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15話 元勇者と元魔王☆
しおりを挟む「わかりました。………今夜はもう遅いので明日、貴方の求める者を連れて来ます」
そう告げて即座に分身体を消して、ベルゼブブに一番近い位置の分身体へと意識を移す。さっさと終わらせて早くヒバリといちゃコラしたい。ヒバリの様子を覗いてみたがまだスヤスヤと眠っている。連日セックス三昧だったので疲れているのだろう。
(ヒバリたん♡私達の妹は助かったよ♡これでまた一歩幸せな結婚に近づいたよ♡)
そう心の中でヒバリに告げて薫子はベルゼブブの元へと向かう。
(はー。にしても流石元魔王。まだ生きてたのか………。)
サーチ結果ではヒバリ達の居る街から少し離れた街に居るのがわかった。丁度聖女探しの範囲を広げていた所だったので分身体が近くに居たのだ。なのでそれを利用する。意識を移してすぐに走り出す。目的地は裏路地だ。
(なんか最近裏路地に縁があるなー)
そんな事を思いながら日が暮れた街を走る。
目的地にはすぐ着いた。その場に居た一匹の小汚いボロボロな不細工な野良犬に薫子は眉を顰めた。生ゴミの臭いがプーンと漂っている。ズカズカと背後から近寄って薫子は野良犬の首根っこを掴みあげた。
「久しぶりだね。魔王………。随分と落ちぶれたねー」
そう声をかけると野良犬……いや。元魔王ベルゼブブ・マナトはギャンっと鳴き声をあげておしっこを漏らした。
▶▶▶▶▶▶
魔王とは様々な負のエネルギーがより集まり産まれた化け物である。最初はただの魔物の一匹に過ぎなかったがいつしか自我を持ちその強さを増した。分身体に自我を与えて配下を増やして魔王軍を作り、人や獣人の村や街を襲い穢を撒き散らしたのだ。魔王軍のせいで罪も無い大勢が死んだと薫子は女神から聞かされていたし短い旅の途中焼け落ちた村や街をいくつも見た。怒りが湧いたがそれでも日本人の薫子は魔王を殺す事は出来なかったのだ。だからぶっ飛ばして力を奪って、体を不細工な犬に変えて適当な所に捨てて来た。死ぬなら薫子の知らない所で死んでほしかった。それが約一年前にあった事だ。魔王の力を奪ったら魔王の配下は皆消滅した。所詮は分身体だったと言う事だ。
(あー漏らしやがった。汚っ。…………すぐに野垂れ死ぬかと思ってたけど、生きてる。………犬にしといて良かったな。名前通り蝿にしてたら寿命で死んでたよね。)
薫子は目の前で尻尾を股に挟み込んで怯えるベルゼブブを見て少しだけホッとした。こちらの世界に来てから薫子はまだ誰の命も奪っていない。その事実に心底ホッとした。
(………………薄汚れてるけど、ガリガリでは無いな。ご飯は食べれてるんだ?でもこの様子だと野良だろうしゴミでも漁ってるのかな?)
目の前でぶるぶると震えるベルゼブブ。薫子がトラウマになってるのだろう。
《ひぃぃぃぃぃぃ!!!!化け物ぉぉぉぉ!!!!また余に酷い事をしに来たのか?!この悪魔ァァァ!!!魔王ぅぅぅ!!!!》
魔王はお前じゃろがい!!!と思ったが突っ込まない。さっさと話をつけて早く帰りたい。
「ベルゼブブ・マナト。あんたに良い話を持ってきたよ。………聞いてくれるよね?」
告げるとコクコクとベルゼブブは首を上下に振っている。涙目だ。
「ママー。わんちゃんがいじめられてるよー?」
「しっ!!!見ちゃいけません!!!!」
ブランブランとベルゼブブの首根っこを掴んだまま路地裏を出ると子供に指を差された。母親が抱き上げて思いっきり走り去って行ったので薫子は転移で人の居ない森の中へと飛んだ。
《一体………余に何をさせる気じゃ?》
ぶるぶると震えてベルゼブブはそう言う。犬の姿では口は聞けないので念話だが。
「……あんたさ、少しは反省した?」
そう告げるとベルゼブブはビクリと全身で跳ねた。
《……………前の余は負の化け物ぞ。………力を失う前に人の命を奪ったアレを悪かったとは思わない。人々の負の感情を食らって生きるそう言う生き物だったのじゃ。………だが後悔はしている。力を失い犬畜生に身を堕として命の尊さにやっと気づく事が出来た。その点は其の方に感謝している………》
しゅんと項垂れてそう言うベルゼブブの言葉に嘘は無い。
(ふーん。よっぽど大変な目に合って来たのかな?あちこち怪我してるし……)
