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ヴェイル様は、サウザリンド王国の北部に位置する王領地を賜り、リンヴェルム公爵となった。そこは、一年を通して穏やかな気候に恵まれた国内一の避暑地として名高い土地だ。けれど、魔物がいる国境の森と隣接しているため、まだまだ問題も多い。ガイル陛下がこの地を下賜したのは、ヴェイル様の異能者としての能力を利用する思惑もあったのだと思う。
その中で、ヴェイル様は、お母様との約束を守り、王位継承権を放棄後、物凄い早さで公爵としての地位を確かなものにしていった。
そして、今日、この地で、私達の結婚式が行われる。
リンヴェルム公爵領の領都にある教会の控室で、ドレスに着替えた私は、お姉様に最後の仕上げをしてもらっていた。
「これでよし!綺麗よ、ステラ。フフ、やっぱり、ウェディングドレスは私達が用意して正解だったわね!」
「ありがとうございます、お姉様」
私が身に纏う純白のウェディングドレスは、スカートのボリュームを抑えたシンプルなデザイン。けれど、繊細なレースをふんだんに使用し、見えない所にまで刺繍が施されたドレスは、どこからどう見ても最高級品だった。可愛らしさの中に、大人の色気も感じられるこのドレスは、私が憧れる女性像そのもの。それをお母様とお姉様が主体になり、長い月日をかけて作り上げてくれたのだ。
本当に素敵…。
私は、沢山の愛情が詰まったこのドレスを優しく撫で下ろす。
すると、一人の神官が、式の開始を告げに来た。
神官の指示に従い、私は、お姉様の先導の下、聖堂までの道を歩く。すると、扉の前に軍服を着たお母様の凛々しい姿が見えた。
「お母様、どうかされたのですか?リードお父様は、どこに…」
「ステラ、とても綺麗だ。フフ、これはリードが更に拗ねるな。実はな、花嫁のエスコート役をリードから無理矢理奪ってきたんだ」
お母様は、私のヴェールを下ろしながら、おかしそうにそう話す。そして、そっと、私が掴まりやすいように肘を差し出した。
気の弱いお父様を心配に思いながらも、私がその腕に手を乗せると、お母様が嬉しそうに笑った。
「さあ、ステラ、ここからは自分の幸せのために歩いて行きなさい。大丈夫。お前の前に、もう不幸はない」
「はい、お母様」
少しの緊張の中、聖堂の大扉がゆっくりと開く。左右から注がれる視線の先に、愛する人を見つけ、強張っていた私の頬が緩んだ。
私は、ヴェイル様の下へ、一歩を踏み出した。
その中で、ヴェイル様は、お母様との約束を守り、王位継承権を放棄後、物凄い早さで公爵としての地位を確かなものにしていった。
そして、今日、この地で、私達の結婚式が行われる。
リンヴェルム公爵領の領都にある教会の控室で、ドレスに着替えた私は、お姉様に最後の仕上げをしてもらっていた。
「これでよし!綺麗よ、ステラ。フフ、やっぱり、ウェディングドレスは私達が用意して正解だったわね!」
「ありがとうございます、お姉様」
私が身に纏う純白のウェディングドレスは、スカートのボリュームを抑えたシンプルなデザイン。けれど、繊細なレースをふんだんに使用し、見えない所にまで刺繍が施されたドレスは、どこからどう見ても最高級品だった。可愛らしさの中に、大人の色気も感じられるこのドレスは、私が憧れる女性像そのもの。それをお母様とお姉様が主体になり、長い月日をかけて作り上げてくれたのだ。
本当に素敵…。
私は、沢山の愛情が詰まったこのドレスを優しく撫で下ろす。
すると、一人の神官が、式の開始を告げに来た。
神官の指示に従い、私は、お姉様の先導の下、聖堂までの道を歩く。すると、扉の前に軍服を着たお母様の凛々しい姿が見えた。
「お母様、どうかされたのですか?リードお父様は、どこに…」
「ステラ、とても綺麗だ。フフ、これはリードが更に拗ねるな。実はな、花嫁のエスコート役をリードから無理矢理奪ってきたんだ」
お母様は、私のヴェールを下ろしながら、おかしそうにそう話す。そして、そっと、私が掴まりやすいように肘を差し出した。
気の弱いお父様を心配に思いながらも、私がその腕に手を乗せると、お母様が嬉しそうに笑った。
「さあ、ステラ、ここからは自分の幸せのために歩いて行きなさい。大丈夫。お前の前に、もう不幸はない」
「はい、お母様」
少しの緊張の中、聖堂の大扉がゆっくりと開く。左右から注がれる視線の先に、愛する人を見つけ、強張っていた私の頬が緩んだ。
私は、ヴェイル様の下へ、一歩を踏み出した。
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