消した。リーガスは反省し二度と浮気をしないとばかりに彼女を追いかけて行くが……。
【完結】悪女のなみだ
じじ
恋愛
「カリーナがまたカレンを泣かせてる」
双子の姉妹にも関わらず、私はいつも嫌われる側だった。
カレン、私の妹。
私とよく似た顔立ちなのに、彼女の目尻は優しげに下がり、微笑み一つで天使のようだともてはやされ、涙をこぼせば聖女のようだ崇められた。
一方の私は、切れ長の目でどう見ても性格がきつく見える。にこやかに笑ったつもりでも悪巧みをしていると謗られ、泣くと男を篭絡するつもりか、と非難された。
「ふふ。姉様って本当にかわいそう。気が弱いくせに、顔のせいで悪者になるんだもの。」
私が言い返せないのを知って、馬鹿にしてくる妹をどうすれば良かったのか。
「お前みたいな女が姉だなんてカレンがかわいそうだ」
罵ってくる男達にどう言えば真実が伝わったのか。
本当の自分を誰かに知ってもらおうなんて望みを捨てて、日々淡々と過ごしていた私を救ってくれたのは、あなただった。
運命の歯車が壊れるとき
和泉鷹央
恋愛
戦争に行くから、君とは結婚できない。
恋人にそう告げられた時、子爵令嬢ジゼルは運命の歯車が傾いで壊れていく音を、耳にした。
他の投稿サイトでも掲載しております。
婚約破棄現場に訪れたので笑わせてもらいます
さかえ
恋愛
皆様!私今、夜会に来ておりますの!
どうです?私と一緒に笑いませんか?
忌まわしき浮気男を。
更新頻度遅くて申し訳ございません。
よろしければ、お菓子を片手に読んでくださると嬉しいです。
婚約破棄ですか? 国王陛下がいますよ?
マルローネ
恋愛
子爵令嬢のエリスは伯爵である婚約者のモトレーに婚約破棄をされた。
理由はモトレーの浮気であるが、慰謝料すら払わないとする始末。
大事にすれば子爵家は崩壊すると脅されるが、この話が国王陛下に伝わり……。
【完結】薔薇の花と君と
ここ
恋愛
公爵令嬢フィランヌは、誤解されやすい女の子。甘やかし放題の家族には何もさせてもらえない。この世のものとは思えぬ美貌とあり余る魔力。
なのに引っ込み思案で大人しい。
家族以外からは誤解されて、ワガママ令嬢だと思われている。
そんな彼女の学園生活が始まる。
お望み通りに婚約破棄したのに嫌がらせを受けるので、ちょっと行動を起こしてみた。
夢草 蝶
恋愛
婚約破棄をしたのに、元婚約者の浮気相手から嫌がらせを受けている。
流石に疲れてきたある日。
靴箱に入っていた呼び出し状を私は──。
婚約破棄されたのは私ではなく……実は、あなたなのです。
当麻月菜
恋愛
アネッサ=モータリアはこの度、婚約者であるライオット=シネヴァから一方的に婚約を破棄されてしまった。
しかもその理由は、アネッサの大親友に心変わりをしてしまったというあり得ない理由で………。
婚約破棄をされたアネッサは、失意のどん底に突き落とされたまま、大親友の元へと向かう。
向かう理由は、『この泥棒猫』と罵るためか、『お願いだから身を引いて』と懇願する為なのか。
でも真相は、そのどれでもなく……ちょいとした理由がありました。
※別タイトル(ほぼ同じ内容)で、他のサイトに重複投稿させていただいております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる