28 / 308
2-17
しおりを挟む
「リル。近々レブロン公爵家に行くからね。準備しておいて。」
お父様に呼ばれ、今回の結界魔法魔道具化の件を説明された。
私とティーナで始めた魔道具開発は、もう私達の手に負える状況ではなくなってしまった。
結局はアルト家の開発をレブロン家が後押しするという型で話が進むことになった。
お父様とレブロン公爵には多大な迷惑をかけてしまった。
そして今回最大の問題がこの開発者だ。
今まで私が主導で生み出してきた魔法の魔道具化は、アルト家の商会が私という存在を隠しながら発表してきた。
しかし今回は、それが出来る規模ではなくなってしまった。
販売が始まれば、遠征部隊を通して王室との取引が始まる。そうなれば、隠しておくことは不可能だ。
お父様はいち早くレブロン公爵と交渉を始めた。私を守るために。
私は今回のレブロン家との話し合いで自分の立ち位置をはっきりさせなければならなくなった。
「お父様、ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。」
「リル。リルのした事はすごい事なんだよ。決して迷惑なんかじゃない。うちのお姫様はやっぱり天才だったね。」
私の隣に座り直したお父様は、すこし強く抱きしめてくれた。
「味方は沢山いるから大丈夫。あんまり心配しないで。」
「はい。ありがとうございます、お父様。」
私は泣き顔を隠すように、お父様にしがみついた。
「いらっしゃい、ウィル。わっ!綺麗なお花!ありがとう。」
ウィルは午前の授業を終えた後、約束通り我が家へと来てくれた。
私はレブロン家を訪問する日まで学院をお休みしている。
ティーナもまだ学院には来ていないそうだ。
「ルーイ先生はもう来た?」
「まだ来てないよ。」
「じゃあリルにアルト家のお邸を案内してもらおうかな。」
「ふふ。もちろん、私がエスコートするね」
先ずは、我が家自慢の庭を案内することにした。
「リルが元気そうで良かった。」
2人でベンチに座り、花を眺めていると、ウィルは私の手を握りながら心配そうに様子を伺ってきた。
「うん。大丈夫。ウィルも私の味方でいてくれるでしょ。」
「当たり前だよ。ずっと側にいる。」
「うん。約束ね。」
私たちは誓い合うようにお互いの手を握りしめた。
「お嬢様。王宮から魔法士様がいらっしゃいました。」
ラナが私たちを呼びにきてくれた。
「じゃあ行こうか。今度は僕がエスコートする番ね。」
「はい。よろしくお願いします。」
私は優しいウィルの手を取った。
お父様に呼ばれ、今回の結界魔法魔道具化の件を説明された。
私とティーナで始めた魔道具開発は、もう私達の手に負える状況ではなくなってしまった。
結局はアルト家の開発をレブロン家が後押しするという型で話が進むことになった。
お父様とレブロン公爵には多大な迷惑をかけてしまった。
そして今回最大の問題がこの開発者だ。
今まで私が主導で生み出してきた魔法の魔道具化は、アルト家の商会が私という存在を隠しながら発表してきた。
しかし今回は、それが出来る規模ではなくなってしまった。
販売が始まれば、遠征部隊を通して王室との取引が始まる。そうなれば、隠しておくことは不可能だ。
お父様はいち早くレブロン公爵と交渉を始めた。私を守るために。
私は今回のレブロン家との話し合いで自分の立ち位置をはっきりさせなければならなくなった。
「お父様、ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。」
「リル。リルのした事はすごい事なんだよ。決して迷惑なんかじゃない。うちのお姫様はやっぱり天才だったね。」
私の隣に座り直したお父様は、すこし強く抱きしめてくれた。
「味方は沢山いるから大丈夫。あんまり心配しないで。」
「はい。ありがとうございます、お父様。」
私は泣き顔を隠すように、お父様にしがみついた。
「いらっしゃい、ウィル。わっ!綺麗なお花!ありがとう。」
ウィルは午前の授業を終えた後、約束通り我が家へと来てくれた。
私はレブロン家を訪問する日まで学院をお休みしている。
ティーナもまだ学院には来ていないそうだ。
「ルーイ先生はもう来た?」
「まだ来てないよ。」
「じゃあリルにアルト家のお邸を案内してもらおうかな。」
「ふふ。もちろん、私がエスコートするね」
先ずは、我が家自慢の庭を案内することにした。
「リルが元気そうで良かった。」
2人でベンチに座り、花を眺めていると、ウィルは私の手を握りながら心配そうに様子を伺ってきた。
「うん。大丈夫。ウィルも私の味方でいてくれるでしょ。」
「当たり前だよ。ずっと側にいる。」
「うん。約束ね。」
私たちは誓い合うようにお互いの手を握りしめた。
「お嬢様。王宮から魔法士様がいらっしゃいました。」
ラナが私たちを呼びにきてくれた。
「じゃあ行こうか。今度は僕がエスコートする番ね。」
「はい。よろしくお願いします。」
私は優しいウィルの手を取った。
13
お気に入りに追加
430
あなたにおすすめの小説
あなたに愛や恋は求めません
灰銀猫
恋愛
婚約者と姉が自分に隠れて逢瀬を繰り返していると気付いたイルーゼ。
婚約者を諫めるも聞く耳を持たず、父に訴えても聞き流されるばかり。
このままでは不実な婚約者と結婚させられ、最悪姉に操を捧げると言い出しかねない。
婚約者を見限った彼女は、二人の逢瀬を両親に突きつける。
貴族なら愛や恋よりも義務を優先すべきと考える主人公が、自分の場所を求めて奮闘する話です。
R15は保険、タグは追加する可能性があります。
ふんわり設定のご都合主義の話なので、広いお心でお読みください。
24.3.1 女性向けHOTランキングで1位になりました。ありがとうございます。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
距離を置きましょう? やったー喜んで! 物理的にですけど、良いですよね?
hazuki.mikado
恋愛
婚約者が私と距離を置きたいらしい。
待ってましたッ! 喜んで!
