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納屋に泊めてもらいました。
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気がつくと、次の村が見える所まで来ていた。
私はハッとして、静かに村の中に入っていった。
もう夜中だ。宿に泊まれるだろうか。
そう心配しながら宿屋を探していると、明かりのついている所があったので近づいてみた。
そこは飲み屋のようだった。
宿屋が飲み屋を兼業していることもあるので、私は期待してその店に入った。
「あ、もう閉店なのよ。ごめんねえ」
私を見て、店のお姉さんがそう言った。
「あの……宿屋はどこにありますか?」
私がそう言うと、お姉さんは私をしげしげと見て、「メイブの宿が近くにあるけど……もしかしてこれから泊まるとこ探してるの?」と訊いてきた。
「はい。……従魔がいても泊まれますか?」
「泊まれないかもしれないねえ」
「ほかに宿屋は……」
「宿屋はメイブのとこしかないよ」
「そうですか……」
私がどうしようか考えていると、お姉さんが「納屋で良ければ、うちに泊めてあげるよ」と言ってくれた。
「ありがとうございます!」
「いいよ。……こっちだよ」
そう言って案内してくれるお姉さんの後に私はついて行った。
納屋に着くとお姉さんが「お腹は減ってないかい?」と言ったので、私は「食べ物はあるので、大丈夫です」と答えた。
これ以上、迷惑をかけるわけにはいかない。幸い、食料はアイテムボックスの中にたくさんある。
「じゃあ、ゆっくり休んでね」
「はい。ありがとうございます」
お姉さんが立ち去ると、私は藁の上に座った。
思ったより疲れていたようだ。身体が重い。
『あるじー、ごはん?』
レオンが私を見上げて言ったので、私は「ごめんね、お腹すいたよね」と言ってレオンを下ろした。
そして角兎を一匹アイテムボックスから出してレオンの前に置いた。
「食べていいよ」
そう言うと、レオンは角兎にかぶりついた。
それを見ながら、私は串焼きを取り出して食べ始めた。
今日はなんか疲れたな……。
グルースさんの死体に取りすがって泣くおじさんの姿が脳裏によぎり、私は頭を振ってその姿を振り払った。
私が串焼きを食べ終わる頃には、レオンは角兎を食べ終えて口の周りを舐めていた。
私はお皿と水筒を出して、レオンに水を与えた。
レオンは美味しそうに飲んでいる。
その頭を撫でながら、明日はもっとゆっくり走ろうと思うのだった。
私はハッとして、静かに村の中に入っていった。
もう夜中だ。宿に泊まれるだろうか。
そう心配しながら宿屋を探していると、明かりのついている所があったので近づいてみた。
そこは飲み屋のようだった。
宿屋が飲み屋を兼業していることもあるので、私は期待してその店に入った。
「あ、もう閉店なのよ。ごめんねえ」
私を見て、店のお姉さんがそう言った。
「あの……宿屋はどこにありますか?」
私がそう言うと、お姉さんは私をしげしげと見て、「メイブの宿が近くにあるけど……もしかしてこれから泊まるとこ探してるの?」と訊いてきた。
「はい。……従魔がいても泊まれますか?」
「泊まれないかもしれないねえ」
「ほかに宿屋は……」
「宿屋はメイブのとこしかないよ」
「そうですか……」
私がどうしようか考えていると、お姉さんが「納屋で良ければ、うちに泊めてあげるよ」と言ってくれた。
「ありがとうございます!」
「いいよ。……こっちだよ」
そう言って案内してくれるお姉さんの後に私はついて行った。
納屋に着くとお姉さんが「お腹は減ってないかい?」と言ったので、私は「食べ物はあるので、大丈夫です」と答えた。
これ以上、迷惑をかけるわけにはいかない。幸い、食料はアイテムボックスの中にたくさんある。
「じゃあ、ゆっくり休んでね」
「はい。ありがとうございます」
お姉さんが立ち去ると、私は藁の上に座った。
思ったより疲れていたようだ。身体が重い。
『あるじー、ごはん?』
レオンが私を見上げて言ったので、私は「ごめんね、お腹すいたよね」と言ってレオンを下ろした。
そして角兎を一匹アイテムボックスから出してレオンの前に置いた。
「食べていいよ」
そう言うと、レオンは角兎にかぶりついた。
それを見ながら、私は串焼きを取り出して食べ始めた。
今日はなんか疲れたな……。
グルースさんの死体に取りすがって泣くおじさんの姿が脳裏によぎり、私は頭を振ってその姿を振り払った。
私が串焼きを食べ終わる頃には、レオンは角兎を食べ終えて口の周りを舐めていた。
私はお皿と水筒を出して、レオンに水を与えた。
レオンは美味しそうに飲んでいる。
その頭を撫でながら、明日はもっとゆっくり走ろうと思うのだった。
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