1 / 5
第1話 到着
しおりを挟む
東の大聖堂にて。ソフィが待ち人の到着を待っている間の出来事だった。
「変わった笛をお持ちですね」
声をかけて来たのは聖堂付きの僧侶。ソフィが城への表敬訪問をしたいと言った時、彼が取次ぎをしてくれた。
ソフィは首飾りを指でたぐりよせる。首から下げた鎖の先には、小さな銀色の笛が付いている。
「これのことでしょうか?」
ソフィが笛を持ち上げて示すと相手はうなずく。
相手の穏やかな微笑に促されてソフィは言葉を続ける。
「この笛、残念ながら壊れていて。今までに一度も音の出たことがないんです。ほら」
ソフィは笛に口を当てて思い切り息を吹き込む。笛の形をした物体からは、全く音がしない。
「なるほど、なるほど……」
僧侶は喜んだように手をたたき、声を出して笑った。
「あなたは人との出会いに恵まれたようだ」
僧侶は言い、ソフィは首をかしげて笛から手を放す。
僧侶はなおも落ち着き払って言った。
「笛のことは、この後、あなたが殿下とお二人になった時、試したらよいでしょう。きっと鳴りますよ」
ソフィは疑いをもって僧侶を見つめる。その視線の先に、こちらへ走り寄って来る人の姿が見える。
僧侶の方も待ち人の到来に気づいて言った。
「ほら、彼が来ましたよ。ずいぶん急いでいて、落ち着きのないことだ。では私はこれで失礼を」
その口調にソフィは驚き、まじまじと僧侶のことを見つめ直す。僧侶はソフィの視線を意に介さず、そのまま立ち去る。
(『彼』だなんて、……ずいぶん軽々しく言うのね。まるで平凡な知り合いみたいに)
『彼』というのは、この国の二番目の王子、アルフォンスのことだ。
王子は、地方領主の娘であるソフィにとっても雲の上の人のはずなのだが、二年前の出会いが二人の関係を変えた。
その日以来ソフィはアルフォンス王子に対して対等の友人のような口をきき、王子の方でもソフィを悪く思っていない様子。
(アルフォンス殿下と私は少しだけ親しい関係で……二年前に彼は私のことを好きだと言ってくれたけど、……今も同じかは分からない)
***
最初の出会いから一年後、二人は再会した。
当時ソフィは郷里からの視察団を率いる身だったから、親しさは排除してアルフォンスとの面会に臨んだ。
対するアルフォンスの反応も、全く礼節の範囲を出なかった。
それでも、東の大聖堂に到着して王子を表敬訪問したいと申し出た時、王子の城からは直ちに迎えの馬車が送られた。祝宴が開かれ、翌日以降の視察には城の役人たちが案内をしてくれた。地方領からの一団という立場を考えると、ソフィたちは破格の待遇を受けたと言っていい。
ソフィは自分のことは棚に上げて、アルフォンスの態度が儀礼的なことに物足りなさを感じた。
(期待し過ぎてはいけないわね……)
しかしソフィたちの出立の直前、周囲に人の気配がなくなった時にアルフォンスは言ったのだ。
ソフィの肩を引き寄せて、ほとんど耳元に口づけるようにして囁きかける。
「ソフィ、会えてうれしかった。次は一人で来てくれ」
「はい、きっと」
「必ず」
「必ず……」
驚いた表情のソフィにアルフォンスが微笑んで応える。ほんのわずかな間のできごとだった。
二年に及ぶ視察団の旅も終わり、ソフィはいったん郷里に戻った。が、ほどなく、今度は単独で、再び東の大聖堂を訪れる機会を得た。
前年そうしたように聖堂で取次ぎをたのみ、今回もまた城に挨拶をしたいと申し出る。
すると今度は、迎えの馬車だけでなく、城主本人までが迎えにやって来るという返答だった。
(本人まで出迎えにやって来るというのは、彼はまだ私に好意を持ってくれているということかしら?)
