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26話 初めて触れる夜
しおりを挟む夜になってベッドに寝転ぶ。
しばらくしてルイスが寝室に入ってきた。
「おやすみサラ。」
ルイスが私の髪にキスをして向こうを向いて目をつぶった。
私も寝ようと目をつぶる。
10分ほど経っても全然寝られない。
ふと横を見るとルイスがいる。
久しぶりにルイスが隣にいることがすごく嬉しい。
いつものルイスの綺麗な寝顔がとても愛らしく感じた。
「ふふっ…」
穏やかな顔で寝息をたてるルイスを見ると自然と笑みが溢れる。
最初は好きでもなんでもなく結婚したけど、今はルイスがいないと寂しいし、ルイスが他の女の人と一緒にいるとメラメラと嫉妬心が燃え上がる。
私がルイスを深く愛しているんだと今更になって気づいた。
「ねえ、ルイス。」
私の呼びかけにうーんと眠そうに振り返る。
「どうしたの?サラ」
「眠たい?」
「うーん、大丈夫。」
大丈夫と言いながら目をこすっている。
「キスしたいなって。」
私の言葉にルイスが驚いて体を起こした。
「え!?え!?本当に!?」
「なんでそんな驚いてるの、初めてじゃないでしょ。」
キスくらい今までもしたことあるのに。
「サラからなんて言われたことなかったから…」
綺麗な瞳をまんまるにして驚いている。
「嫌なの?」
「まさか!!嬉しいよ。」
起き上がりベッドに座る。
逞しい身体で私を包み込むように抱きしめるルイスの唇にそっとキスをした。
「私のこと好き?」
「もちろん。」
私の問いかけに今度はルイスから唇を重ねた。
「今日はすごく甘えん坊さんだね。どうしたの?」
私の頭を優しく撫でながらルイスが言う。
「なんでもないわ。」
しばらく沈黙が流れる。
黙ったままルイスは優しく、優しく私の頭を撫でている。
「ねえ、ルイス。ルイスは子供とか、欲しい?」
私の問いかけに一瞬、ルイスは驚いたがすぐに微笑みながら返事をする。
「そうだね、欲しいかなぁ。でも、サラに無理はさせたくない。」
ルイスらしい返事が返ってきた。
「サラが心から僕を好きになってくれて、サラが僕と結ばれてもいいと思ったら、かな。」
ルイスが困ったように笑った。
私たちは一度も身体を重ねたことはない。
ルイスから求められたことももちろんない。
「私はね、ルイスとの子供が欲しいの。」
ルイスは黙って聞いている。
「結婚がトントン拍子で進んだけど、今は本当に心の底からルイスのこと愛してる。
私、ルイスと本当の意味で結ばれたいの。」
自分で言ったことだが、どんどん顔が赤くなるのを感じた。
「それって…いいの?」
恥ずかしさで俯く私の顔を両手で包み込み、ルイスが問いかけてくる。
「…うん。」
「無理してない?」
「無理なんか、本当に思ってるの。」
30秒ほど沈黙が続いた。
黙ったまま何もしてこないルイスにとうとう痺れを切らし、口を開いたのは私だった。
「ルイスが嫌だったらいいの、別に無理にとは言わないから。」
そう言ってベッドに潜り込もうとする私をルイスが押し倒した。
「嫌なわけないよ。サラ、愛してる。」
そう言って私を見つめるルイスの瞳は熱を帯びている。
私は黙ってルイスの首に腕を回した。
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