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4話 出会い その1
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「それではお父様、お母様。行ってまいります」
「うむ、気を付けてな」
「気を付けて行ってらっしゃい」
「はい」
「は~い、それでは行って来ます!」
私と妹のリーリャは貴族街のとある会場で行われるパーティーに参加することになった。イービス様との婚約破棄があってから、まだ3日しか経過していないけど、いつまでも腐っているわけにはいかないから。私だけの参加では心配だという理由で、妹のリーリャも付いて来ることになった。
なぜか、私よりも元気に楽しんでいるのが面白い。一応、今回のパーティーから、私は新たな出会いを模索しようとは考えている。もちろん、そんなに都合よくいくとは考えていないけれど。あくまで、何かのきっかけが掴めれば良いかな? と思っているだけだ。
「それではリーリャ、行きましょうか」
「はい、アテナ姉さま! アテナ姉さまだったら、すぐに運命の相手が見つかりますよ!」
「そう言ってくれるのは、とても嬉しいけれど……現実はそう簡単ではないでしょう」
イービス様との出会いから婚約までの道のりも、そんなに簡単だったわけではない。その婚約も破談になって、私の心の中では無意識の内に警戒心が生まれている。その警戒心はおそらくだけど、次の婚約を阻害してしまいそうだから。
とにかく、あまりネガティブにもポジティブにも考えては駄目だ。ナチュラルな気持ちでパーティーには向かおう。リーリャは凄く行く前から凄く楽しむ気満々のようね……はあ、彼女が羨ましいわ。
─────
「おお、もう大盛況ですね~~~!」
「本当に……想像以上に人が集まっているわね」
本日のパーティーは貴族街では定期的に行われている催し物の1つに過ぎなかった。上位貴族などが主催すつ舞踏会などとは違って、飲み会、食事会といった印象が強い。どちらかと言うと、庶民的な催し物だ。偶然だとは思うけれど、伯爵以上の家系の方々の姿もあるようだった。
「姉さま、美味しそうな食べ物がテーブルに並んでいます! 取って来ていいですか? 取って来ますね?」
「もう食べるのが前提のようね……他の方の邪魔にならないようにね」
「は~~い」
「リーリャの護衛、大変でしょうけどよろしくお願いします」
「畏まりました、お嬢様。お任せください」
私は護衛の一人である、執事のマックスさんにリーリャの護衛を頼むことにした。彼女もマックスさんに懐いている気がするし、適任だと思えたから。リーリャだけ先走らせるのは不安だしね……。
「さてと私は……どうしようかしら……」
「失礼ながらお嬢様、パーティーを楽しまれないのですか?」
「楽しみたいのは山々なんですけど……」
お付きの人達にも心配されてしまう。このまま何もせずに立っているだけでは、不審者と変わらない気がするし……かといって誰かに話しかける気力も今はないというか。そんな風に考え込んでいると、意外なことが起きた。
「すみません……少し、よろしいでしょうか?」
私に話しかけて来る貴族の男性の姿が……しかも、見覚えのある人物だった。
「えっ……私でしょうか? て、あなたは……!」
「アテナ・メンフィス伯爵令嬢、お久しぶりでございます」
「ウォルト・ハンコック様……こんなところでお会いするなんて……」
久しく会っていなかった相手、ウォルト・ハンコック伯爵令息が私に話しかけて来た人物の正体だった。
「うむ、気を付けてな」
「気を付けて行ってらっしゃい」
「はい」
「は~い、それでは行って来ます!」
私と妹のリーリャは貴族街のとある会場で行われるパーティーに参加することになった。イービス様との婚約破棄があってから、まだ3日しか経過していないけど、いつまでも腐っているわけにはいかないから。私だけの参加では心配だという理由で、妹のリーリャも付いて来ることになった。
なぜか、私よりも元気に楽しんでいるのが面白い。一応、今回のパーティーから、私は新たな出会いを模索しようとは考えている。もちろん、そんなに都合よくいくとは考えていないけれど。あくまで、何かのきっかけが掴めれば良いかな? と思っているだけだ。
「それではリーリャ、行きましょうか」
「はい、アテナ姉さま! アテナ姉さまだったら、すぐに運命の相手が見つかりますよ!」
「そう言ってくれるのは、とても嬉しいけれど……現実はそう簡単ではないでしょう」
イービス様との出会いから婚約までの道のりも、そんなに簡単だったわけではない。その婚約も破談になって、私の心の中では無意識の内に警戒心が生まれている。その警戒心はおそらくだけど、次の婚約を阻害してしまいそうだから。
とにかく、あまりネガティブにもポジティブにも考えては駄目だ。ナチュラルな気持ちでパーティーには向かおう。リーリャは凄く行く前から凄く楽しむ気満々のようね……はあ、彼女が羨ましいわ。
─────
「おお、もう大盛況ですね~~~!」
「本当に……想像以上に人が集まっているわね」
本日のパーティーは貴族街では定期的に行われている催し物の1つに過ぎなかった。上位貴族などが主催すつ舞踏会などとは違って、飲み会、食事会といった印象が強い。どちらかと言うと、庶民的な催し物だ。偶然だとは思うけれど、伯爵以上の家系の方々の姿もあるようだった。
「姉さま、美味しそうな食べ物がテーブルに並んでいます! 取って来ていいですか? 取って来ますね?」
「もう食べるのが前提のようね……他の方の邪魔にならないようにね」
「は~~い」
「リーリャの護衛、大変でしょうけどよろしくお願いします」
「畏まりました、お嬢様。お任せください」
私は護衛の一人である、執事のマックスさんにリーリャの護衛を頼むことにした。彼女もマックスさんに懐いている気がするし、適任だと思えたから。リーリャだけ先走らせるのは不安だしね……。
「さてと私は……どうしようかしら……」
「失礼ながらお嬢様、パーティーを楽しまれないのですか?」
「楽しみたいのは山々なんですけど……」
お付きの人達にも心配されてしまう。このまま何もせずに立っているだけでは、不審者と変わらない気がするし……かといって誰かに話しかける気力も今はないというか。そんな風に考え込んでいると、意外なことが起きた。
「すみません……少し、よろしいでしょうか?」
私に話しかけて来る貴族の男性の姿が……しかも、見覚えのある人物だった。
「えっ……私でしょうか? て、あなたは……!」
「アテナ・メンフィス伯爵令嬢、お久しぶりでございます」
「ウォルト・ハンコック様……こんなところでお会いするなんて……」
久しく会っていなかった相手、ウォルト・ハンコック伯爵令息が私に話しかけて来た人物の正体だった。
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