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下拵えE⑤
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「努力が足りない、ね?」
「そうですよ。あたしはお姉様と距離を縮めようと色々しました。でも、お姉様は何もしていないじゃないですか」
エミリアの言葉にララスティは内心で「確かに」と頷きつつも、表向きは悲しそうに俯く。
その姿にカイルは「努力したくてもできない状況」なのだと判断し、無責任にララスティに努力を求めたエミリアを軽く睨んだ。
「な、なんですか? 本当のことじゃないですか」
エミリアはカイルに睨まれたことを焦りつつも、あくまでも自分に非はないと主張する。
両親の言いなりはダメだと理解したが、自分の意思で行動したことには間違いがないと思っている。
なぜなら、エミリアは基本的に欲求を我慢することは間違っていると考えている。
家のために自分の意思を殺す教育を受ける貴族の子女と、その部分が根本的に違うのだ。
アーノルトは貴族の子供として、我慢することを強要される教育を受けてきた。
それがミリアリスとの婚約と結婚で爆発し、反発して家を出て勝手に過ごすようになってしまった。
尚且つ、クロエとの間に生まれたエミリアには貴族の堅苦しさを経験させたくないと、自分の意思を優先するように育ててきた。
だからエミリアは自分の考えを我慢するということが苦手なのだ。
「……ララスティ嬢の立場になって考えれば、難しい状況なのはわかりそうなものだけど。話がこれで終わりなら僕たちはもう失礼するよ。行こう、ララスティ嬢」
「あっ、でも……エミリアさんはまだお話があるのでは?」
ララスティが気を遣うように言えば、カイルは「十分話したよ」と少し冷たく言い、ララスティをエスコートしてスペースを離れて行ってしまった。
エミリアはその背中を見つめながら、「どうしてお姉様ばっかり」と悔しそうに奥歯を噛みしめた。
お茶会も中盤に差し掛かり、挨拶も一通り終わると各自自由時間になる。
それでもララスティとカイルは婚約者とのためつかず離れず行動し、手を伸ばせばすぐに捕まえられる距離に居た。
ララスティは友人たちと会話をしながら、近くにいるカイルの様子もうかがっている。
エミリアとの話し合いはララスティが思っていたよりもうまくいかなかったようだし、このままでは真実の愛は本当に成立するのかわからない。
(それでは困るのですけれど)
ララスティはあくまでも、どんなことがあっても成立する真実の愛を証明して欲しいのだ。
ルドルフはきっかけは一度でいいと言っていたが、もしかしたらそれでは足りないのではないだろうか。
そんなことも思うが、なかなか思いが通じ合わないという障害も乗り越えてこそ、真実の愛ではないだろうとも思ってしまう。
(難しいですわね)
そう考えていると、エミリアが近づいてくるのが見え、ララスティは内心で「あら」と驚いてしまう。
カイルが話し合いの席を立って以降、クロエのところに戻って何かを考えているようではあったが、考えがまとまったのだろうか。
いつものようにララスティを無視してカイルに話しかけると思い、エミリアの行動を観察していたが、エミリアの視線はララスティを捕らえているようだ。
「お姉様」
「エミリアさん? どうなさいましたの?」
声をかけられて近くにいることに気づいたと演じるララスティに、周囲は気づきながらも調子を合わせるように驚きの表情を浮かべる。
「あたし、お姉様ともっとお話がしたいんです。お話ししましょう」
「まあ! ……そう言ってくださるなんて、嬉しいですわ」
別の子女と話していたところに割り込む形なの気にせずエミリアが言うので、ララスティは喜びつつも断ろうと一瞬口を開きかけたが、周囲に視線を向けた後、エミリアに向かって笑みを浮かべる。
周囲もララスティの意図をくみ取って一歩二人から離れた。
背後の様子に気づいたカイルも、友人と談笑を続けながら様子を伺い始めた。
「お姉様、あたし思ったんです。いままで仲良くなりたいって食事に誘ってたけど、お父さんやお母さんの態度はよくなかったですよね。そんな状態で楽しく食事をして、家族の仲をよくしようなんて、あたしが間違ってました! まずはあたしと仲良くしてください!」
エミリアの言葉に、ララスティはどういう風の吹き回しかとも思ったが、すぐに気づく。
アーノルトとクロエの印象を下げることで、自分への悪印象を払しょくしようとしているのだ。
エミリアが間違った行動をとっていたのは、アーノルトたちの教育のせいだとすることで、自分への非難を減らそうとしている。
(そう、前回も貴女はそうしてわたくしを悪者に仕立て上げましたものね)
ララスティはエミリアの話に驚いて言葉が出ないように演じつつ、内心ではエミリアの変わらなさに眉を寄せた。
(でもそれが貴女による真実の愛への到達方法ですのね?)
