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五章「キノコもの申す」
24. 放送業界と通信業界の戦い
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ナラオちゃんは家にかえった。お兄ちゃんはアタシが追いだした。
そして取材もそこそこにして本日は終了。明日また落花傘先生の家で続きをすることになった。
それでアタシもお風呂に入って部屋でのんびりしてたら、またきた。
「キノコにちょっと聞きたいことがあるんだよ」
「なによ」
「落花傘先生、オレのこと何か言ってなかったか?」
「なにも」
「そうかぁ」
お兄ちゃん、たぶん取材してもらうことを期待してるのね。ちょっとからかってやろうかしら。
「もしかしてお兄ちゃんも連載小説のモデルになりたいとか?」
「別に」
「そうよね。無職だもんね」
「あのなあキノコ。小説のモデルになるのに、職の有無なんてあんま関係ないんじゃないのか? ニートを題材にしたって構わないんだし」
まあそれもそうね。だけどね、お兄ちゃんだとね。
「でもお兄ちゃんがでたらコメディになっちゃうよ」
「いや、オレはシリアスだってちゃんとこなせるぞ」
「そうかしら。きっとシリアスが吹きだすわよ」
「お前バカじゃないのか。シリアスは人の名前なんかじゃないんだぞ。吹き出す訳ないだろ」
「そんなことわかってるわよ!」
もー冗談一つまともに返してくれないんだから。わかってるくせに。ホントにくらしいわあ。
◇ ◇ ◇
昨日に引き続き、落花傘家の客間で取材中。
「――つまり放送業界と通信業界の融合は避けられません」
「そうか」
「てゆうより既に融合してます。もうそんなのは何年も前から主張され続けてきたんですもの」
「ふむ」
「だから今さらって感じなんです。寝ぼけてんなってことです!」
「ふむ」
「ですからアタシがはっきり主張したいのは――」
てあれ先生寝てる?
「ふにゃ」
「先生、起きてくださいよ。なに寝ちゃってんですかっ! 落花傘先生!」
「は! おお、松茸御飯?」
だーかーらぁ、寝ぼけてんなっつーの!
「先生、しっかりしてください」
「ふむ。平気だ。放送業界と通信業界との萌える様な熱き戦いについてだな」
「え?」
「それにはやはり双方が萌えきゃらを出すべきだ。萌えーで燃えーなのだ」
「へ?」
「放送業界代表の萌えきゃらは、てれっ娘」
「あのう」
「対する通信業界からは、こみゅっ娘」
「先生?」
「二人とも十一歳の元気一杯電波っ娘。てれっ娘は白い半袖の体操着と赤いぶるーまー。こみゅっ娘は薄桃色の特製学校水着を着用しておる」
「はあ?」
「てれっ娘は跳び箱の上で尻餅をついて『また失敗しちゃった。てへへ』と云い、こみゅっ娘は浮き板を使った蛙泳ぎの練習で『やあん痛~いぃ。足がつっちゃったよぉ~』と云うのだ。萌えるではないか~。そう思わぬか? おやキノコちゃんは何処へ行ったのだ。もしかして小用かな? あいやいや女性の行き先を詮索してはいかん。ふぉふぉふぉ」
あーもーダメだぁ。完全ロリコン変態ジジイ作家だわ。
アタシはイヤになったから、お春おばあさんに挨拶だけしてかえることにした。
「おおおお、キノコちゃん。ここにおったのか。小用の方はもう済んだのか?」
「違います」
「ふむ。大?」
「だから違うっつーの!」
「おおそうかそうか、月経帯を取り替えておったのだな。あの褌の様な奴を」
「そんなの使ってません! もうそれ以上いったらホントにひっぱたくわよっ!」
やっぱダメだわ。セクハラ変態エロジジイ作家だわ。
「承知承知。もう云わぬ。まあそれは兎も角としてキノコちゃんにこれを渡そうと思うてな。少ないが取材の謝礼だ」
「あ、そうだった。ギャラでるんでしたね。遠慮なくいただいときます。それとアタシもうかえりますから」
「ふむ。車に気を付ける様にな」
「はあい」
やれやれ。でもこの祝儀袋大きいわね。どんだけ入ってんのかしら?
まさかこれで二百円とかってことないわよね?
