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「デル、今のはどうだった?」
「前のよりは良くなってるけど、回復速度はまだ遅いな。薬草を買えてみるか?」
「うーん。でも薬草同士の相性もあるんだよね?これ以上の組み合わせってあるのかな?」
私とデルは実験室に籠って回復薬の研究に没頭していた。
リーン先生がリングドン子爵に話を通してくれたおかげで、この期間のデルの仕事は免除になった。
「あー。ストックしてた薬草がなくなってきたな。ちょっと取りに行ってくる。」
「あっ本当だね。私も手伝うよ?」
「いや、俺だけで大丈夫だ。ちょっと待っててくれ。」
「ありがとう。よろしくね。」
デルの魔法のセンスは予想以上だった。薬の効能を上げるために、精製過程で水と光の融合魔法を使った。デルは自身が特化してる属性とは言え、感覚を掴むとすぐに出来るようになった。元々無意識的に水魔法に光属性の魔力を混ぜて薬草の手入れをしていたのだろう。
そして今は、回復効果が出る時間を短縮するため、高濃度の魔力を注ぎ込むことに挑戦している。しかしまだ満足のいく結果は出ていない。
トントン
「リル、今大丈夫?入ってもいい?」
ノック音が響いた後、ウィルがドアの隙間から顔を出した。
「うん。ウィル、お仕事は?今は休憩中?」
最近私は忙しさを言い訳にしてウィルとゆっくり話をしていなかった。
息抜きにウィルを休憩に誘おうと私はドアの方へと歩き出す。しかし、ドアの隙間から見えた光景に私の足が止まった。
ウィルの横には彼の腕を掴んだリリーさんがいた。
「ウィルフレイ様、リルメリア様の邪魔になってしまいますよ。」
「ごめんね、忙しかったかな?」
「えっと、今はちょっと忙しいかな。」
私はウィルの側にいるリリーさんをこれ以上見ていたくなくて、咄嗟に嘘をついてしまった。
こんな気持ちになる自分がよく分からない。
「そっか。あんまり無理しないでね。晩餐は一緒に取ろう。」
「ウィルフレイ様、戻って休憩しましょう。私お茶を入れますね。」
リリーさんはウィルを引っ張るようにしてドアを閉めてしまった。
最近私の中に生まれたモヤモヤした感情の所為でウィルと上手く向き合えない。
ウィルも子爵に頼まれた薬の製作で忙しいようだ。
私の中の感情が苛立っているのが分かる。でも上手くコントロールが出来ない。
「はあ。」
私はため息を吐いて、実験室を出た。
このままここにいても何も出来ない。
私は薬草を取りに行ったデルを追いかけることにした。
室内から外に出ると森の近くだからか少しだけひんやりとした空気を感じた。
少し辺りを見回してみてもデルは見当たらなかった。
私は何となしに薬草園の小道を歩き出した。
「こっちだよ。」
微かに声が出て聞こえた。
「こっち、こっち」
「いいもの見せてあげる。」
「だからおいで。」
「おいで、おいで。」
声の先、行ってはいけないと分かっていても、私は抗うことが出来なかった。
「前のよりは良くなってるけど、回復速度はまだ遅いな。薬草を買えてみるか?」
「うーん。でも薬草同士の相性もあるんだよね?これ以上の組み合わせってあるのかな?」
私とデルは実験室に籠って回復薬の研究に没頭していた。
リーン先生がリングドン子爵に話を通してくれたおかげで、この期間のデルの仕事は免除になった。
「あー。ストックしてた薬草がなくなってきたな。ちょっと取りに行ってくる。」
「あっ本当だね。私も手伝うよ?」
「いや、俺だけで大丈夫だ。ちょっと待っててくれ。」
「ありがとう。よろしくね。」
デルの魔法のセンスは予想以上だった。薬の効能を上げるために、精製過程で水と光の融合魔法を使った。デルは自身が特化してる属性とは言え、感覚を掴むとすぐに出来るようになった。元々無意識的に水魔法に光属性の魔力を混ぜて薬草の手入れをしていたのだろう。
そして今は、回復効果が出る時間を短縮するため、高濃度の魔力を注ぎ込むことに挑戦している。しかしまだ満足のいく結果は出ていない。
トントン
「リル、今大丈夫?入ってもいい?」
ノック音が響いた後、ウィルがドアの隙間から顔を出した。
「うん。ウィル、お仕事は?今は休憩中?」
最近私は忙しさを言い訳にしてウィルとゆっくり話をしていなかった。
息抜きにウィルを休憩に誘おうと私はドアの方へと歩き出す。しかし、ドアの隙間から見えた光景に私の足が止まった。
ウィルの横には彼の腕を掴んだリリーさんがいた。
「ウィルフレイ様、リルメリア様の邪魔になってしまいますよ。」
「ごめんね、忙しかったかな?」
「えっと、今はちょっと忙しいかな。」
私はウィルの側にいるリリーさんをこれ以上見ていたくなくて、咄嗟に嘘をついてしまった。
こんな気持ちになる自分がよく分からない。
「そっか。あんまり無理しないでね。晩餐は一緒に取ろう。」
「ウィルフレイ様、戻って休憩しましょう。私お茶を入れますね。」
リリーさんはウィルを引っ張るようにしてドアを閉めてしまった。
最近私の中に生まれたモヤモヤした感情の所為でウィルと上手く向き合えない。
ウィルも子爵に頼まれた薬の製作で忙しいようだ。
私の中の感情が苛立っているのが分かる。でも上手くコントロールが出来ない。
「はあ。」
私はため息を吐いて、実験室を出た。
このままここにいても何も出来ない。
私は薬草を取りに行ったデルを追いかけることにした。
室内から外に出ると森の近くだからか少しだけひんやりとした空気を感じた。
少し辺りを見回してみてもデルは見当たらなかった。
私は何となしに薬草園の小道を歩き出した。
「こっちだよ。」
微かに声が出て聞こえた。
「こっち、こっち」
「いいもの見せてあげる。」
「だからおいで。」
「おいで、おいで。」
声の先、行ってはいけないと分かっていても、私は抗うことが出来なかった。
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