ララスティはそう考え、表情を驚きから喜びへと変化させていく。
「まあ! そのようにおっしゃってくださいますのね。嬉しいですわ」
まるで心の底から喜んでいるようなララスティの態度に、周囲は優しすぎだとしながらも、様子を見守る。
「もう無理に食事に誘ったりしないから安心してください。……でも、そのかわりお願いしてもいいですか?」
「なんでしょう?」
「ほら、今は先触れを出さないと別邸に行くこともできないじゃないですか。家族で同じ敷地内で暮らしているのにそれって変ですよね?」
エミリアの言葉にララスティはドレスの下で一瞬だけピクリと体を揺らす。
アーノルトだけではなく、距離を縮めようとしているのにそれを拒否するララスティを作り出そうとしている。
(でも、それは無理ですの)
「エミリアさんは聞いていらっしゃらないんですの?」
「え? 何をですか?」
「わたくしの住む別邸への先触れに関しては、わたくしが決めたものではございませんの」
「……まさか、お父さんが決めたんですか? だったらそれは———」
「決めたのは、伯父様ですわ」
「……え?」
ララスティの言葉にエミリアは戸惑ったような表情を浮かべる。
「以前、お父様がその……乱暴なことをなさったでしょう? あれ以降お父様は別邸の敷地内に立ち入り禁止となさいましたの。他にもわたくしを本邸に呼びつけないなど細かく決めたのですが、エミリアさんからの好意を無碍にできず食事の招待を受けておりました」
「そ、そうですか。でもあたしが先触れを出すのと関係なくないですか?」
エミリアの問いに、ララスティは言うのを迷っているようにたっぷりと間を置いた後、「その」と重く口を開く。
「エミリアさんは以前の行いが……」
そこで言葉を切ったララスティにエミリアが顔を赤くしたが、すぐに申し訳なさそうな表情を浮かべる。
「お父さんがお姉様の物は好きにしていいって言ってたからって、よくない行動でしたよね。ごめんなさい」
深々と頭を下げるエミリアの態度に、周囲が驚くがララスティはこれも自分をよく見せるための行動だと理解した。
あくまでも悪いのはアーノルトであり、娘のエミリアは親の言う事に従ったにすぎないとしたいのだ。
「エミリアさん、どうか顔を上げて下さい。わかって下さればいいのです。それに、道を示すべき両親に間違った道を教えられていたのなら、子供が何もわからずその道を進んでしまうのは仕方がない事ですもの。今後なさらないのであれば、わたくしはそれでいいのです」
(いいですわ。その行動で真実の愛が成立するのなら、協力して差し上げます)
ララスティは内心で笑うと、エミリアの手を取る。
「今度、別邸でお茶会をしますわ。わたくしの親しい友人にも改めてエミリアさんを紹介いたします。招待状を出しますので、来てくださいますか?」
ララスティの言葉にエミリアは頭を上げて顔を輝かせる。
仲の良さをアピールする自分の作戦が成功したことを信じて疑わない表情だ。
だが、聡いものは気づいている。
自分の家でお茶会を開催するのに、家族にお茶会の招待状を出すことはない。
つまりエミリアはお茶会の客人でしかなく、お茶会の準備をすることなどできない。
本当にララスティが家族として仲良くすることを容認したのなら、姉妹で一緒にお茶会の準備を提案しただろう。
だが、しなかった。
「はい! 招待状待ってますね!」
エミリアはララスティが秘かに距離を取ったことに気づくことなく、嬉しそうに笑みを浮かべる。
表面上はこれから仲良くしようと心を通わせ始めた姉妹に見えるも、お互いに内心では利用する気でいる。
(エミリア嬢、少し変わったのかな? 僕の言いたかったことが伝わったんだと嬉しいな)
カイルはエミリアが自分の両親を陥れるつもりなのにも、ララスティを陥れようとしたのにも気づかない。
そしてララスティが密やかにエミリアを拒絶したことにも気づかない。
これがカイルの分水嶺になるとは、カイル自身が気づくことは永遠にない。
「そうですよ。あたしはお姉様と距離を縮めようと色々しました。でも、お姉様は何もしていないじゃないですか」
エミリアの言葉にララスティは内心で「確かに」と頷きつつも、表向きは悲しそうに俯く。
その姿にカイルは「努力したくてもできない状況」なのだと判断し、無責任にララスティに努力を求めたエミリアを軽く睨んだ。