なんなら物理的な距離でも良いですよ?
乗り気じゃない婚約をヒロインに押し付けて逃げる気満々の公爵令嬢は悪役令嬢でしかも転生者。
あれ? どうしてこうなった?
頑張って断罪劇から逃げたつもりだったけど、先に待ち構えていた隣りの家のお兄さんにあっさり捕まってでろでろに溺愛されちゃう中身アラサー女子のお話し。
×××
取扱説明事項〜▲▲▲
作者は誤字脱字変換ミスと投稿ミスを繰り返すという老眼鏡とハズキルーペが手放せない(老)人です(~ ̄³ ̄)~マジでミスをやらかしますが生暖かく見守って頂けると有り難いです(_ _)お気に入り登録や感想、動く栞、以前は無かった♡機能。そして有り難いことに動画の視聴。ついでに誤字脱字報告という皆様の愛(老人介護)がモチベアップの燃料です(人*´∀`)。*゜+
皆様の愛を真摯に受け止めております(_ _)←多分。
9/18 HOT女性1位獲得シマシタ。応援ありがとうございますッヽ(*゚ー゚*)ノ
義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!
ユウ
恋愛
10歳の頃から伯爵家の嫁になるべく厳しい花嫁修業を受け。
貴族院を卒業して伯爵夫人になるべく努力をしていたアリアだったが事あるごと実娘と比べられて来た。
実の娘に勝る者はないと、嫌味を言われ。
嫁でありながら使用人のような扱いに苦しみながらも嫁として口答えをすることなく耐えて来たが限界を感じていた最中、義妹が出戻って来た。
そして告げられたのは。
「娘が帰って来るからでていってくれないかしら」
理不尽な言葉を告げられ精神的なショックを受けながらも泣く泣く家を出ることになった。
…はずだったが。
「やった!自由だ!」
夫や舅は申し訳ない顔をしていたけど、正直我儘放題の姑に我儘で自分を見下してくる義妹と縁を切りたかったので同居解消を喜んでいた。
これで解放されると心の中で両手を上げて喜んだのだが…
これまで尽くして来た嫁を放り出した姑を世間は良しとせず。
生活費の負担をしていたのは息子夫婦で使用人を雇う事もできず生活が困窮するのだった。
縁を切ったはずが…
「生活費を負担してちょうだい」
「可愛い妹の為でしょ?」
手のひらを返すのだった。
【完結】あなたを忘れたい
やまぐちこはる
恋愛
子爵令嬢ナミリアは愛し合う婚約者ディルーストと結婚する日を待ち侘びていた。
そんな時、不幸が訪れる。
■□■
【毎日更新】毎日8時と18時更新です。
【完結保証】最終話まで書き終えています。
最後までお付き合い頂けたらうれしいです(_ _)
二人の公爵令嬢 どうやら愛されるのはひとりだけのようです
矢野りと
恋愛
ある日、マーコック公爵家の屋敷から一歳になったばかりの娘の姿が忽然と消えた。
それから十六年後、リディアは自分が公爵令嬢だと知る。
本当の家族と感動の再会を果たし、温かく迎え入れられたリディア。
しかし、公爵家には自分と同じ年齢、同じ髪の色、同じ瞳の子がすでにいた。その子はリディアの身代わりとして縁戚から引き取られた養女だった。
『シャロンと申します、お姉様』
彼女が口にしたのは、両親が生まれたばかりのリディアに贈ったはずの名だった。
家族の愛情も本当の名前も婚約者も、すでにその子のものだと気づくのに時間は掛からなかった。
自分の居場所を見つけられず、葛藤するリディア。
『……今更見つかるなんて……』
ある晩、母である公爵夫人の本音を聞いてしまい、リディアは家族と距離を置こうと決意する。
これ以上、傷つくのは嫌だから……。
けれども、公爵家を出たリディアを家族はそっとしておいてはくれず……。
――どうして誘拐されたのか、誰にひとりだけ愛されるのか。それぞれの事情が絡み合っていく。
◇家族との関係に悩みながらも、自分らしく生きようと奮闘するリディア。そんな彼女が自分の居場所を見つけるお話です。
※この作品の設定は架空のものです。
※作品の内容が合わない時は、そっと閉じていただければ幸いです。
※執筆中は余裕がないため、感想への返信はお礼のみになっております。……本当に申し訳ございませんm(_ _;)m
チート過ぎるご令嬢、国外追放される
舘野寧依
恋愛
わたしはルーシエ・ローゼス公爵令嬢。
舞踏会の場で、男爵令嬢を虐めた罪とかで王太子様に婚約破棄、国外追放を命じられました。
国外追放されても別に困りませんし、この方と今後関わらなくてもいいのは嬉しい限りです! 喜んで国外追放されましょう。
……ですが、わたしの周りの方達はそうは取らなかったようで……。どうか皆様穏便にお願い致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる