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9話 ルイス・ジェラルド子爵②
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◇◇◇
気がつくと、外からちゅんちゅんと小鳥の囀る声が聞こえる。
はっとあたりを見渡すと見覚えのない部屋にいるようだ。
「どこっ、ここ…」
自身が置かれている状況に困惑しながらベッドから出るとコンコンっと扉を叩く音が聞こえる。
「失礼致します、ターナー様。」
ガチャリと扉を開けて入ってきたのは、知らないメイドだった。
とりあえず、ターナー邸ではないということはわかる。
「おはようございます。ご気分はいかがでしょうか?」
「え、ええ…」
問題ないですわ、と答えようとして自身の体の異常に気づく。
体が重だるく、鐘が鳴り響くようにガンガンと頭痛がする。
「うっ…」
あまりの調子の悪さに思わずベッドにもたれかかってしまった。
「大丈夫ですか!?無理なさらないでください。」
「ええ…ありがとう…」
フラフラと立ち上がり、メイドに支度を手伝ってもらった。
顔を洗うとスッキリしたからか少し調子が良くなった気がする。
朝食があると伝えられ、メイドに案内されるがままついて行くと、昨夜の見覚えのあるホールが見えてきた。
ここでようやくわかってきた。
私が今いるここはジェラルド邸!
えっ、でもなんでジェラルド邸に!?
頭にはてなを浮かべながら中へ入ると、ジェラルド子爵が席に座っている。
「おはようございます、ターナー伯爵令嬢。」
「お、おはようございます、ジェラルド子爵。すみません、私昨日の記憶が無いのですが一体どうなってここにいるのでしょうか…」
おずおずと聞く私にジェラルド子爵がプッと吹き出す。
「覚えておられないのですか!?
無理もない、昨日はかなり飲んでおられた。」
声をあげて笑うジェラルド子爵に対して、恥ずかしさで耳まで熱くなっているのを感じた。
「昨晩は飲み比べをされていたのですよ。
かなり飲まれていて、足元もおぼつかずそのまま帰すのは心配になって一晩うちで泊まっていただいたのです。」
「そ、そうでしたか…、ご迷惑をおかけしてすみません。」
は、恥ずかしい!
初めてお会いした殿方にそんなはしたない所を見せてしまうだなんで…
デレクのことがあったからって気持ちが大きくなってしまった…
沸騰しそうなくらい熱くなる顔を思わず手で覆う。
「ご迷惑だなんて、とんでもない。
ところでターナー伯爵令嬢、1つお願いがあるのです。」
「なんでしょうか?」
透き通るように青い瞳が私を捉える。
「私、ルイス・ジェラルドと結婚してくださいませんか。」
気がつくと、外からちゅんちゅんと小鳥の囀る声が聞こえる。
はっとあたりを見渡すと見覚えのない部屋にいるようだ。
「どこっ、ここ…」
自身が置かれている状況に困惑しながらベッドから出るとコンコンっと扉を叩く音が聞こえる。
「失礼致します、ターナー様。」
ガチャリと扉を開けて入ってきたのは、知らないメイドだった。
とりあえず、ターナー邸ではないということはわかる。
「おはようございます。ご気分はいかがでしょうか?」
「え、ええ…」
問題ないですわ、と答えようとして自身の体の異常に気づく。
体が重だるく、鐘が鳴り響くようにガンガンと頭痛がする。
「うっ…」
あまりの調子の悪さに思わずベッドにもたれかかってしまった。
「大丈夫ですか!?無理なさらないでください。」
「ええ…ありがとう…」
フラフラと立ち上がり、メイドに支度を手伝ってもらった。
顔を洗うとスッキリしたからか少し調子が良くなった気がする。
朝食があると伝えられ、メイドに案内されるがままついて行くと、昨夜の見覚えのあるホールが見えてきた。
ここでようやくわかってきた。
私が今いるここはジェラルド邸!
えっ、でもなんでジェラルド邸に!?
頭にはてなを浮かべながら中へ入ると、ジェラルド子爵が席に座っている。
「おはようございます、ターナー伯爵令嬢。」
「お、おはようございます、ジェラルド子爵。すみません、私昨日の記憶が無いのですが一体どうなってここにいるのでしょうか…」
おずおずと聞く私にジェラルド子爵がプッと吹き出す。
「覚えておられないのですか!?
無理もない、昨日はかなり飲んでおられた。」
声をあげて笑うジェラルド子爵に対して、恥ずかしさで耳まで熱くなっているのを感じた。
「昨晩は飲み比べをされていたのですよ。
かなり飲まれていて、足元もおぼつかずそのまま帰すのは心配になって一晩うちで泊まっていただいたのです。」
「そ、そうでしたか…、ご迷惑をおかけしてすみません。」
は、恥ずかしい!
初めてお会いした殿方にそんなはしたない所を見せてしまうだなんで…
デレクのことがあったからって気持ちが大きくなってしまった…
沸騰しそうなくらい熱くなる顔を思わず手で覆う。
「ご迷惑だなんて、とんでもない。
ところでターナー伯爵令嬢、1つお願いがあるのです。」
「なんでしょうか?」
透き通るように青い瞳が私を捉える。
「私、ルイス・ジェラルドと結婚してくださいませんか。」
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