「な、なんですか? 本当のことじゃないですか」
エミリアはカイルに睨まれたことを焦りつつも、あくまでも自分に非はないと主張する。
両親の言いなりはダメだと理解したが、自分の意思で行動したことには間違いがないと思っている。
なぜなら、エミリアは基本的に欲求を我慢することは間違っていると考えている。
家のために自分の意思を殺す教育を受ける貴族の子女と、その部分が根本的に違うのだ。
アーノルトは貴族の子供として、我慢することを強要される教育を受けてきた。
それがミリアリスとの婚約と結婚で爆発し、反発して家を出て勝手に過ごすようになってしまった。
尚且つ、クロエとの間に生まれたエミリアには貴族の堅苦しさを経験させたくないと、自分の意思を優先するように育ててきた。
だからエミリアは自分の考えを我慢するということが苦手なのだ。
「……ララスティ嬢の立場になって考えれば、難しい状況なのはわかりそうなものだけど。話がこれで終わりなら僕たちはもう失礼するよ。行こう、ララスティ嬢」
「あっ、でも……エミリアさんはまだお話があるのでは?」
ララスティが気を遣うように言えば、カイルは「十分話したよ」と少し冷たく言い、ララスティをエスコートしてスペースを離れて行ってしまった。
エミリアはその背中を見つめながら、「どうしてお姉様ばっかり」と悔しそうに奥歯を噛みしめた。
お茶会も中盤に差し掛かり、挨拶も一通り終わると各自自由時間になる。
それでもララスティとカイルは婚約者とのためつかず離れず行動し、手を伸ばせばすぐに捕まえられる距離に居た。
ララスティは友人たちと会話をしながら、近くにいるカイルの様子もうかがっている。
エミリアとの話し合いはララスティが思っていたよりもうまくいかなかったようだし、このままでは真実の愛は本当に成立するのかわからない。
(それでは困るのですけれど)
ララスティはあくまでも、どんなことがあっても成立する真実の愛を証明して欲しいのだ。
ルドルフはきっかけは一度でいいと言っていたが、もしかしたらそれでは足りないのではないだろうか。
そんなことも思うが、なかなか思いが通じ合わないという障害も乗り越えてこそ、真実の愛ではないだろうとも思ってしまう。
(難しいですわね)
そう考えていると、エミリアが近づいてくるのが見え、ララスティは内心で「あら」と驚いてしまう。
カイルが話し合いの席を立って以降、クロエのところに戻って何かを考えているようではあったが、考えがまとまったのだろうか。
いつものようにララスティを無視してカイルに話しかけると思い、エミリアの行動を観察していたが、エミリアの視線はララスティを捕らえているようだ。
「お姉様」
「エミリアさん? どうなさいましたの?」
声をかけられて近くにいることに気づいたと演じるララスティに、周囲は気づきながらも調子を合わせるように驚きの表情を浮かべる。
「あたし、お姉様ともっとお話がしたいんです。お話ししましょう」
「まあ! ……そう言ってくださるなんて、嬉しいですわ」
別の子女と話していたところに割り込む形なの気にせずエミリアが言うので、ララスティは喜びつつも断ろうと一瞬口を開きかけたが、周囲に視線を向けた後、エミリアに向かって笑みを浮かべる。
周囲もララスティの意図をくみ取って一歩二人から離れた。
背後の様子に気づいたカイルも、友人と談笑を続けながら様子を伺い始めた。
「お姉様、あたし思ったんです。いままで仲良くなりたいって食事に誘ってたけど、お父さんやお母さんの態度はよくなかったですよね。そんな状態で楽しく食事をして、家族の仲をよくしようなんて、あたしが間違ってました! まずはあたしと仲良くしてください!」
エミリアの言葉に、ララスティはどういう風の吹き回しかとも思ったが、すぐに気づく。
アーノルトとクロエの印象を下げることで、自分への悪印象を払しょくしようとしているのだ。
エミリアが間違った行動をとっていたのは、アーノルトたちの教育のせいだとすることで、自分への非難を減らそうとしている。
(そう、前回も貴女はそうしてわたくしを悪者に仕立て上げましたものね)
ララスティはエミリアの話に驚いて言葉が出ないように演じつつ、内心ではエミリアの変わらなさに眉を寄せた。
(でもそれが貴女による真実の愛への到達方法ですのね?)
