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またパーティに誘われました。

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 翌日、早朝に起きて朝食を部屋に運んでもらった。
 朝食の後は少しだけレオンをもふもふしてから森へと出かけた。
 そしていつものように森の奥に着くと、私はレオンに訊いてみた。

「レオン、角兎よりももっと大きな魔物のいる所はわかる?」
『うん。わかる。でも、大きいの、こわい』
「私がいるから大丈夫だよ」
『あるじ、大丈夫?』
「大丈夫。レオンは見つけたら離れてていいから」
『わかったー』

 レオンを腕から下ろすと、レオンは私を見た後に走り出した。
 しばらくして、レオンが立ち止まった先には角熊がいた。
 やった! 大物見っけ!
 私は嬉嬉として、角熊に雷撃を放った。

『クマ、しんだ?』
「うん。レオンありがとねー」
『レオン、いいこ?』
「うん。いい子いい子」

 私は倒れた角熊を後回しにして、レオンを褒めながら頭を撫でた。
 レオンは尻尾をブンブン振っている。
 レオンをひとしきり撫で回してから、私は角熊をアイテムボックスにしまった。
 そしてレオンに言った。

「また大きいの、探してくれる?」
『わかったー』

 レオンが駆け出したので追いかけた。
 そして今度は角猪を見つけた。

 今度も雷撃で仕留めた。
 またレオンをわしゃわしゃと撫でながら褒めて、それから次の獲物のことを訊く。
 するとレオンが走り出し、私は追いかける。
 レオンが立ち止まると角熊がいて、私が雷撃で仕留める。
 そうやって、角熊十五頭と角猪十頭を狩ったところで今日の狩りは終了とした。

 
 ギルドに戻り納品すると、二百五十万Gと少しもらえた。
 そしてランクがFからEになった。

 私がホクホク顔で帰ろうとすると、数人の男達が近づいてきた。

「なあ、あんた、俺達のパーティに入らないか?」
「……パーティに入る気はないから」
「一人だと色々困ることもあるだろ?」
「困ってないから」
「報酬も待遇もほかよりいいぜ」
「……だから、パーティに入る気はないって」
「一回試しに組んでみないか?」
「組みません!」

 もう、しつこい!
 私がどうやってこの場から抜け出そうかと思っていると、ギース達が近づいて来るのが見えた。

「おい、パーティに入るなら俺達の所にしろよ」

 ギースがそう言って、私のそばまでやってきた。
 ギース達が来ると、さっきまでパーティに誘っていた男達は顔をしかめて去って行った。

「あいつら、いい噂聞かねえから気をつけろよ」

 ギースが小声でそう忠告してくれた。
 その後夕食に誘われたけど、断って宿に戻った。
 アイテムボックス持ちだからってパーティに誘われるのは迷惑だ。
 私はレオンと一緒に稼いでいるのだから、ほかの人は必要ない。
 でも今日誘ってきた人達はまた来そうだなあ。
 色々考えているとなんだかこの街を出たくなってきた。
 ここに居るとまたニータも来そうだし。
 思い切ってほかの街に行ってみようか。幸い、今日の稼ぎで旅費は十分にあるし。
 そうだ、そうしよう!

 私はそう決意して、明日の朝に出発することにした。
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