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10話
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「とりあえず…日陰にっ!」
慌てて犬を抱き抱え、店の屋根で日陰になっているところに移動させた。
直射日光を避けて風通しのいい場所に移動させれば少しは涼しくなるだろうがこれだけ体温が高いと直接冷やすしかない。
「急がないと…」
熱中症の処置は一刻を争う。
周りをきょろきょろと見渡すと私の周りを町の人がぐるっと囲んでいた。
みんなが私を信じられないものを見るかのような目で見てくる。
「聖獣に触れた!」
「国王の命令に背くなど…」
「バチがあたるぞ!」
聖獣である犬を助けようとしてる私はこの国の人には受け入れられないようだ。
「水を!誰か、水を持ってきてください!!」
声を張り上げても誰もその場から動こうとしない。
「お願いします!バケツ一杯の水を!」
私が周りの人に叫んでいると人混みから1人の老婆が出てきた。
「この罰当たりが!!聖獣に触れるなどバチが当たるぞ!!」
「でも!この子熱中症です!助けないと死んじゃう!お願いします、水を!」
知らない老婆に怒鳴られたが、私も負けじと言い返す。
「小娘が!聖獣も生き物であり死は当然。人の手を加えることは許されん!バチが当たるのだ!」
何を言ってもこの老婆はバチが当たるから触れるなの一点張りだった。
私は耐えきれず店の奥まで走っていった。
「バンおばさん!バケツありますか?!」
「なんだい、そんなに慌てて?」
私のあまりの剣幕にバンおばさんも驚いている。
「急いでるんです。バケツいっぱいに水が欲しいんです!」
「わ、わかったよ。バケツならあそこだ。持って行きな。」
「ありがとうございます!」
バンおばさんにぺこりと頭を下げてバケツの方へ走って行く。
(早く…早くしないと…。)
水をバケツに溜めている間も外でガヤガヤと人が騒いでいる。
バンおばさんも気になって首を伸ばして外を見ている。
バケツに水が溜まるとすぐに店先に戻った。
「どいて!!」
倒れている犬に近寄っている人達を押し退けて、犬に近づいた。
後ろ足のほうから少しずつバケツに入った水をかけていく。
「何をするのじゃーっ!」
さっき私を怒鳴っていた老婆がまるでやかんのお茶が沸騰したように叫んだ。
「なんてことを…」
「バチ当たりめが…」
「不幸になるぞ!」
周りの人たちも一斉に私を責め立てる。
それでも、私は手を止めず水をかけていた。
「痛っ!!」
言うことを聞かない私の手を老婆が強い力で握る。
「やめろと言っているんじゃ!」
そう言って手を離さない。
「やめてください!この子を助けないと!」
手を振り払おうとしてもすごい力で解けない。
「罰当たりが!まだ分からんのか!国王様を無視したらどうなるかわかってるのか!」
老婆は顔を真っ赤にして怒っている。
「うるさい!!」
大きな声で叫ぶ私は、あたりは一瞬しんっと静まり返った。
慌てて犬を抱き抱え、店の屋根で日陰になっているところに移動させた。
直射日光を避けて風通しのいい場所に移動させれば少しは涼しくなるだろうがこれだけ体温が高いと直接冷やすしかない。
「急がないと…」
熱中症の処置は一刻を争う。
周りをきょろきょろと見渡すと私の周りを町の人がぐるっと囲んでいた。
みんなが私を信じられないものを見るかのような目で見てくる。
「聖獣に触れた!」
「国王の命令に背くなど…」
「バチがあたるぞ!」
聖獣である犬を助けようとしてる私はこの国の人には受け入れられないようだ。
「水を!誰か、水を持ってきてください!!」
声を張り上げても誰もその場から動こうとしない。
「お願いします!バケツ一杯の水を!」
私が周りの人に叫んでいると人混みから1人の老婆が出てきた。
「この罰当たりが!!聖獣に触れるなどバチが当たるぞ!!」
「でも!この子熱中症です!助けないと死んじゃう!お願いします、水を!」
知らない老婆に怒鳴られたが、私も負けじと言い返す。
「小娘が!聖獣も生き物であり死は当然。人の手を加えることは許されん!バチが当たるのだ!」
何を言ってもこの老婆はバチが当たるから触れるなの一点張りだった。
私は耐えきれず店の奥まで走っていった。
「バンおばさん!バケツありますか?!」
「なんだい、そんなに慌てて?」
私のあまりの剣幕にバンおばさんも驚いている。
「急いでるんです。バケツいっぱいに水が欲しいんです!」
「わ、わかったよ。バケツならあそこだ。持って行きな。」
「ありがとうございます!」
バンおばさんにぺこりと頭を下げてバケツの方へ走って行く。
(早く…早くしないと…。)
水をバケツに溜めている間も外でガヤガヤと人が騒いでいる。
バンおばさんも気になって首を伸ばして外を見ている。
バケツに水が溜まるとすぐに店先に戻った。
「どいて!!」
倒れている犬に近寄っている人達を押し退けて、犬に近づいた。
後ろ足のほうから少しずつバケツに入った水をかけていく。
「何をするのじゃーっ!」
さっき私を怒鳴っていた老婆がまるでやかんのお茶が沸騰したように叫んだ。
「なんてことを…」
「バチ当たりめが…」
「不幸になるぞ!」
周りの人たちも一斉に私を責め立てる。
それでも、私は手を止めず水をかけていた。
「痛っ!!」
言うことを聞かない私の手を老婆が強い力で握る。
「やめろと言っているんじゃ!」
そう言って手を離さない。
「やめてください!この子を助けないと!」
手を振り払おうとしてもすごい力で解けない。
「罰当たりが!まだ分からんのか!国王様を無視したらどうなるかわかってるのか!」
老婆は顔を真っ赤にして怒っている。
「うるさい!!」
大きな声で叫ぶ私は、あたりは一瞬しんっと静まり返った。
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