ついに私も異世界転生！？

7話

「聖獣って、特別な力があるって知ってる？」
今まで冷静に説明してくれていたマリアが元気のない声で聞いてきた。

聖獣の特別な力に関しては今日読んだ本の中にあった。
「聖獣が受け入れた人に聖なる力を授けてくれるってやつ？」
「そう。みんなはそれを魔法だって呼んでる。国王はそれを聖獣から力を奪う卑しい行為だと言っているのよ。ニーナが優しい子なのは知っているし、小さいころから聖獣と遊んだりしてきたのも知っているわ。でも、もう駄目なの。もしニーナが聖獣といるところを国の人に見られたらどうなるかわからないでしょ？お願いだから、心配させないで…」
眉をひそめて不安そうに言うマリアを前にして、
「うん。大丈夫だよ。」
以外の言葉を発することができなかった。

私の返事にマリアは安心したのか、ほっとして食事を始めた。私も何も言わず食事に戻った。




◇◇◇◇◇◇

「じゃあ、おやすみなさい。」

食事の片付けも終わり、お風呂も入ると外はすっかり暗くなっていた。
マリアにおやすみと挨拶して、ベッドに入る。

ほーほーとフクロウのような鳴き声が聞こえる。
今日は色々なことがありすぎて、かなり疲れた。
結局、私はこの世界で生きていくしかないんだろう。少し寂しいが既にこの世界に慣れつつあるため、あまり抵抗も無い。

（それより…国王腹立つな。）

どんな人なのか全く知らないけれど、今日のマリアの話を聞いて怒っていた。マリアの反応から見ていると国王の命令というのはかなり効力が強いようだ。元いた世界だと国民からの大バッシングが容易に想像できるが。

（はあ、仕事とかどうしたらいいんだろう…。）
不安や心配事が頭をぐるぐると回っているうちにいつの間にか意識が落ちていた。