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第4章. ワリメ大論戦
042. 四里之香織の新党
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四里之香織がエッチな手記を投稿することでジャパンを騒がせ始めることになった日から数えて3週間がすぎた7月23日、関東・甲信越地方で去年より4日早い梅雨明けを迎えた。
たった4日くらい早いだの遅いだのどうだってよいではないかと考えなしに思う輩は多いかもしれないが、決してそんなことはない。去年の7月は、愚図愚図と梅雨明けしないままに月末近くまでずっと雨降りの日が続いたためにジャパン本島の各地で海水浴場やプールなどが7月中はまるっきり商売にならなかった。こんな事態がどれほどジャパン経済に悪い影響を及ぼすかを真剣に考えれば、梅雨明けがどれだけ重大なフラグ要素だと云うことが自ずと判るに違いない。
そう云うことで今日は24節気の1つ〈大暑〉に該当しているが、その漢字と気象庁が発表していた3か月予報での「今年の夏は絶対の絶対に猛暑となります」と云う言葉通りに朝っぱらからジリジリと超絶的に暑苦しくなり、しかも羽化した蝉がジーンジーンと滅茶苦茶に煩い。これが〈真・ジャパンの夏〉なのだ。
それはともかくとして、先の衆議院本会議で行われた首班指名で空前絶後の造反劇を演じたことによりジャパニーズ主権党を除名されて無所属となっていた四里之香織を始めとする8名の議員たちが華々しく、新しい政党〈新自由オナニー党〉の旗揚げを果たした。
この新政党立ち上げと云うイベントは、ジャパンの政界地図に思わぬ有機化学的反応を巻き起こす。なにがどう有機化学的なのかと云うと、高校とかで化学を履修したが有機化学の単元に関しては内容が難解すぎて理解できず少しも頭に入らないくらい複雑だったのと同じくらいに複雑で難解と云う意味だ。
具体的にどんな反応をしてどんな有機化合物を生成したのかと云うと、まず国会議員のうち自共党から26人、主権党から35人、その他の党から18人、合計で79人が所属していた党を離れてオナニー党に加わった。地方議会の議員を含めると総勢で1千人を超える議員を擁する政党になった。しかも帝京都議会では定員130人中50人がオナニー党議員で最大勢力になった。紛れなく驚異的な数字ではあるものの、これだけだと世間一般の反応は「オナニーやるやんけえ!」くらいで終わるだろう。
だがしかし、そんなに単純でなかった点で有機化学的反応だった。旗揚げ時点の8人のうち四里之を除く7人がすぐに離党して自共党に遁走したのだ。どうにも意味不明な行動である。
これに関して有機化学にも詳しい政治評論家の中出育代は「四里之香織議員の父親は優良大企業〈四里之ホールディングス〉の会長をしていて、お金は掃いて捨てるほど持っていますからねえ。ジャパニーズ主権党を離党して自由共生党入りすることを目論んでいた7人に現生を握らせて造反劇と云うか、あのような茶番劇を演じさせたに違いありません。つまり有機化学的反応にたとえるなら、彼ら7人は触媒として機能したと云うことになります」とドヤ顔を晒しながらダミ声で話した。
ちなみに第2次・筋好内閣の官房長官をやっている指手烏賊須は中出育代の父親なのだが、彼は「バカなことを云っちゃいかんよ。うちにきた連中の中に金で動くようなゲス野郎は1人もいない。彼らは新自由だかオナニーだか知らんが、そんな泥船では先が危ういのだと鼻が利いたからこそ、早めに見切りをつけて盤石な我が自由共生党を選んだにすぎん。わっはっは!」と云って娘の意見を1笑にふした。
絵露井家の居間では男女5人が極上・鰻重を食べつつ、例によっては大画面256型テレビスクリーンを眺めて、こうだああだと云い合っている。
先日までジャパニーズ主権党推しの態度を貫いていた栗花は、四里之香織による衆議院での造反劇と自慰の手記のせいで、金珠華瑠奈が嫌いになった。そして〈新自由オナニー党〉と云う栗花にとって魅力的な響きを持つ政党を支持する意向を示している。
「オナニー党はやってくれるわ」
「なにを?」
吾郎からの質問に栗花は偉そうに鼻を鳴らす。
「あんた自分で頭がいいとか思ってるかもしんないけど、フタを開けてみたら、減塩味噌よりも味が薄くて臭い糞味噌が詰まってたのね。あっはは、笑える!」
「はあ?」
「だってオナニー党がなにをやってくれるのか、あんた判らないのでしょ」
「いやあ、四里之香織は自分がジャパン初の女性総理になりたがっているけど、国会議員80人の国政政党では、政権は取れないだろう?」
「ふんだ」
栗花にとって四里之が総理になるかはどうかはどうでもよく、ただ新自由オナニー党が〈陰核ロス〉と云うオナニー危機に瀕している自分や四穂を救ってくれるのではないかと強い期待を抱いている。