薫子はそう思う。魔王時代にベルゼブブは大勢を死に追いやった。それはどうやってもなかった事にはならない。だけど力を失い、今目の前で項垂れるベルゼブブを少しだけ可哀想だと感じる。
(………まあでも。今のコイツなら大丈夫かな。…………負の化け物か。そうだよね、そう言う生き物だったんだよね)
こちらの世界に来たばかりの時は魔王を倒して早く帰る事に必死で良く考えていなかった。人を殺す魔王は悪だと決め付けて魔王の事を知ろうともしていなかった。だけどそれを言うなら動物を殺して食べる人間はどうなのか?生きる為に命を奪うのは仕方なかったのかも知れない。
(………………ヒバリに出会えて良かったなぁ。じゃなきゃ魔王にこうして会いに来る事も一生無かったしきっとそれに気づく事も出来なかったよ。やっぱりヒバリは私の運命の人だ。………絶対にそう)
▶▶▶▶▶▶
ベルゼブブの怪我を治してやると体の震えが止まった。
《本当に余に何をさせるつもりじゃ?》
ベルゼブブはお座りして不思議そうに首をかしげている。
「全部の力を返してあげるわけには行かないけどさ、私のお願い聞いてくれたら人間の姿にしてあげても良いよ」
そう告げるとベルゼブブの尻尾はブンブンと揺れる
《なんじゃと!!!!!その話詳しくっ!!!なんでもするぞ!!!!お手をすれば良いか?!おかわりも良いぞ!!!!》
立ち上がりハッハッハと興奮した様に息をするベルゼブブの勢いに薫子は少し引く。
(な、何こいつキャラ変わりすぎでしょ。そんなに野良犬生活は大変だったのかな?俗世に染まりきってんな……)
「お、おう。………あのさ、あんたには勇者の育成を手伝ってほしいんだよね」
そう告げるとベルゼブブはまた首をかしげた。
《勇者の育成?……勇者は其の方だろう?》
「一応元勇者だよ。私、あんたをぶっ飛ばしてからは勇者辞めたし。まあ勝手にだけど、だから新しい勇者を育てて完全に辞めたいんだよね。………隠居したいの」
そう告げるとベルゼブブはキョトンとしている。こうしていると本当にただの犬だ。
《勇者を辞める?なぜだ?民草から崇め奉られ良い気分になれるのではないのか?それを辞めたいとな?何故じゃ?隠居だと?解せぬぞ》
そう言うベルゼブブの言葉に薫子は眉を寄せた。
「そりゃ最初はちやほやされて良い気分だったけどさ。だけどそんなに良いものじゃないよアレ。……不特定多数からちやほやされるよりもたった一人大切な人から愛される方が今の私にとっては大事なんだよ。………だから勇者を完全に辞めたいの。これからは愛する人と静かに暮らしていきたいんだよ。」
告げるとベルゼブブもコクリと頷く。
《その気持ちは理解できる。……一人からの愛を欲する其の方の気持ちを今の余は痛い程にわかるのじゃ………今の余にはな……》
そう寂しげに言って意味深な発言をするベルゼブブ。だが薫子はそれをスルーする。
「でさー具体的にして欲しい事なんだけどね、」
《なんじゃとっ!!!!!この流れなら普通詳しく話を聞くじゃろ?!スルー?!》
「えー。その話聞かなきゃ駄目?絶対に長くなるし面倒くさいし早く帰りたいんだけど?だるっ」
《ぐぬぬっ………。其の方は本当に勇者か?信じられんぞ。一年前も余をこんな犬畜生に変えて適当に捨て置きよってからに……。やはり悪魔か大魔王では無いか?其の方に人の心は無いのかっ?!》
元魔王が愚痴愚痴となんか言ってるので一発ぶち込んで黙らせた。
「じゃあ、話を続けるけど簡潔に言うと私が選んだ勇者見習いに適当に稽古つけてやってよ。………力は良さげなタイミングで私がスキルを与えるから、そんなに本格的じゃ無くても良いけど。師匠と修行したいんだってさ。昔から勇者に憧れてたんだって、アンタならそこそこ強いし適任でしょ?人の姿にしてあげるよ?」
そう告げるとベルゼブブは迷うように瞳を揺らしていた。
「なに?嫌なの?……犬からは卒業できるよ?あんた人間姿ならそこそこイケメンだし、すぐに金持ちのヒモとかになれるんじゃん?今よりは絶対に良い生活出来るのに嫌なの?」
《…………先程から本当に勇者らしからぬ発言をするな。其の方は……。いや人の姿にはなりたい。だが修行をつけると言う事はその勇者見習いの近くに行く必要が有るのだろう?…………余の飼い主を放ってはおけぬ。本当は今も側を余り離れたくはない》
そう言うベルゼブブに薫子はキョトンとした。ベルゼブブはどう見てもボロボロな野良犬姿だった。なのに飼い主?それ虐待されてね?大丈夫か元魔王?