***
ソフィとアルフォンスの、お互いの顔がはっきりと見える距離まで近づいた、その時だった。
「おのれ、悪党、こんな所で出会ったか……!」
ソフィもアルフォンスも驚き、動き止めて声の方を見る。
怒りに震えた大男がソフィを指さしている。大男の年はアルフォンスより少し上くらいか。
旅装で腰に剣を下げている。見てくれは悪くない。髪と髭は銀色だった。
「ペテン師、いかさま師、ここではお前の思う通りにはならないぞ、早々に立ち去れ」
大男は肩を揺らし、ソフィの方へ大股で近づく。が、アルフォンスがわざと大男の進路を横切り、ぶつかりそうになって大男は動きを止める。
そのままアルフォンスはソフィの斜め前に立つ。
「私はアルフォンスだが、悪党とは、何のことだ」
「殿下」
大男はさっと片膝をつき、アルフォンスに言う。
「拙者はノール地方のガエタンと申す者、修行のため諸国を遍歴する騎士でござる。殿下、その女は詐欺師でございます。お恥ずかしながら、拙者はその女にそののかされて、あやうく重婚の罪に手を貸すところでした」
「重婚?!」
「その女ですが、すでに夫と三人の子がいながら、独り身だと偽り、事あるごとに男を誘惑しているのです。……おい女、今にお前が密通していた相手をすべて暴き出して、相手もろとも姦通罪で告訴してやる! この、この、……、……!」
「……もしそれが本当ならば、大ごとだ」
アルフォンスは横目でソフィを見る。
ソフィはむっとして見返す。無言で、
(そんなわけがないでしょう)
と言っている。
アルフォンスの目が笑う。本気で大男のいう事を信じている訳ではない。
アルフォンスは大男に言った。
「では、お前とこの女を対決させてやろう。明日の昼、城まで来い」
「かたじけない。公正なご処断に感謝いたします」
ガエタンはいっそう恐れ入って頭を下げる。
「ところでガエタン、この女の名は何というか、知っているのか?」
「名前はソフィ。ドゥロー県の領主の女です」
(『領主の女』? それは正しくない)
ソフィは何か言いかけたが、何も言うなというようにアルフォンスが制した。
***
ソフィの身柄はアルフォンスが預かることになって、ガエタンと名乗った大男は立ち去った。
大男がいなくなるなり、アルフォンスはソフィに尋ねる。
「お前、いつ結婚したんだ?」
「してません」
「子供が三人……」
「いません」
即答するソフィにアルフォンスは短く笑う。が、不意に真剣な目がソフィを見る。
正面から向き合い、ソフィはどきりとする。
「俺の他に恋人は?」
「いませんけど……」
「よかった。それを聞いて安心した」
アルフォンスがソフィを抱きしめる。恋人の腕の中でソフィは考える。
(いつの間に私は彼の恋人になったのかしら……もし本当にそうなら、うれしいのだけど)
二人が顔を上げて見つめ合ったところで、
「ドゥロー県のソフィ」
と、無遠慮な声が二人の抱擁をさまたげた。
少し前に立ち去ったはずの僧侶が現れ、ソフィの方へ巻き紙を差し出す。
「お手紙を預かっていたのを思い出しまして」
ソフィは慌ててアルフォンスから離れ、僧侶から手紙を受け取る。
「お手紙は急ぎの用と伺っておりました」
「オデットからだわ!」
オデットはソフィの妹。現在はドゥロー県の領主の妻。三人の子の母親。
急ぎと聞いて、アルフォンスはすぐに手紙を確認するよう、ソフィを促す。
ソフィが手紙に目を落としている間、アルフォンスは不満を隠さずに僧侶を睨みつけ、僧侶の方は平然と視線を受け流す。
オデットの手紙はソフィの留守中に起きた事件を説明し、『心配なので、できるだけ早く帰って来て』という言葉で終わっていた。
