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夜も深まり人の気配がなくなった頃、リークロン港の貸し倉庫に私達はひっそりと集まっていた。
「ロンさんありがとうございます。」
アルバス様の侍従に扮していた黒翼のロンさんにお願いして、人が寄りつかないこの場所を探してもらった。
ロンさんは片手を軽く上げて、ペコリと頭を下げた。無口な人らしい。
「そろそろ始めますね。」
私は目を閉じてマーカーを探す。
マージェリー先生に触れた時に付けた転移マーカー。
これに転移魔法を発動させる。
床の魔法陣に光が集まり、私達の目の前に眠っている女性が現れた。
「こんばんは、マージェリー先生。」
「ん、うん、え?」
いきなり目の前を灯りで照らされ、目を擦っていたマージェリー先生がびっくりして体を起こした。
「何⁈誰?」
「こんな時間に呼び出してごめんなさいね!」
私はさっとマージェリー先生の体を確認する。
うん、大成功。
転移ポータルと真逆の転移マーカー。
転移ポータルはそこに向かって人や物を移動させる。それに対して、転移マーカーはそれを付けた人や物をこちらに呼び寄せる。
私が状況を理解できていないマージェリー先生の肩に毛布を掛けると、ロンさんがすぐに彼女を拘束した。
「きゃあ!やだ、何するの!あ、あなたは!」
「先生に聞きたい事があってお呼びしたの。」
「わ、私にこんな事して!大変な事になりますよ!」
無表情のリヴァン先生が小さな瓶を私に渡す。
私がマージェリー先生に近付くとロンさんが私から瓶を受け取ろうとした。
ロンさんの気遣いは嬉しい。汚れ仕事を代わってくれようとしたのだろう。でもこれは言い出した私がやらないと。
私はロンさんに向かって首を振り、静かに瓶の蓋を開ける。水魔法を使って空中に取り出した薬をマージェリー先生の口の中にゆっくりと流し込んだ。
「貴女は誰?」
私は床に座り込んでいるマージェリー先生の前に膝をついた。
「ふふ、私はマーデアン・リークロン。リークロン伯爵家の私生児なの。」
マーデアンと名乗った女性は酒に酔ったように頬を赤くしている。
「そうなの。じゃあマーデアン、あの学校で何をしているの?」
「私はねー、お兄様の言い付けを守って、子供達に薬を飲ませているの。凄い魔法の薬なのよ!」
「魔法の薬?」
「あれを飲むとね、綺麗な宝石になれるのよ!赤い宝石になった子が1番綺麗だったわね!」
「おい!まさか!」
アルバス様が声を荒げた。
「王子様!貴方本当に素敵!私、もう少しで伯爵家のお姫様になるのよ!私も王子様と結婚できるの!あっ、でもこっちの黒髪の人もいいわー。」
「ねえ、その宝石になった子はどうしたの?」
私はなるべく感情を抑えて話しかける。
「あれはね、使うのよ。聖火みたいに魔物を祓う力があるんですって。だからお父様が、森を切り開いて領地を広げるのに使うの。」
ケラケラと笑う彼女に怒りが湧いて、喉の奥が熱い。声が出ない。
ぼうっとしていた私は気が付くとアルバス様に抱えられ、奥の椅子に座っていた。
「後は任せて。」
アルバス様は私の頭を一撫ですると、私がいた場所へ戻っていった。
「ロンさんありがとうございます。」
アルバス様の侍従に扮していた黒翼のロンさんにお願いして、人が寄りつかないこの場所を探してもらった。
ロンさんは片手を軽く上げて、ペコリと頭を下げた。無口な人らしい。
「そろそろ始めますね。」
私は目を閉じてマーカーを探す。
マージェリー先生に触れた時に付けた転移マーカー。
これに転移魔法を発動させる。
床の魔法陣に光が集まり、私達の目の前に眠っている女性が現れた。
「こんばんは、マージェリー先生。」
「ん、うん、え?」
いきなり目の前を灯りで照らされ、目を擦っていたマージェリー先生がびっくりして体を起こした。
「何⁈誰?」
「こんな時間に呼び出してごめんなさいね!」
私はさっとマージェリー先生の体を確認する。
うん、大成功。
転移ポータルと真逆の転移マーカー。
転移ポータルはそこに向かって人や物を移動させる。それに対して、転移マーカーはそれを付けた人や物をこちらに呼び寄せる。
私が状況を理解できていないマージェリー先生の肩に毛布を掛けると、ロンさんがすぐに彼女を拘束した。
「きゃあ!やだ、何するの!あ、あなたは!」
「先生に聞きたい事があってお呼びしたの。」
「わ、私にこんな事して!大変な事になりますよ!」
無表情のリヴァン先生が小さな瓶を私に渡す。
私がマージェリー先生に近付くとロンさんが私から瓶を受け取ろうとした。
ロンさんの気遣いは嬉しい。汚れ仕事を代わってくれようとしたのだろう。でもこれは言い出した私がやらないと。
私はロンさんに向かって首を振り、静かに瓶の蓋を開ける。水魔法を使って空中に取り出した薬をマージェリー先生の口の中にゆっくりと流し込んだ。
「貴女は誰?」
私は床に座り込んでいるマージェリー先生の前に膝をついた。
「ふふ、私はマーデアン・リークロン。リークロン伯爵家の私生児なの。」
マーデアンと名乗った女性は酒に酔ったように頬を赤くしている。
「そうなの。じゃあマーデアン、あの学校で何をしているの?」
「私はねー、お兄様の言い付けを守って、子供達に薬を飲ませているの。凄い魔法の薬なのよ!」
「魔法の薬?」
「あれを飲むとね、綺麗な宝石になれるのよ!赤い宝石になった子が1番綺麗だったわね!」
「おい!まさか!」
アルバス様が声を荒げた。
「王子様!貴方本当に素敵!私、もう少しで伯爵家のお姫様になるのよ!私も王子様と結婚できるの!あっ、でもこっちの黒髪の人もいいわー。」
「ねえ、その宝石になった子はどうしたの?」
私はなるべく感情を抑えて話しかける。
「あれはね、使うのよ。聖火みたいに魔物を祓う力があるんですって。だからお父様が、森を切り開いて領地を広げるのに使うの。」
ケラケラと笑う彼女に怒りが湧いて、喉の奥が熱い。声が出ない。
ぼうっとしていた私は気が付くとアルバス様に抱えられ、奥の椅子に座っていた。
「後は任せて。」
アルバス様は私の頭を一撫ですると、私がいた場所へ戻っていった。
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