だがしかし、陰核の快感を知らない吾郎に話すだけ無駄だと思った栗花は珍しく自分から率先して沈黙を決めた。
吾郎も無益な争いは避けたいので、それ以上は栗花と問答を続ける気がない。
たった4日くらい早いだの遅いだのどうだってよいではないかと考えなしに思う輩は多いかもしれないが、決してそんなことはない。去年の7月は、愚図愚図と梅雨明けしないままに月末近くまでずっと雨降りの日が続いたためにジャパン本島の各地で海水浴場やプールなどが7月中はまるっきり商売にならなかった。こんな事態がどれほどジャパン経済に悪い影響を及ぼすかを真剣に考えれば、梅雨明けがどれだけ重大なフラグ要素だと云うことが自ずと判るに違いない。
そう云うことで今日は24節気の1つ〈大暑〉に該当しているが、その漢字と気象庁が発表していた3か月予報での「今年の夏は絶対の絶対に猛暑となります」と云う言葉通りに朝っぱらからジリジリと超絶的に暑苦しくなり、しかも羽化した蝉がジーンジーンと滅茶苦茶に煩い。これが〈真・ジャパンの夏〉なのだ。
それはともかくとして、先の衆議院本会議で行われた首班指名で空前絶後の造反劇を演じたことによりジャパニーズ主権党を除名されて無所属となっていた四里之香織を始めとする8名の議員たちが華々しく、新しい政党〈新自由オナニー党〉の旗揚げを果たした。
この新政党立ち上げと云うイベントは、ジャパンの政界地図に思わぬ有機化学的反応を巻き起こす。なにがどう有機化学的なのかと云うと、高校とかで化学を履修したが有機化学の単元に関しては内容が難解すぎて理解できず少しも頭に入らないくらい複雑だったのと同じくらいに複雑で難解と云う意味だ。
具体的にどんな反応をしてどんな有機化合物を生成したのかと云うと、まず国会議員のうち自共党から26人、主権党から35人、その他の党から18人、合計で79人が所属していた党を離れてオナニー党に加わった。地方議会の議員を含めると総勢で1千人を超える議員を擁する政党になった。しかも帝京都議会では定員130人中50人がオナニー党議員で最大勢力になった。紛れなく驚異的な数字ではあるものの、これだけだと世間一般の反応は「オナニーやるやんけえ!」くらいで終わるだろう。
だがしかし、そんなに単純でなかった点で有機化学的反応だった。旗揚げ時点の8人のうち四里之を除く7人がすぐに離党して自共党に遁走したのだ。どうにも意味不明な行動である。
これに関して有機化学にも詳しい政治評論家の中出育代は「四里之香織議員の父親は優良大企業〈四里之ホールディングス〉の会長をしていて、お金は掃いて捨てるほど持っていますからねえ。ジャパニーズ主権党を離党して自由共生党入りすることを目論んでいた7人に現生を握らせて造反劇と云うか、あのような茶番劇を演じさせたに違いありません。つまり有機化学的反応にたとえるなら、彼ら7人は触媒として機能したと云うことになります」とドヤ顔を晒しながらダミ声で話した。
ちなみに第2次・筋好内閣の官房長官をやっている指手烏賊須は中出育代の父親なのだが、彼は「バカなことを云っちゃいかんよ。うちにきた連中の中に金で動くようなゲス野郎は1人もいない。彼らは新自由だかオナニーだか知らんが、そんな泥船では先が危ういのだと鼻が利いたからこそ、早めに見切りをつけて盤石な我が自由共生党を選んだにすぎん。わっはっは!」と云って娘の意見を1笑にふした。
絵露井家の居間では男女5人が極上・鰻重を食べつつ、例によっては大画面256型テレビスクリーンを眺めて、こうだああだと云い合っている。
先日までジャパニーズ主権党推しの態度を貫いていた栗花は、四里之香織による衆議院での造反劇と自慰の手記のせいで、金珠華瑠奈が嫌いになった。そして〈新自由オナニー党〉と云う栗花にとって魅力的な響きを持つ政党を支持する意向を示している。
「オナニー党はやってくれるわ」
「なにを?」
吾郎からの質問に栗花は偉そうに鼻を鳴らす。
「あんた自分で頭がいいとか思ってるかもしんないけど、フタを開けてみたら、減塩味噌よりも味が薄くて臭い糞味噌が詰まってたのね。あっはは、笑える!」
「はあ?」
「だってオナニー党がなにをやってくれるのか、あんた判らないのでしょ」
「いやあ、四里之香織は自分がジャパン初の女性総理になりたがっているけど、国会議員80人の国政政党では、政権は取れないだろう?」
「ふんだ」
栗花にとって四里之が総理になるかはどうかはどうでもよく、ただ新自由オナニー党が〈陰核ロス〉と云うオナニー危機に瀕している自分や四穂を救ってくれるのではないかと強い期待を抱いている。
だがしかし、陰核の快感を知らない吾郎に話すだけ無駄だと思った栗花は珍しく自分から率先して沈黙を決めた。
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