「あの……少し前、私が旅立った直後に、ノール地方のガエタンという人が来たそうです、ドゥローの私たちの城に」
「さっきの大男のことだな。それで、何て?」
「変わった笛をお持ちですね」
声をかけて来たのは聖堂付きの僧侶。ソフィが城への表敬訪問をしたいと言った時、彼が取次ぎをしてくれた。
ソフィは首飾りを指でたぐりよせる。首から下げた鎖の先には、小さな銀色の笛が付いている。
「これのことでしょうか?」
ソフィが笛を持ち上げて示すと相手はうなずく。
相手の穏やかな微笑に促されてソフィは言葉を続ける。
「この笛、残念ながら壊れていて。今までに一度も音の出たことがないんです。ほら」
ソフィは笛に口を当てて思い切り息を吹き込む。笛の形をした物体からは、全く音がしない。
「なるほど、なるほど……」
僧侶は喜んだように手をたたき、声を出して笑った。
「あなたは人との出会いに恵まれたようだ」
僧侶は言い、ソフィは首をかしげて笛から手を放す。
僧侶はなおも落ち着き払って言った。
「笛のことは、この後、あなたが殿下とお二人になった時、試したらよいでしょう。きっと鳴りますよ」
ソフィは疑いをもって僧侶を見つめる。その視線の先に、こちらへ走り寄って来る人の姿が見える。
僧侶の方も待ち人の到来に気づいて言った。
「ほら、彼が来ましたよ。ずいぶん急いでいて、落ち着きのないことだ。では私はこれで失礼を」
その口調にソフィは驚き、まじまじと僧侶のことを見つめ直す。僧侶はソフィの視線を意に介さず、そのまま立ち去る。
(『彼』だなんて、……ずいぶん軽々しく言うのね。まるで平凡な知り合いみたいに)
『彼』というのは、この国の二番目の王子、アルフォンスのことだ。
王子は、地方領主の娘であるソフィにとっても雲の上の人のはずなのだが、二年前の出会いが二人の関係を変えた。
その日以来ソフィはアルフォンス王子に対して対等の友人のような口をきき、王子の方でもソフィを悪く思っていない様子。
(アルフォンス殿下と私は少しだけ親しい関係で……二年前に彼は私のことを好きだと言ってくれたけど、……今も同じかは分からない)
***
最初の出会いから一年後、二人は再会した。
当時ソフィは郷里からの視察団を率いる身だったから、親しさは排除してアルフォンスとの面会に臨んだ。
対するアルフォンスの反応も、全く礼節の範囲を出なかった。
それでも、東の大聖堂に到着して王子を表敬訪問したいと申し出た時、王子の城からは直ちに迎えの馬車が送られた。祝宴が開かれ、翌日以降の視察には城の役人たちが案内をしてくれた。地方領からの一団という立場を考えると、ソフィたちは破格の待遇を受けたと言っていい。
ソフィは自分のことは棚に上げて、アルフォンスの態度が儀礼的なことに物足りなさを感じた。
(期待し過ぎてはいけないわね……)
しかしソフィたちの出立の直前、周囲に人の気配がなくなった時にアルフォンスは言ったのだ。
ソフィの肩を引き寄せて、ほとんど耳元に口づけるようにして囁きかける。
「ソフィ、会えてうれしかった。次は一人で来てくれ」
「はい、きっと」
「必ず」
「必ず……」
驚いた表情のソフィにアルフォンスが微笑んで応える。ほんのわずかな間のできごとだった。
二年に及ぶ視察団の旅も終わり、ソフィはいったん郷里に戻った。が、ほどなく、今度は単独で、再び東の大聖堂を訪れる機会を得た。
前年そうしたように聖堂で取次ぎをたのみ、今回もまた城に挨拶をしたいと申し出る。
すると今度は、迎えの馬車だけでなく、城主本人までが迎えにやって来るという返答だった。
(本人まで出迎えにやって来るというのは、彼はまだ私に好意を持ってくれているということかしら?)
