傾く方へ

傾く方へ。

意志とは関係ない。

ベッドの上に座っている木内さんに膝立ちで跨り上から見下ろす。
見下げているのは私の方なのに、腰に置かれた手と刺す様な視線に捕らえられ、侍従関係では完全に従う側に落ちていた。
入口に木内さんの先が触れる。
欲しくて欲しくてぎゅうっと下腹部が無意識に力を込めていた。
｢エロいな…。先っぽだけなのにうねってるな。｣
そう言って意地悪に笑っているけれど、木内さんも顔が上気している。
その顔が可愛くて、ゾクゾクと幸福感に全身が包まれた。
木内さんも切実に私を求めているのだと伝わってくる。
どうしようも無く愛おしく思った。
私は体重をかけ腰を下ろす。
ずろずろとゆっくり飲み込んでいく。
｢はっ…あ…っ、ユリ…。｣
切なそうに目を細めて木内さんが囁いた。
ゾワゾワと身を捩りたくなる快感が登ってくる。
｢んんっ、あぁ…。きうちさ…っん。｣
目を合わせたまま互いを呼び合う。
恥ずかしくて顔を背けてしまいたいのに、それと同じくらい彼の色っぽく歪む表情が見ていたくて逸らせない。
｢んっ…。も、無理…。｣
半分程埋まったところで動けなくなってしまった。
気持ち良すぎてなかなか進めない。
｢ユリ…。｣
腰に置かれている手に力がこもる。
｢やぁ…まって、きうちさん…あぁっ…。｣
｢ユリが…焦らすから…。｣
焦らしたんじゃない。と否定したかったのに言葉にならない。
ふるふると首を降って訴えるも、広がっていく快感に脚の力が抜ける。
カクっと脱力し、木内さんのモノが完全に埋まった。
｢ああっ。｣
何かに掴まっていないと自分を保てない気がして必死に抱き縋る。
木内さんはまた私の頭を両手で包み深いキスをした。
腰が震える。
｢はぁ…、動いて…。｣
角度を変える合間に新しい命令が。
私は息も絶え絶えに動き出した。
抑え込まれた頭部と強い快感の影響で上手く動けない。
必然的に前後にスライドさせる動きしか出来ず、奥の嵌るところに強く押し付ける形になってしまった。
グイグイと一点が攻められる。
｢んんっ、むっん…。｣
｢ふっ…。｣
木内さんの鼻で笑う声。
薄く目蓋を開くと食い入る様にこちらを見詰めていた。
不意につつっと背中が擽られ身体が仰け反る。
その拍子に奥が抉られ声が漏れた。
｢ふあぁっ。｣
荒い呼吸を整えながら顔を上げると、長いキスで赤みを帯びた薄い唇を不敵に歪ませ木内さんは笑っている。
｢脚ガクガクじゃん？そんなに気持ち良いの？自分で動いてて？あー…ほんと、くっそエロいな。｣
動きを止めていた腰に再度手が伸びる。
下から軽く突き上げられまた身を捩った。
気持ちの良いところを緩くゆっくりと刺激され泣きそうになる。
｢こんな緩いのだともどかしいよな？ユリもちゃんと動いて。｣
｢ふっ…、むりぃ…。｣
｢ほら、好きなとこやってやるから。｣
｢んんっ、やぁぁ。｣
先程声を上げたところをグッと押し込まれた。
続けて胸の尖端を軽く噛まれる。
｢あぁっ…、むね、だめぇ…。｣
強い刺激に耐えきれず、木内さんの頭を掻き抱く。
鼻が髪に埋まり、整髪料に混じって濃い木内さんの匂いが鼻腔を通って脳に刺さった。
途端に訳が分からなくなる。
ギュッと中が締まった。
意志とは関係なく勝手に腰が揺れ。
私はあの日のホテルと同様、また盛大に達した。