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フォード公爵は姉が言っていた通り、いや、それ以上に美貌の公爵だった。
白色のブラウスに白と金色の刺繍で施されたベストを身に着け、黒色のジェストコール、下衣には黒色のキュロットを穿いた衣装で現れたフォード公爵のあまりの美しさに、挨拶をするのも忘れるほど魅入ってしまう。
背筋はすっと伸びていてその手足は長く、湖のように透き通った綺麗な青い瞳には意思の強そうな力強い光が宿っている。
陶器のようにすべらかな肌に肉厚的で艶のある魅力的な唇。
完璧に整えられた端正な顔立ちは男らしさもあり、それでいてどこか甘美的な艶があった。
明るめのベージュ色をした髪はみるからにさらさらしていそうで、ぼーっと見つめているとフォード公爵が控えめに声をだした。
「私の顔に何かついていますか?」
見詰めていた唇が動いて、その声もちょうどいい低音にどこか甘さを帯びていて耳にしっくりとなじむ。
フォード公爵の戸惑いの言葉に真っ先に反応したのはカフラだった。
男性であるはずのカフラまでも見惚れるほどということだろう。
「も、申し訳ありません!! 本来でしたらこちらから出向かなければならないのに、わざわざ起こしいただき誠にありがとうございます」
「いえ、お嬢さんは身体が弱いと聞いているので長旅は応えるでしょう」
フォード公爵の視線がエリーナを見据え、ふっと優雅に微笑む。
あまりに美しい仕草にエリーナはまたもぽーっと見惚れた。
「はじめまして、お嬢さん。カール・フォード公爵と申します」
「は、はじめましてっ! あ、あ、あのっ、エ、エリーナ・ネーディブでございますっ」
控えめに会釈をするつもりが、勢いよく頭を下げてしまう。緊張のあまり声は裏返りどもってしまった。貴族令嬢らしからぬ挨拶をしてしまい、あたふたするエリーナにフォード公爵は気分を害することなく笑顔で手を差し伸べてくる。
握手を求められ遠慮がちにそっと手を差し出した。
フォード公爵の手は骨ばってごつごつしていて温かみがあった。
エリーナは冷え性で一年中冷たく、真冬などは特に辛い。
(あったかい……)
思わずうっとりとその手のぬくもりを感じていると、フォード公爵が甘い声音で口にした。
「細く綺麗な指ですね。私好みだ」
「えっ……」
青い瞳がじっとエリーナを見つめる。男の人に見つめられたことがないエリーナはそれだけで身体が火照ってしまい、今までの緊張もあって目まいがしそうになった。
くらりと身体が傾き倒れるーと思った刹那。
がっしりとした腕に支えられ厚い胸板に抱きこまれた。
「おっと、大丈夫ですか?」
「っつ……」
しっかりと背中を支えられ、まるで抱きしめられているかのような恰好にエリーナの思考は崩壊寸前だった。
すぐ近くで規則正しい鼓動が脈打つのが聞こえる。
初対面の人にいきなりこんなに密着して。ああ、それよりもこの方は公爵様だ。
恥ずかしすぎて泣きそうになってきた。
どうすることもできず、がちがちに固まってしまう。
見上げるとフォード公爵の美貌の顔が至近距離にあって、じっと熱い視線をエリーナに注いでいる。
目力のある瞳だと思った。
その瞳に見つめられるとそらせなくなる。極度の緊張で潤んだ瞳で見つめ返していると、艶々な唇が楽しそうに弧を描いて言った。
「こんな熱烈な歓迎を受けるとは思わなかったな」
どこか冗談めかしておどけたふうに言われ、エリーナはみるみる顔を真っ赤にした。
(もう、だめ……)
これ以上は心臓がとまってしまいそうだ。
エリーナはそのままフォード公爵の腕の中で気を失ってしまったのだったー。
白色のブラウスに白と金色の刺繍で施されたベストを身に着け、黒色のジェストコール、下衣には黒色のキュロットを穿いた衣装で現れたフォード公爵のあまりの美しさに、挨拶をするのも忘れるほど魅入ってしまう。
背筋はすっと伸びていてその手足は長く、湖のように透き通った綺麗な青い瞳には意思の強そうな力強い光が宿っている。
陶器のようにすべらかな肌に肉厚的で艶のある魅力的な唇。
完璧に整えられた端正な顔立ちは男らしさもあり、それでいてどこか甘美的な艶があった。
明るめのベージュ色をした髪はみるからにさらさらしていそうで、ぼーっと見つめているとフォード公爵が控えめに声をだした。
「私の顔に何かついていますか?」
見詰めていた唇が動いて、その声もちょうどいい低音にどこか甘さを帯びていて耳にしっくりとなじむ。
フォード公爵の戸惑いの言葉に真っ先に反応したのはカフラだった。
男性であるはずのカフラまでも見惚れるほどということだろう。
「も、申し訳ありません!! 本来でしたらこちらから出向かなければならないのに、わざわざ起こしいただき誠にありがとうございます」
「いえ、お嬢さんは身体が弱いと聞いているので長旅は応えるでしょう」
フォード公爵の視線がエリーナを見据え、ふっと優雅に微笑む。
あまりに美しい仕草にエリーナはまたもぽーっと見惚れた。
「はじめまして、お嬢さん。カール・フォード公爵と申します」
「は、はじめましてっ! あ、あ、あのっ、エ、エリーナ・ネーディブでございますっ」
控えめに会釈をするつもりが、勢いよく頭を下げてしまう。緊張のあまり声は裏返りどもってしまった。貴族令嬢らしからぬ挨拶をしてしまい、あたふたするエリーナにフォード公爵は気分を害することなく笑顔で手を差し伸べてくる。
握手を求められ遠慮がちにそっと手を差し出した。
フォード公爵の手は骨ばってごつごつしていて温かみがあった。
エリーナは冷え性で一年中冷たく、真冬などは特に辛い。
(あったかい……)
思わずうっとりとその手のぬくもりを感じていると、フォード公爵が甘い声音で口にした。
「細く綺麗な指ですね。私好みだ」
「えっ……」
青い瞳がじっとエリーナを見つめる。男の人に見つめられたことがないエリーナはそれだけで身体が火照ってしまい、今までの緊張もあって目まいがしそうになった。
くらりと身体が傾き倒れるーと思った刹那。
がっしりとした腕に支えられ厚い胸板に抱きこまれた。
「おっと、大丈夫ですか?」
「っつ……」
しっかりと背中を支えられ、まるで抱きしめられているかのような恰好にエリーナの思考は崩壊寸前だった。
すぐ近くで規則正しい鼓動が脈打つのが聞こえる。
初対面の人にいきなりこんなに密着して。ああ、それよりもこの方は公爵様だ。
恥ずかしすぎて泣きそうになってきた。
どうすることもできず、がちがちに固まってしまう。
見上げるとフォード公爵の美貌の顔が至近距離にあって、じっと熱い視線をエリーナに注いでいる。
目力のある瞳だと思った。
その瞳に見つめられるとそらせなくなる。極度の緊張で潤んだ瞳で見つめ返していると、艶々な唇が楽しそうに弧を描いて言った。
「こんな熱烈な歓迎を受けるとは思わなかったな」
どこか冗談めかしておどけたふうに言われ、エリーナはみるみる顔を真っ赤にした。
(もう、だめ……)
これ以上は心臓がとまってしまいそうだ。
エリーナはそのままフォード公爵の腕の中で気を失ってしまったのだったー。
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