***
ソフィとアルフォンスの、お互いの顔がはっきりと見える距離まで近づいた、その時だった。
「おのれ、悪党、こんな所で出会ったか……!」
ソフィもアルフォンスも驚き、動き止めて声の方を見る。
怒りに震えた大男がソフィを指さしている。大男の年はアルフォンスより少し上くらいか。
旅装で腰に剣を下げている。見てくれは悪くない。髪と髭は銀色だった。
「ペテン師、いかさま師、ここではお前の思う通りにはならないぞ、早々に立ち去れ」
大男は肩を揺らし、ソフィの方へ大股で近づく。が、アルフォンスがわざと大男の進路を横切り、ぶつかりそうになって大男は動きを止める。
そのままアルフォンスはソフィの斜め前に立つ。
「私はアルフォンスだが、悪党とは、何のことだ」
「殿下」
大男はさっと片膝をつき、アルフォンスに言う。
「拙者はノール地方のガエタンと申す者、修行のため諸国を遍歴する騎士でござる。殿下、その女は詐欺師でございます。お恥ずかしながら、拙者はその女にそののかされて、あやうく重婚の罪に手を貸すところでした」
「重婚?!」
「その女ですが、すでに夫と三人の子がいながら、独り身だと偽り、事あるごとに男を誘惑しているのです。……おい女、今にお前が密通していた相手をすべて暴き出して、相手もろとも姦通罪で告訴してやる! この、この、……、……!」
「……もしそれが本当ならば、大ごとだ」
アルフォンスは横目でソフィを見る。
ソフィはむっとして見返す。無言で、
(そんなわけがないでしょう)
と言っている。
アルフォンスの目が笑う。本気で大男のいう事を信じている訳ではない。
アルフォンスは大男に言った。
「では、お前とこの女を対決させてやろう。明日の昼、城まで来い」
「かたじけない。公正なご処断に感謝いたします」
ガエタンはいっそう恐れ入って頭を下げる。
「ところでガエタン、この女の名は何というか、知っているのか?」
「名前はソフィ。ドゥロー県の領主の女です」
(『領主の女』? それは正しくない)
ソフィは何か言いかけたが、何も言うなというようにアルフォンスが制した。
***
ソフィの身柄はアルフォンスが預かることになって、ガエタンと名乗った大男は立ち去った。
大男がいなくなるなり、アルフォンスはソフィに尋ねる。
「お前、いつ結婚したんだ?」
「してません」
「子供が三人……」
「いません」
即答するソフィにアルフォンスは短く笑う。が、不意に真剣な目がソフィを見る。
正面から向き合い、ソフィはどきりとする。
「俺の他に恋人は?」
「いませんけど……」
「よかった。それを聞いて安心した」
アルフォンスがソフィを抱きしめる。恋人の腕の中でソフィは考える。
(いつの間に私は彼の恋人になったのかしら……もし本当にそうなら、うれしいのだけど)
二人が顔を上げて見つめ合ったところで、
「ドゥロー県のソフィ」
と、無遠慮な声が二人の抱擁をさまたげた。
少し前に立ち去ったはずの僧侶が現れ、ソフィの方へ巻き紙を差し出す。
「お手紙を預かっていたのを思い出しまして」
ソフィは慌ててアルフォンスから離れ、僧侶から手紙を受け取る。
「お手紙は急ぎの用と伺っておりました」
「オデットからだわ!」
オデットはソフィの妹。現在はドゥロー県の領主の妻。三人の子の母親。
急ぎと聞いて、アルフォンスはすぐに手紙を確認するよう、ソフィを促す。
ソフィが手紙に目を落としている間、アルフォンスは不満を隠さずに僧侶を睨みつけ、僧侶の方は平然と視線を受け流す。
オデットの手紙はソフィの留守中に起きた事件を説明し、『心配なので、できるだけ早く帰って来て』という言葉で終わっていた。
「あの……少し前、私が旅立った直後に、ノール地方のガエタンという人が来たそうです、ドゥローの私たちの城に」
「さっきの大男のことだな。それで、何て?」
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
【完結】殺されたくないので好みじゃないイケメン冷徹騎士と結婚します
大森 樹
恋愛
女子高生の大石杏奈は、上田健斗にストーカーのように付き纏われている。
「私あなたみたいな男性好みじゃないの」
「僕から逃げられると思っているの?」
そのまま階段から健斗に突き落とされて命を落としてしまう。
すると女神が現れて『このままでは何度人生をやり直しても、その世界のケントに殺される』と聞いた私は最強の騎士であり魔法使いでもある男に命を守ってもらうため異世界転生をした。
これで生き残れる…!なんて喜んでいたら最強の騎士は女嫌いの冷徹騎士ジルヴェスターだった!イケメンだが好みじゃないし、意地悪で口が悪い彼とは仲良くなれそうにない!
