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「ここが入り口だよぉー。」
「この絵が?」
「うん!この絵の額縁に、あの子が持ってた鍵が使われてるみたい!リルメリアちゃん、触って魔力流してみてぇー!それで開くはず!早く早く!」
シロに急かされて、私は言われた通り魔力を流す。
すると、額内の空間が歪んで水面のような波紋を作った。
「さあ、リルメリアちゃん。かつての聖女が作った神の空間へ、行ってらっしゃい。大丈夫。君ならきっと...。」
私だけに聞こえたシロの声を最後に、辺り一帯が光に包まれた。
転移とは違い、平衡感覚を失う程の空間の歪みは感じられない。私の体は、ただ心地良い温もりに包まれた。まるでシロと初めて会った泉の中のよう。
その温かさが、段々と消え、光も共に収まっていく。
光に眩んだ目が、初めに捉えたのは木の床だった。
私は気持ちを引き締め、周りを見渡す。そこは、静まり返った小さな教会で、人の気配は感じられなかった。
正面にある古びた祭壇に置かれた本が目に付く。
この本だけが、なぜか真新しい。
私はそっと、その本に手を伸ばした。
「ダメだ、リル!」
急に手を掴まれた私は、反射的に振り向く。
「何で!?どうして...。」
「私も、リルと一緒に行くよ。君だけを危険な目に遭わせられない。」
私の腕を掴んだウィルは、覚悟を秘めた瞳で私を見つめている。
私はその瞳に囚われて、目を逸らすことが出来なかった。
「メリアお嬢様を離せ!」
静かな空間に大きな声が響くと、ウィルの首元から、鈍い光を放つ剣先が見えた。
「おい!何やってんだよ!少し落ち着け!ああ、リルメリア、良かった。大丈夫だったか?」
「ライノルト、何度も同じ事を言わせないで下さい。女神様の前ですよ。その剣を仕舞いなさい。」
「何これ!?何これ!?転移じゃなかったよ!うわー、何だろ?」
「ふう、どうやら私も、無事に来られたようだね。」
目の前に、淡い光を放った人型が現れ、その輪郭が徐々にハッキリしてくる。
光は順に、ライ、デル、ゲイツ、ルーイ先生、アルバス様を形作った。すると静かだった空間が、一気に騒がしくなる。
そして、その6人はすぐに、意味深な視線をぶつけ合い始めた。
なぜだかみんな仲が悪いし、空気が重い。
私はソロリと彼らの囲いを抜け出した。
あれ?シロの姿がない。あんなに行きたがっていたのに。逸れてしまったのかしら?
私が内心首を傾げていると、ピコンと、酷く懐かしい電子音が聞こえた。
音の方へ向くと、祭壇にあった本が光っている。その上には、ゲームでお馴染みのウインドウが表示されていた。
そこに現れた言葉に、私は思わず半眼になる。
私は、この場に響き渡るような大きな溜息を一つ吐いた。
「この絵が?」
「うん!この絵の額縁に、あの子が持ってた鍵が使われてるみたい!リルメリアちゃん、触って魔力流してみてぇー!それで開くはず!早く早く!」
シロに急かされて、私は言われた通り魔力を流す。
すると、額内の空間が歪んで水面のような波紋を作った。
「さあ、リルメリアちゃん。かつての聖女が作った神の空間へ、行ってらっしゃい。大丈夫。君ならきっと...。」
私だけに聞こえたシロの声を最後に、辺り一帯が光に包まれた。
転移とは違い、平衡感覚を失う程の空間の歪みは感じられない。私の体は、ただ心地良い温もりに包まれた。まるでシロと初めて会った泉の中のよう。
その温かさが、段々と消え、光も共に収まっていく。
光に眩んだ目が、初めに捉えたのは木の床だった。
私は気持ちを引き締め、周りを見渡す。そこは、静まり返った小さな教会で、人の気配は感じられなかった。
正面にある古びた祭壇に置かれた本が目に付く。
この本だけが、なぜか真新しい。
私はそっと、その本に手を伸ばした。
「ダメだ、リル!」
急に手を掴まれた私は、反射的に振り向く。
「何で!?どうして...。」
「私も、リルと一緒に行くよ。君だけを危険な目に遭わせられない。」
私の腕を掴んだウィルは、覚悟を秘めた瞳で私を見つめている。
私はその瞳に囚われて、目を逸らすことが出来なかった。
「メリアお嬢様を離せ!」
静かな空間に大きな声が響くと、ウィルの首元から、鈍い光を放つ剣先が見えた。
「おい!何やってんだよ!少し落ち着け!ああ、リルメリア、良かった。大丈夫だったか?」
「ライノルト、何度も同じ事を言わせないで下さい。女神様の前ですよ。その剣を仕舞いなさい。」
「何これ!?何これ!?転移じゃなかったよ!うわー、何だろ?」
「ふう、どうやら私も、無事に来られたようだね。」
目の前に、淡い光を放った人型が現れ、その輪郭が徐々にハッキリしてくる。
光は順に、ライ、デル、ゲイツ、ルーイ先生、アルバス様を形作った。すると静かだった空間が、一気に騒がしくなる。
そして、その6人はすぐに、意味深な視線をぶつけ合い始めた。
なぜだかみんな仲が悪いし、空気が重い。
私はソロリと彼らの囲いを抜け出した。
あれ?シロの姿がない。あんなに行きたがっていたのに。逸れてしまったのかしら?
私が内心首を傾げていると、ピコンと、酷く懐かしい電子音が聞こえた。
音の方へ向くと、祭壇にあった本が光っている。その上には、ゲームでお馴染みのウインドウが表示されていた。
そこに現れた言葉に、私は思わず半眼になる。
私は、この場に響き渡るような大きな溜息を一つ吐いた。
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