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束の間の蜜月

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    エリーナの体調が回復するのを待って、ヴァレリー公爵の屋敷を後にした。


    門のところまで見送ったヴァレリー公爵が、呟いた。


「フォード公爵よりも先に俺と出会ってたら、君は間違いなく俺に惚れただろうね」


 「えー?」


    何を言っているのか聞き取れなかったが、ヴァレリー公爵はただ微笑を浮かべていた。


「悪かったな。約束通り、二度と君たちの前に現れないから安心して」


    カールはヴァレリー公爵をひと睨みし、素早くエリーナの手を引っ張り、門の前で待機していた馬車に乗り込ませた。


    馬車で移動中もカールはエリーナにぴったりとくっついて、離れない。


    そしててっきり屋敷に戻るとばかり思っていたが、着いた先はフォード公爵の屋敷よりもかなり小さめの小屋のような建物だった。


「ここは?」


「別荘、と言ったところかな? ここには誰もいない。一人になりたいときはよくここで休暇している」


    キッチンと小さなテーブル、ベッドが一つ置かれた寝室があるくらいで他にはなにもない。


 「掃除などは定期的に任せているから、埃っぽいこともないだろう?」


「ええ。すごく綺麗です」


    部屋を見渡すエリーナを、カールは後ろから抱きしめた。


「君と二人だけで過ごしたかった」


「カール様……」


    言われてみると二人きりで過ごしたことは今までなかった。


    もちろん部屋の中では二人きりで過ごすけれど、それ以外は常に誰かがそばにいる。


「ずっとここで君と暮らせたらいいのにな」


    ちゅ、と首筋にキスをされてエリーナは小さく身を震わせる。


「君に辛い思いをさせてすまなかった。夫の前で他の男にされるなど屈辱だっただろう?」


    エリーナのサラサラの髪を撫でながら申し訳なさそうに言われて、あの羞恥を思い出しかっと顔を赤くする。


「ヴァレリー公爵様にされている間も、ただ、カール様だけを、見てました。カール様がいてくれたから、耐えられて……」


 「エリーナっ」


    感極まったカールが搔き切るようにエリーナのドレスを引き裂き、乳房を揉む。


「あ、んっ」


「ここには誰もいない。思う存分、君の可愛い声を私だけに聞かせてくれ」


    エリーナはカールに横抱きにされて、寝室へと運ばれる。


    二人きりしかいない小屋で、エリーナはあられもない声を上げた。


 「ああ、エリーナ、私の、わたしだけの……っ」


    身体中に赤い跡が散らされていく。カールのものだという証のように感じて嬉しかった。


    昨夜も数え切れないほど抱き合ったのに、カールの熱は止まらなかった。


    何度も意識が飛びそうになる。


「もっと、もっと、おくっ」


「ああ、ここだろう?」


    一際強くそこを突かれて、エリーナは弓なりに身を反らした。


    突き出した乳房を揉まれながら突かれると、またカールのものを締め付けてしまう。


    離れないでと訴えているかのようだ。


    際限なく繰り返される行為に二人とも溺れていく。


    エリーナの瞳からは自然と涙が溢れる。


    もう触れることも叶わないと思っていた愛しい人が、エリーナのことを欲しがっている。


    腕を伸ばしてカールの大きな背中に腕を回す。


「カール、様っ、んっ」


「っつ、ん」


    エリーナから舌を出してキスをせがんだ。


    夢中でキスをしているうちに、カールのものがまた膨張する。

「ん、ふっ、ま、また、おおきいっ、あん、いい? 気持ちいい?」


「っ、ああ、最高だっ、エリーナっ」


    キスをしながら突き上げられ、またも蜜が肉壁から溢れ出す。


「あ、く、くるっ、きちゃう、またっ……あんっ」


「わたしも、だっ」


    カールの熱を感じながらエリーナは甲高い声を上げて、果てた。


    


      


    


     

    


    


    


    


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