「…………あのさ、飼い主って?飼い主が居るのになんでそんなにボロボロなの?」
記憶を読んでも良いが本人が話せるのなら一応は聞いて見ることにする。
《む、誤解はしないで貰おう。余は飼い主から虐げられてはおらぬぞ。これにはちゃんと理由が有るのじゃ………そう、余の飼い主……ララと出会ったのは余が其の方に犬に変えられて間もなくの頃じゃ……》
「……………。」
長い話になりそうだったので此処は分身体に任せて一度薫子はヒバリの元へと意識を戻す。ベルゼブブの話は後で分身体と記憶を共有すれば良し!!!
▶▶▶▶▶▶
「ん………ふふ。まだ寝てる」
すうすうと隣で寝息を立てるヒバリの頬をツンツンと突くとふにゃりと顔が緩む。可愛いオブ可愛い♡
「ヒバリぃ♡あんなにエッチしたのにもうヒバリ不足だよぉ…………」
スリスリと眠るヒバリに擦り寄るとヒバリの手が薫子の胸をむにゅむにゅといやらしく揉んでいる。夢の中でもエッチをしているのかも知れない♡
(やん♡ヒバリのエッチ♡)
そっと股間に手を伸ばすと少し固い♡やっぱりエッチな夢を見ているようだ♡スリスリとズボン越しに擦るとすぐにガチガチになる。
(ふふ♡睡眠姦だね♡ヒバリたん♡)
眠る推しにエッチな事をすると言うシチュエーションにドキドキしてムラムラとしてくる。
スッとヒバリの手から抜け出してズルリとズボンとパンツを脱がすとブルルンと二本の蛇おちんぽが元気よく飛び出してくる♡こんにちおちんぽ♡今は夜だからこんばんおちんぽかな?うふふ♡そんな風に阿呆な事を考えながらぺろりと舌を這わせると上から可愛い声が聞こえて来た。
「あっ……♡ん……っ♡んん……♡」
どうやら眠っている時は声も素直に出してくれるようだ♡素直な推しもちゅき♡キュンです♡
おちんぽ1号を咥えながら2号をおっぱいで挟んで擦りあげるとヒバリは寝ているのに沢山えっちな声を出している♡
「ん……♡カオルひめぇ……♡気持ちぃ……♡」
夢の中でも薫子とエッチしてくれているヒバリにおまんこがキュンキュンする♡キュンです♡
(ヒバリ♡ヒバリ♡ん……♡うれし♡っ……んぁ♡んん♡)
涎をたっぷりと口の中に溜めてぐちゅぐちゅと蛇おちんぽを吸い込みながら頭を上下させて胸もズリズリと動かすとすぐにどぴゅっと精液が飛び出した♡それでもヒバリはまだ眠っている。よっぽど疲れているようだ♡可愛い♡
ビクビクと腰を震わせて可愛い寝言で薫子の名を呼んでいる。
「ん♡ヒバリ……♡はぁ♡寝てても私の事考えてくれてるんだね♡…大好きだよ♡」
そう告げて眠るヒバリの上に跨る。おちんぽはまだ二本ともビンビンだ♡お尻とおまんこに蛇おちんぽをあてがって深く腰を落とすとズブズブと飲み込まれていく。もう薫子のおまんこもお尻の穴もヒバリの形だ♡簡単に入ってしまう♡
「んぁ♡ヒバリ♡好き♡大好きだよ♡………絶対に私が契約もなんとかしてあげるからね♡あっ♡それが解決したら結婚して幸せになろうね♡」
そう言って激しく腰を振るとヒバリの寝言と甘い声も激しくなる
「かおる…♡はぁ♡っ……ちんこ気持ちぃ……♡かおるぅ………♡す……きだべ……♡んん……♡はぁ………っ」
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