「アンナ、やはり君は私の妻に一番向いている女だ」
嫌いだと言っているのに、彼は『自分を好きにならない女』を妻にしたいと契約結婚を持ちかけて来た。
私は命を守るため。
彼は偽物の妻を得るため。
お互いの利益のための婚約生活。喧嘩ばかりしていた二人だが…少しずつ距離が近付いていく。そこに健斗ことケントが現れアンナに興味を持ってしまう。
「この命に代えても絶対にアンナを守ると誓おう」
アンナは無事生き残り、幸せになれるのか。
転生した恋を知らない女子高生×女嫌いのイケメン冷徹騎士のラブストーリー!?
ハッピーエンド保証します。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
気弱な公爵夫人様、ある日発狂する〜使用人達から虐待された結果邸内を破壊しまくると、何故か公爵に甘やかされる〜
下菊みこと
恋愛
狂犬卿の妻もまた狂犬のようです。
シャルロットは狂犬卿と呼ばれるレオと結婚するが、そんな夫には相手にされていない。使用人たちからはそれが理由で舐められて虐待され、しかし自分一人では何もできないため逃げ出すことすら出来ないシャルロット。シャルロットはついに壊れて発狂する。
小説家になろう様でも投稿しています。
記憶がないなら私は……
しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。 *全4話
記憶を失くした婚約者
桜咲 京華
恋愛
侯爵令嬢エルザには日本人として生きていた記憶があり、自分は悪役令嬢であると理解していた。
婚約者の名前は公爵令息、テオドール様。
ヒロインが現れ、テオドールと恋に落ちれば私は排除される運命だったからなるべく距離を置くようにしていたのに、優しい彼に惹かれてしまう自分を止められず、もしかしたらゲームの通りにはならないのではないかと希望を抱いてしまった。
しかしゲーム開始日の前日、テオドール様は私に関する記憶だけを完全に失ってしまった。
そしてゲームの通りに婚約は破棄され、私は酷い結末を迎える前に修道院へと逃げ込んだのだった。
続編「正気を失っていた婚約者」は、別の話として再連載開始する為、このお話は完結として閉じておきます。
【完結】あなたに従う必要がないのに、命令なんて聞くわけないでしょう。当然でしょう?
チカフジ ユキ
恋愛
伯爵令嬢のアメルは、公爵令嬢である従姉のリディアに使用人のように扱われていた。
そんなアメルは、様々な理由から十五の頃に海を挟んだ大国アーバント帝国へ留学する。
約一年後、リディアから離れ友人にも恵まれ日々を暮らしていたそこに、従姉が留学してくると知る。
しかし、アメルは以前とは違いリディアに対して毅然と立ち向かう。
もう、リディアに従う必要がどこにもなかったから。
リディアは知らなかった。
自分の立場が自国でどうなっているのかを。
「君を愛することはできない」美貌の公爵は後妻に迎えた新妻へ冷たい事実を突きつける ~では、その意味を教えてくださいますか、公爵様~
メカ喜楽直人
恋愛
王命により、美しく年の離れたイボンヌを後妻として迎えることになってしまったライトフット公爵テオフィルスは、婚約自体は受け入れておきながら婚姻を迎える今日この日まで決して顔を合せようとも、交流を持とうともしなかった。
そうしてついに婚姻式を終えたその日の夜、これから初夜を迎えるべき寝室で、悩んだ末に出した答えを新妻へと告げる。
「君を愛することはできない」
泣かれるかもしれないと思ったが、妻はなぜか言葉の意味を教えて欲しいと冷静に問い掛けてきた。
それでも好きだった。
下菊みこと
恋愛
諦めたはずなのに、少し情が残ってたお話。
主人公は婚約者と上手くいっていない。いつも彼の幼馴染が邪魔をしてくる。主人公は、婚約解消を決意する。しかしその後元婚約者となった彼から手紙が来て、さらにメイドから彼のその後を聞いてしまった。その時に感じた思いとは。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる