夢の彼方に生まれ変わって

いい宿でした。

　夢から覚めると夕方になっていた。
　レオンはまだ眠っていた。
　私はレオンの柔らかな毛を撫でながら、夢の中のドラゴンのことを考えた。
　現実でのあの子はまだ赤ちゃんだ。きっと眠ってばかりいるのだろう。
　眠るたびに私を探しているのだろうか……。
　現実では夢魔のことは覚えていないはずだ。だけど、夢の中では私を追いかける……。
　もしかして、あの子の親はそばにいないのだろうか。だから私を親のように思って追いかけているのかもしれない。

　私はあの子に情がわいている。夢の中でくらいそばにいてあげたい。
　せめて夢の終わりに少しだけなら一緒にいてもいいだろうか。
　念の為、精気を少し分けておけば大丈夫だろう。
　そう考えると気が楽になった。

　レオンが起きたので、一階に下りて夕食を持ってきてくれるように頼んだ。
　この宿は部屋まで運んでくれるのだ。高いだけある。
　夕食は美味しかった。レオンも生肉を美味しそうに食べている。
　食器をまとめて廊下に出して少しすると、宿の人がお湯を持ってきてくれた。
　この宿はお湯のサービスもあるのだ。ちゃんとレオンの分まである。

　私は先にレオンを桶に入れて洗ってやり、布で拭いてから私も身体を清めた。
　ああ、お風呂に入りたい！
　転生してからは川で水浴びくらいしかしていない。
　夢の中で得た情報によると、貴族の家にはお風呂があるらしいから、きっと上級宿に泊まればお風呂に入れるだろう。
　いつかお風呂付きの宿に泊まれるよう頑張るぞ！
　私は決意を新たにして、今日も眠りにつくのだった。