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11話 没落貴族
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「えっと…ジェラルド子爵。
よ、よろしくお願いします。」
なんだか照れ臭く感じる。
「妻になるのですから、そんな呼び方はやめてください。ルイスでいいですよ。」
ルイスが微笑むと切長の目がくしゃりとつぶれる。
「あ、ありがとう、ルイス。
私のこともサラと呼んでください。」
「ありがとう、サラ。」
こうして私はルイス・ジェラルドの妻となりサラ・ターナー改め、サラ・ジェラルドとなった。
ルイスのことを愛しているのかと聞かれれば、分からない。
それでも、私のことを「愛している」とまっすぐに伝えてくれるルイスのことを信じてしまった。
「そういえば伝えないといけないことがあるんだ。」
さっきとは打って変わって真剣な顔になる。
「これを聞いた後で結婚はやっぱり無理だと言うならそれでも構わない。
ご両親にはまだ伝えていないから、君の好きなようにしたらいい。」
「なんですか?」
少し間をおいて、ルイスは話し始めた。
「実は、ちょうど半年前の僕が24歳になったときに当時の当主だった父が急死してね。つい最近、当主が僕になったんだ。
昨日のパーティーは僕が当主になってはじめてのパーティーだったんだよ。」
「まあ、そうでしたの。」
ルイスは続けた。
「いい父だったよ、家族にとってはね。
ただ領民には自分が貴族だからと威張り散らし、無理難題を押し付けて、自分はろくな仕事もせず毎日パーティー三昧だったんだ。」
ロビーに飾られていた絵画のジェラルド家の前当主の顔がチラつく。
「そのせいでまじめに働く領民はいなくなり、だだっ広い敷地を持て余し今では貴族とは名ばかりの暮らしをしてるんだ。
所謂、没落貴族というやつなんだ。
僕が当主になってからは、やり直そうと頑張ってるんだけどなかなかうまくいかなくてね。」
困ったように笑うルイスの髪が窓から入ってくる風にサラサラと揺れている。
「それでも、父が社交的だったからか名前だけは知られているんだ。
だから君の名誉にこれ以上傷つくことはないと思う。」
私のことを考えてくれてるのね。
「結婚は…」
ルイスの言葉を遮るように私はルイスの顔を両手で包み込んだ。
「私はもうサラ・ジェラルドです。これからよろしくお願いしますね?」
ルイスは目を輝かせて抱きついてきた。
「ありがとう!!君のことは絶対大切にするよ、愛してる。」
「ちょ、ちょっとっ!」
くしゃっとした顔で喜ぶルイスがなんだか少しだけ愛しく思えた。
よ、よろしくお願いします。」
なんだか照れ臭く感じる。
「妻になるのですから、そんな呼び方はやめてください。ルイスでいいですよ。」
ルイスが微笑むと切長の目がくしゃりとつぶれる。
「あ、ありがとう、ルイス。
私のこともサラと呼んでください。」
「ありがとう、サラ。」
こうして私はルイス・ジェラルドの妻となりサラ・ターナー改め、サラ・ジェラルドとなった。
ルイスのことを愛しているのかと聞かれれば、分からない。
それでも、私のことを「愛している」とまっすぐに伝えてくれるルイスのことを信じてしまった。
「そういえば伝えないといけないことがあるんだ。」
さっきとは打って変わって真剣な顔になる。
「これを聞いた後で結婚はやっぱり無理だと言うならそれでも構わない。
ご両親にはまだ伝えていないから、君の好きなようにしたらいい。」
「なんですか?」
少し間をおいて、ルイスは話し始めた。
「実は、ちょうど半年前の僕が24歳になったときに当時の当主だった父が急死してね。つい最近、当主が僕になったんだ。
昨日のパーティーは僕が当主になってはじめてのパーティーだったんだよ。」
「まあ、そうでしたの。」
ルイスは続けた。
「いい父だったよ、家族にとってはね。
ただ領民には自分が貴族だからと威張り散らし、無理難題を押し付けて、自分はろくな仕事もせず毎日パーティー三昧だったんだ。」
ロビーに飾られていた絵画のジェラルド家の前当主の顔がチラつく。
「そのせいでまじめに働く領民はいなくなり、だだっ広い敷地を持て余し今では貴族とは名ばかりの暮らしをしてるんだ。
所謂、没落貴族というやつなんだ。
僕が当主になってからは、やり直そうと頑張ってるんだけどなかなかうまくいかなくてね。」
困ったように笑うルイスの髪が窓から入ってくる風にサラサラと揺れている。
「それでも、父が社交的だったからか名前だけは知られているんだ。
だから君の名誉にこれ以上傷つくことはないと思う。」
私のことを考えてくれてるのね。
「結婚は…」
ルイスの言葉を遮るように私はルイスの顔を両手で包み込んだ。
「私はもうサラ・ジェラルドです。これからよろしくお願いしますね?」
ルイスは目を輝かせて抱きついてきた。
「ありがとう!!君のことは絶対大切にするよ、愛してる。」
「ちょ、ちょっとっ!」
くしゃっとした顔で喜ぶルイスがなんだか少しだけ愛しく思えた。
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