そんなだったら、絶対にひっぱたいてやるんだから。
そして取材もそこそこにして本日は終了。明日また落花傘先生の家で続きをすることになった。
それでアタシもお風呂に入って部屋でのんびりしてたら、またきた。
「キノコにちょっと聞きたいことがあるんだよ」
「なによ」
「落花傘先生、オレのこと何か言ってなかったか?」
「なにも」
「そうかぁ」
お兄ちゃん、たぶん取材してもらうことを期待してるのね。ちょっとからかってやろうかしら。
「もしかしてお兄ちゃんも連載小説のモデルになりたいとか?」
「別に」
「そうよね。無職だもんね」
「あのなあキノコ。小説のモデルになるのに、職の有無なんてあんま関係ないんじゃないのか? ニートを題材にしたって構わないんだし」
まあそれもそうね。だけどね、お兄ちゃんだとね。
「でもお兄ちゃんがでたらコメディになっちゃうよ」
「いや、オレはシリアスだってちゃんとこなせるぞ」
「そうかしら。きっとシリアスが吹きだすわよ」
「お前バカじゃないのか。シリアスは人の名前なんかじゃないんだぞ。吹き出す訳ないだろ」
「そんなことわかってるわよ!」
もー冗談一つまともに返してくれないんだから。わかってるくせに。ホントにくらしいわあ。
◇ ◇ ◇
昨日に引き続き、落花傘家の客間で取材中。
「――つまり放送業界と通信業界の融合は避けられません」
「そうか」
「てゆうより既に融合してます。もうそんなのは何年も前から主張され続けてきたんですもの」
「ふむ」
「だから今さらって感じなんです。寝ぼけてんなってことです!」
「ふむ」
「ですからアタシがはっきり主張したいのは――」
てあれ先生寝てる?
「ふにゃ」
「先生、起きてくださいよ。なに寝ちゃってんですかっ! 落花傘先生!」
「は! おお、松茸御飯?」
だーかーらぁ、寝ぼけてんなっつーの!
「先生、しっかりしてください」
「ふむ。平気だ。放送業界と通信業界との萌える様な熱き戦いについてだな」
「え?」
「それにはやはり双方が萌えきゃらを出すべきだ。萌えーで燃えーなのだ」
「へ?」
「放送業界代表の萌えきゃらは、てれっ娘」
「あのう」
「対する通信業界からは、こみゅっ娘」
「先生?」
「二人とも十一歳の元気一杯電波っ娘。てれっ娘は白い半袖の体操着と赤いぶるーまー。こみゅっ娘は薄桃色の特製学校水着を着用しておる」
「はあ?」
「てれっ娘は跳び箱の上で尻餅をついて『また失敗しちゃった。てへへ』と云い、こみゅっ娘は浮き板を使った蛙泳ぎの練習で『やあん痛~いぃ。足がつっちゃったよぉ~』と云うのだ。萌えるではないか~。そう思わぬか? おやキノコちゃんは何処へ行ったのだ。もしかして小用かな? あいやいや女性の行き先を詮索してはいかん。ふぉふぉふぉ」
あーもーダメだぁ。完全ロリコン変態ジジイ作家だわ。
アタシはイヤになったから、お春おばあさんに挨拶だけしてかえることにした。
「おおおお、キノコちゃん。ここにおったのか。小用の方はもう済んだのか?」
「違います」
「ふむ。大?」
「だから違うっつーの!」
「おおそうかそうか、月経帯を取り替えておったのだな。あの褌の様な奴を」
「そんなの使ってません! もうそれ以上いったらホントにひっぱたくわよっ!」
やっぱダメだわ。セクハラ変態エロジジイ作家だわ。
「承知承知。もう云わぬ。まあそれは兎も角としてキノコちゃんにこれを渡そうと思うてな。少ないが取材の謝礼だ」
「あ、そうだった。ギャラでるんでしたね。遠慮なくいただいときます。それとアタシもうかえりますから」
「ふむ。車に気を付ける様にな」
「はあい」
やれやれ。でもこの祝儀袋大きいわね。どんだけ入ってんのかしら?
まさかこれで二百円とかってことないわよね?
そんなだったら、絶対にひっぱたいてやるんだから。
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