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「リル。近々レブロン公爵家に行くからね。準備しておいて。」
 お父様に呼ばれ、今回の結界魔法魔道具化の件を説明された。
私とティーナで始めた魔道具開発は、もう私達の手に負える状況ではなくなってしまった。
結局はアルト家の開発をレブロン家が後押しするという型で話が進むことになった。
お父様とレブロン公爵には多大な迷惑をかけてしまった。

 そして今回最大の問題がこの開発者だ。
今まで私が主導で生み出してきた魔法の魔道具化は、アルト家の商会が私という存在を隠しながら発表してきた。
しかし今回は、それが出来る規模ではなくなってしまった。
販売が始まれば、遠征部隊を通して王室との取引が始まる。そうなれば、隠しておくことは不可能だ。
お父様はいち早くレブロン公爵と交渉を始めた。私を守るために。
私は今回のレブロン家との話し合いで自分の立ち位置をはっきりさせなければならなくなった。

「お父様、ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。」

「リル。リルのした事はすごい事なんだよ。決して迷惑なんかじゃない。うちのお姫様はやっぱり天才だったね。」
私の隣に座り直したお父様は、すこし強く抱きしめてくれた。

「味方は沢山いるから大丈夫。あんまり心配しないで。」

「はい。ありがとうございます、お父様。」
私は泣き顔を隠すように、お父様にしがみついた。





「いらっしゃい、ウィル。わっ!綺麗なお花!ありがとう。」
ウィルは午前の授業を終えた後、約束通り我が家へと来てくれた。
私はレブロン家を訪問する日まで学院をお休みしている。
ティーナもまだ学院には来ていないそうだ。


「ルーイ先生はもう来た?」

「まだ来てないよ。」

「じゃあリルにアルト家のお邸を案内してもらおうかな。」

「ふふ。もちろん、私がエスコートするね」
先ずは、我が家自慢の庭を案内することにした。


「リルが元気そうで良かった。」
2人でベンチに座り、花を眺めていると、ウィルは私の手を握りながら心配そうに様子を伺ってきた。

「うん。大丈夫。ウィルも私の味方でいてくれるでしょ。」

「当たり前だよ。ずっと側にいる。」

「うん。約束ね。」
私たちは誓い合うようにお互いの手を握りしめた。


「お嬢様。王宮から魔法士様がいらっしゃいました。」
ラナが私たちを呼びにきてくれた。

「じゃあ行こうか。今度は僕がエスコートする番ね。」

「はい。よろしくお願いします。」
私は優しいウィルの手を取った。



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