ララスティはそう考え、表情を驚きから喜びへと変化させていく。
「まあ! そのようにおっしゃってくださいますのね。嬉しいですわ」
まるで心の底から喜んでいるようなララスティの態度に、周囲は優しすぎだとしながらも、様子を見守る。
「もう無理に食事に誘ったりしないから安心してください。……でも、そのかわりお願いしてもいいですか?」
「なんでしょう?」
「ほら、今は先触れを出さないと別邸に行くこともできないじゃないですか。家族で同じ敷地内で暮らしているのにそれって変ですよね?」
エミリアの言葉にララスティはドレスの下で一瞬だけピクリと体を揺らす。
アーノルトだけではなく、距離を縮めようとしているのにそれを拒否するララスティを作り出そうとしている。
(でも、それは無理ですの)
「エミリアさんは聞いていらっしゃらないんですの?」
「え? 何をですか?」
「わたくしの住む別邸への先触れに関しては、わたくしが決めたものではございませんの」
「……まさか、お父さんが決めたんですか? だったらそれは———」
「決めたのは、伯父様ですわ」
「……え?」
ララスティの言葉にエミリアは戸惑ったような表情を浮かべる。
「以前、お父様がその……乱暴なことをなさったでしょう? あれ以降お父様は別邸の敷地内に立ち入り禁止となさいましたの。他にもわたくしを本邸に呼びつけないなど細かく決めたのですが、エミリアさんからの好意を無碍にできず食事の招待を受けておりました」
「そ、そうですか。でもあたしが先触れを出すのと関係なくないですか?」
エミリアの問いに、ララスティは言うのを迷っているようにたっぷりと間を置いた後、「その」と重く口を開く。
「エミリアさんは以前の行いが……」
そこで言葉を切ったララスティにエミリアが顔を赤くしたが、すぐに申し訳なさそうな表情を浮かべる。
「お父さんがお姉様の物は好きにしていいって言ってたからって、よくない行動でしたよね。ごめんなさい」
深々と頭を下げるエミリアの態度に、周囲が驚くがララスティはこれも自分をよく見せるための行動だと理解した。
あくまでも悪いのはアーノルトであり、娘のエミリアは親の言う事に従ったにすぎないとしたいのだ。
「エミリアさん、どうか顔を上げて下さい。わかって下さればいいのです。それに、道を示すべき両親に間違った道を教えられていたのなら、子供が何もわからずその道を進んでしまうのは仕方がない事ですもの。今後なさらないのであれば、わたくしはそれでいいのです」
(いいですわ。その行動で真実の愛が成立するのなら、協力して差し上げます)
ララスティは内心で笑うと、エミリアの手を取る。
「今度、別邸でお茶会をしますわ。わたくしの親しい友人にも改めてエミリアさんを紹介いたします。招待状を出しますので、来てくださいますか?」
ララスティの言葉にエミリアは頭を上げて顔を輝かせる。
仲の良さをアピールする自分の作戦が成功したことを信じて疑わない表情だ。
だが、聡いものは気づいている。
自分の家でお茶会を開催するのに、家族にお茶会の招待状を出すことはない。
つまりエミリアはお茶会の客人でしかなく、お茶会の準備をすることなどできない。
本当にララスティが家族として仲良くすることを容認したのなら、姉妹で一緒にお茶会の準備を提案しただろう。
だが、しなかった。
「はい! 招待状待ってますね!」
エミリアはララスティが秘かに距離を取ったことに気づくことなく、嬉しそうに笑みを浮かべる。
表面上はこれから仲良くしようと心を通わせ始めた姉妹に見えるも、お互いに内心では利用する気でいる。
(エミリア嬢、少し変わったのかな? 僕の言いたかったことが伝わったんだと嬉しいな)
カイルはエミリアが自分の両親を陥れるつもりなのにも、ララスティを陥れようとしたのにも気づかない。
そしてララスティが密やかにエミリアを拒絶したことにも気づかない。
これがカイルの分水嶺になるとは、カイル自身が気づくことは永遠にない。
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